デジタル大辞泉
「不覚」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ふ‐かく【不覚】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 )
- ① 心や意識がしっかりしていないこと。正体を失うこと。人事不省に陥ること。また、そのさま。
- [初出の実例]「いといみじくふかくにおはしますとて、宰相、声も惜しまず泣きまどひ」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)二)
- ② 油断して失敗を招くこと。不注意なこと。不名誉なあやまちを犯すこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「ふかくなることにぞ侍らんかし」(出典:和泉式部日記(11C前))
- ③ 思わず知らずそうなってしまうこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「兼ては不礼(おがま)じと思ひつれども不覚に涙落て」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)
- ④ 覚悟がきまっていないこと。臆病なこと。卑怯なこと。また、そのさま。不覚悟。
- [初出の実例]「など、右衛門督殿は其頼信を打返して信頼と名乗給ふが、あれ程に不覚(フカク)にみゆるぞ」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)上)
- ⑤ 能力が人並みでないこと。物事の道理をわきまえないこと。愚かなこと。
- [初出の実例]「不覚の白者(しれもの)かな」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
おぼえ‐ず【不覚】
- 〘 副詞 〙 ( 動詞「おぼえる(覚)」に、打消の助動詞「ず」の付いた「おぼえず」の連用形から ) 自分でしようと思わないで無意識に。知らず知らず。思わず。いつのまにか。
- [初出の実例]「暮れかかるむなしき空の秋をみておほえすたまる袖の露かな〈藤原良経〉」(出典:新古今和歌集(1205)秋上・三五八)
- 「若き人おほく道のほど打さはぎて、おぼえず彼(かの)梺(ふもと)に到る」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)雲岸寺)
- 「お松は覚(オボ)えず一寸(ちょっと)立ち留まった」(出典:心中(1911)〈森鴎外〉)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の不覚の言及
【本覚思想】より
…しかし,〈さとり〉を体験するのは,本来わが身にさとりがそなわっているからだとして,それを本覚と名づける。本覚,すなわち本来そなえている覚(さとり)に気づかないことを不覚(ふかく)といい,不覚をとりはらうことによって始覚を得られると考えられた。《金剛三昧経》《仁王般若経》に本覚の語がみえ,《大乗起信論》には始覚と本覚との関係が述べられている。…
※「不覚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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