省く(読み)ハブク

デジタル大辞泉 「省く」の意味・読み・例文・類語

はぶ・く【省く】

[動カ五(四)]
不要のものとして取り除く。「説明を―・く」
全体から一部を取り除く。減らす。また、節約する。「手間を―・く」「時間を―・く」
分け与える。
「貧しき民に財を―・き」〈太平記・三四〉
[可能]はぶける
[類語]略す略する省略間引く前略中略後略上略下略割愛省筆はしょる約する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「省く」の意味・読み・例文・類語

はぶ・く【省】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. 不要のもの、あるべからざるものとして取り除く。いらないものとして排除する。
      1. [初出の実例]「筆削 下音、刪玄也、刪音讚、訓波夫久、筆謂増益也」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
      2. 「連の悪者共をはぶかんが為」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三)
    2. 簡単・簡素にするために、全体から一部を減らす。簡略にする。倹約する。省略する。
      1. [初出の実例]「家のうちに、足らぬ事など、はた、なかめるままに、はぶかず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
      2. 「面倒を省く為に」(出典:鳥羽家の子供(1932)〈田畑修一郎〉)
    3. 分かち与える。分配する。
      1. [初出の実例]「かの庄園を没取(もっしゅ)して、みだりかはしく子孫にはぶく」(出典:平家物語(13C前)七)
    4. 仲間から除く。仲間はずれにする。
      1. [初出の実例]「おいらも跡で連中をはぶかれても仕方がねへ」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 身だしなみなどを省略する。手を抜く。
    1. [初出の実例]「髪をばはやくゆふべし。はふけたる躰にて人々にみゆる事慮外、又つたなきこころ也」(出典:早雲寺殿廿一箇条(17C初)七条)

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