禁忌(民俗)(読み)きんき

百科事典マイペディア 「禁忌(民俗)」の意味・わかりやすい解説

禁忌(民俗)【きんき】

タブー訳語神聖または不浄との接触を禁止することをいうが,広義には日本固有の忌(斎)(いみ)の観念をも含む。忌は神聖を畏敬(いけい)する心に発し,一方では出産や死の不浄に接触することを消極的に忌避するとともに,一方では祭の物忌(ものいみ),精進のように積極的に神聖清浄を保つ行為を意味し,やがて不浄には忌,祭事には斎の字を使い分けるようになった。禁忌の方法は酒断ち,茶断ち塩断ち青物断ち,火物断ちなど食物や火を禁じることが多く,逆に逆屏風(さかさびょうぶ),一本箸(ばし)など葬式作法を日常に行うことを忌む。ほかに漁業狩猟などの職業の者が仕事中に禁戒する忌言葉(いみことば),陰陽道の影響を受けた特定の日の禁忌(忌日(いみび))や方角の禁忌(恵方),特定の土地の忌避(癖地)などがあり,これらの禁忌を破れば(たたり)があると信じられた。
→関連項目浦島太郎穢れ斎戒俗信民間信仰

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