纏わる(読み)マツワル

デジタル大辞泉 「纏わる」の意味・読み・例文・類語

まつわ・る〔まつはる〕【×纏わる】

[動ラ五(四)]
からみつく。「足に着物のすそが―・る」
そばについていて離れない。つきまとう。「捨て猫が―・る」「彼の捨てぜりふがいつまでも脳裏に―・る」
付随する。関連する。「星に―・る物語」
[動ラ下二]
1に同じ。
「枝どももれ―・れつきて」〈・二七八〉
2に同じ。
「心地よげに見え給ひし北の方も思ひ―・れてなむおはすめる」〈落窪・二〉
[類語](1)(2付きまとうまとい付くまつわり付く絡む絡まる巻き付くもつれるこんがらかる纏繞てんじょうする絡み付く絡み合う/(3関係関連連関連係相関関与交渉かかわりつながり結び付き掛かり合い引っ掛かり絡み当該当事掛かりっきり関するかかわるかかかかずらあずか掛かり合う関わり合う巡るかまける

まとわ・る〔まとはる〕【×纏わる】

[動ラ五(四)]
まつわる2」に同じ。
「犬ののそのそと近づき来て踵の臭い嗅ぎに―・るも」〈露伴・いさなとり〉
まつわる1」に同じ。
「五六尺ばかりなる蛇―・りて、口さしつけて臥したり」〈沙石集・七〉
[動ラ下二]
まつわる1」に同じ。
「裾ども取り広げ、紐どもの―・れたりける」〈狭衣・一〉
まつわる2」に同じ。
「(猫ハ)姉おととの中につと―・れて」〈更級

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「纏わる」の意味・読み・例文・類語

まつわ・るまつはる【纏】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
    1. からみつく。ぐるぐるとまきつく。まとわる。→はいまつわるおもいまつわる
      1. [初出の実例]「錦色小蛇(すこしきなるにしきをろち)、朕が頸(くひ)に繞(マツハル)」(出典:日本書紀(720)垂仁五年一〇月(北野本訓))
    2. いつも離れないでいる。つきまとう。まとわる。
      1. [初出の実例]「まつはれ追従し、取り持ちてまどふ」(出典:能因本枕(10C終)三〇六)
    3. かかわり合う。かかわりなずむ。
      1. [初出の実例]「さらに一すぢにまつはれて、今めきたる言の葉にゆるぎ給はぬこそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. からみつく。また、まきついてほどけなくなる。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
      1. [初出の実例]「護身嚢(まもりふくろ)の長紐紊れて、道節が大刀の緒に、いく重ともなく夤縁(マツハリ)つつ」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)三)
    2. [ 一 ]に同じ。
      1. [初出の実例]「御身に夤縁(マツハ)災難の減ずる事は」(出典:狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉八)
    3. ゆかりがある。関連する。
      1. [初出の実例]「頻に故人縁の纏(マツハ)る日かな」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉五)

纏わるの補助注記

上代には四段活用の確例はなく、平安後期ごろまで下二段活用だったと思われる。


まとわ・るまとはる【纏】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
    1. まつわる(纏)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「がはがは、そよそよと、裾ども取り広げ、紐どものまとはれたりける」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)一)
    2. まつわる(纏)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「姉おととの中につとまとはれて」(出典:更級日記(1059頃))
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙まつわる(纏)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「犬の〈略〉纏(マト)はるも心細き限りなり」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉一七)

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