突っ掛ける(読み)ツッカケル

デジタル大辞泉 「突っ掛ける」の意味・読み・例文・類語

つっ‐か・ける【突っ掛ける】

[動カ下一][文]つっか・く[カ下二]《「つきかける」の音変化》
履物を足の指先にひっかけるようにして無造作にはく。「サンダルを―・ける」
勢いよく何かにぶつける。「立ち上がりざま椅子に足を―・ける」
相撲の仕切りの際、相手との呼吸が合わず、先にしかける。「制限時間前に―・ける」
一気に物事をする。
「―・けて食べましたによって…風味を覚えませぬ」〈虎寛狂・悪太郎
掛けてつり下げる。
「この襦袢そこらへ―・けて置いてくれ」〈伎・浮名横櫛
[類語](1着るかぶかむ引っ被る戴くはく羽織るまとう着込む着こなす・お召しになる/(2当てるぶつける打ち付ける打ち当てる突き当てる突っかかる衝突激突命中的中百発百中体当たり一撃打撃強打痛打連打乱打滅多打ち

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精選版 日本国語大辞典 「突っ掛ける」の意味・読み・例文・類語

つっ‐か・ける【突掛】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]つっか・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「つきかける(突掛)」の変化したもの )
    1. いきおいよくことを行なう。一気にする。
      1. [初出の実例]「つっかけてたべましたによって、ただひいやりとばかり致いて、風味を覚へませぬ」(出典:虎寛本狂言・悪太郎(室町末‐近世初))
    2. 相手のさそうとする杯をかえして、もう一度飲むように強いる。おさえる。
      1. [初出の実例]「のんでさすに今一つとしいるを、おさへるといふなり。又つっかける共云」(出典:茶屋諸分調方記(1693)九)
    3. 掛けてつり下げる。たれ下げる。また、ひっかけるようにして、持ち上げる。
      1. [初出の実例]「前へ飛拍子、帯へつっかけてさしあげられ」(出典:咄本・無事志有意(1798)孝行)
      2. 「この襦袢をそこらへつっかけておいてくれ」(出典:歌舞伎・与話情浮名横櫛(切られ与三)(1853)序幕)
    4. 他人に用を押しつける。
    5. 履物を無造作にはく。つまさきにちょっとかけてはく。
      1. [初出の実例]「ぼたもちを食い毛せったをつっかける」(出典:雑俳・末摘花(1776‐1801)三)
    6. つきあてる。
      1. [初出の実例]「横槌に尻つっかけて菊の花」(出典:俳諧・八番日記‐文政三年(1820)九月)
    7. 相撲の仕切りの際、呼吸が合わず相手より先に立ち上がりかける。また、相手に対し取組み体勢にはいろうとする。
      1. [初出の実例]「呼吸も合はないのに突っかけると、丈(せい)が高いので手が伸びて相手の臀(しり)のあたりに手を滑らし」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉相撲噂の種)
    8. 相手を目がけて突く。
      1. [初出の実例]「立上るや、太刀例の如く突(ツ)っかけるを、駒双筈にあてて鋭く押す」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉駒ケ嶽の凋落太刀山独舞台)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]つっか・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 強い感情や涙などが急に突き上げられたように外に出て来そうになる。
      1. [初出の実例]「得忘れぬとどうど伏し歎けばさすが恩愛の、涙は胸につっかけながら」(出典:浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)九)
    2. おしかける。
      1. [初出の実例]「果してその一と幕が評判になり日々見物は突ッかけた」(出典:春泥(1928)〈久保田万太郎〉五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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