デジタル大辞泉
「纏わる」の意味・読み・例文・類語
まとわ・る〔まとはる〕【×纏わる】
[動ラ五(四)]
1 「まつわる
2」に同じ。
「犬ののそのそと近づき来て踵の臭い嗅ぎに―・るも」〈露伴・いさなとり〉
2 「まつわる
1」に同じ。
「五六尺ばかりなる蛇―・りて、口さしつけて臥したり」〈沙石集・七〉
[動ラ下二]
1 「まつわる
1」に同じ。
「裾ども取り広げ、紐どもの―・れたりける」〈狭衣・一〉
2 「まつわる
2」に同じ。
「(猫ハ)姉おととの中につと―・れて」〈更級〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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まつわ・るまつはる【纏】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
- ① からみつく。ぐるぐるとまきつく。まとわる。→はいまつわる・おもいまつわる。
- [初出の実例]「錦色小蛇(すこしきなるにしきをろち)、朕が頸(くひ)に繞(マツハル)」(出典:日本書紀(720)垂仁五年一〇月(北野本訓))
- ② いつも離れないでいる。つきまとう。まとわる。
- [初出の実例]「まつはれ追従し、取り持ちてまどふ」(出典:能因本枕(10C終)三〇六)
- ③ かかわり合う。かかわりなずむ。
- [初出の実例]「さらに一すぢにまつはれて、今めきたる言の葉にゆるぎ給はぬこそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
- [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
- ① からみつく。また、まきついてほどけなくなる。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
- [初出の実例]「護身嚢(まもりふくろ)の長紐紊れて、道節が大刀の緒に、いく重ともなく夤縁(マツハリ)つつ」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)三)
- ② [ 一 ]②に同じ。
- [初出の実例]「御身に夤縁(マツハ)る災難の減ずる事は」(出典:狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉八)
- ③ ゆかりがある。関連する。
- [初出の実例]「頻に故人縁の纏(マツハ)る日かな」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉五)
纏わるの補助注記
上代には四段活用の確例はなく、平安後期ごろまで下二段活用だったと思われる。
まとわ・るまとはる【纏】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
- ① =まつわる(纏)[ 一 ]①
- [初出の実例]「がはがは、そよそよと、裾ども取り広げ、紐どものまとはれたりける」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)一)
- ② =まつわる(纏)[ 一 ]②
- [初出の実例]「姉おととの中につとまとはれて」(出典:更級日記(1059頃))
- [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 =まつわる(纏)[ 一 ]②
- [初出の実例]「犬の〈略〉纏(マト)はるも心細き限りなり」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉一七)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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