デジタル大辞泉
「覚」の意味・読み・例文・類語
かく【覚】
仏語。
1 対象を覚知するもの。心。心所。
2 心が妄念を離れている状態。
3 涅槃の理を悟ったうえでの智慧。菩提。
4 仏陀。覚者。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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おぼえ【覚】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「おぼえる(覚)」の連用形の名詞化 )
- [ 一 ] 人から思われること。
- ① 世間の人々から思われること。
- (イ) 世の人々からの思われぶり。はたからの感じられかた。
- [初出の実例]「ふりかくべき髪のおぼえさへあやしからんと思ふに」(出典:枕草子(10C終)一八四)
- 「おそき梅は、さくらに咲き合ひて、覚えおとり、けおされて、枝にしぼみつきたる、心うし」(出典:徒然草(1331頃)一三九)
- (ロ) 世の人々からよく思われること。すぐれた評判。声望。名望。
- [初出の実例]「世におぼえあり、みめきらきらしき四位、五位、数をつくして参り集ひたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
- 「これにぞいとど日本第一の御手のおぼえはこののちぞとり給へりし」(出典:大鏡(12C前)二)
- ② 上の人からかわいがられること。また、その人。気に入り。寵愛(ちょうあい)、信任の受けぶり。
- [初出の実例]「いとまばゆき、人の御おぼえなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- [ 二 ] 自分の心の内に思われること。
- ① 考えられること。感じられること。知覚。感覚。→おぼえなし。「寒さで手のおぼえがなくなる」
- [初出の実例]「我は物の覚へ侍らぬぞ。たすけたまへ」(出典:讚岐典侍(1108頃)上)
- 「半分眠り乍ら寝衣を着更へて、直に復た感覚(オボエ)の無いところへ落ちて行った」(出典:破戒(1906)〈島崎藤村〉一七)
- ② おそわったり見聞したりしたことを心にとどめること。記憶。また、思い当たる点。心当たり。経験。
- [初出の実例]「Voboyeno(ヲボエノ) ワルイ」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
- 「此印籠はどうやら覚えのある模様」(出典:浄瑠璃・伊賀越道中双六(1783)六)
- ③ 腕前について自信のあること。また、その自信。
- [初出の実例]「この尻蹴よといはるる相撲は、おぼえある力、こと人よりはすぐれ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)二)
- ④ =おぼえがき(覚書)
かく【覚】
- 〘 名詞 〙 仏語。
- ① さとり。また、さとった人。仏。
- [初出の実例]「覚に至るを仏になると云ふ也」(出典:東海夜話(1645頃)上)
- ② 万有の本体と心の本源とをさとること。本覚、始覚の究竟で、仏の位。〔大乗起信論〕
- ③ 鼻と舌と体との三つをよりどころにして、その対象を判別する心のはたらき。見聞覚知(けんもんかくち)の覚。
- [初出の実例]「六の用を施時眼に有を見(けん)といい、耳に有を聞(もん)と云、鼻と舌と身に有を覚(カク)と云」(出典:米沢本沙石集(1283)八)
- ④ 物事の意味などを尋ね求め推しはかること。尋(じん)。〔成実論‐一四〕
- ⑤ さとりに至るための修行の要素の一つ。
- [初出の実例]「根・力・覚・道、これ一軸の画なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)画餠)
- [その他の文献]〔智度論‐一一〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「覚」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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覚 (おぼえ)
文書の一様式。備忘のために記したものはすべて覚・覚書であるが,狭義には,使者または当事者が,相手への要件を表だたずに備要に記せば〈口上覚〉であり,文書にして手渡せば口上書となる。請渡しの品・用件などが簡単であれば覚を必要としないが,数多くあれば個条書き(一つ書)にして,遺漏のないように配慮され,本人が記して託することになる。こうなると,目録のように列挙され,〈已上〉で結ばれ,月日,差出し,充所が具備され,書状形式となる。書状との差異は,冒頭の〈覚〉が記されることである。覚はいつごろから行われたかつまびらかではないが,近世初頭の《細川家史料》には数点見られる。後に〈覚〉が史料として整理されたとき,付箋には〈覚書〉と記されることがある。心覚えが記録として認識されたからであろう。
執筆者:加藤 秀幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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覚(さとり)
日本の妖怪。山中に住み、人の心を見透かすことができるとされる。山神の化身との説もある。全国各地に類似の伝承がある。
出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内の覚の言及
【サーンキヤ学派】より
…その変容を〈開展(パリナーマpariṇāma)〉という。その結果まず根源的思惟機能ブッディbuddhi(〈覚〉)またはマハットmahat(〈大〉)が現れる。これは確認作用を本質とし,同じく三つの構成要素からなり,身体内部の一つの器官である。…
※「覚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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