逸る(読み)ハヤル

デジタル大辞泉 「逸る」の意味・読み・例文・類語

はや・る【逸る/早る】

[動ラ五(四)]
あせる。「心が―・る」
勇みたつ。「血気に―・る」
[類語]勇む奮う気負う急き込む勇み立つ奮い立つ猛る焦るせく気が急くテンパる焦燥焦慮焦心荒れる荒らすすさむすさぶ苛立ち苛立つかりかりじりじりやきもきむしゃくしゃむずむずうずうずじれる苛つく業を煮やす痺れを切らす歯痒いじれったいもどかしい辛気臭い苛立たしいまだるっこいまどろっこい躍起隔靴掻痒いらいら尖る

そ・る【逸る】

《「反る」と同語源》
[動ラ四]
鳥が手もとから離れて飛び去る。
「争へば思ひにわぶるあま雲にまづ―・る鷹ぞ悲しかりける」〈かげろふ・中〉
思いがけない方へ向かう。それる。
「このごろ、御心―・りでて、化粧ばやりたりとは見ゆや」〈落窪・一〉
[動ラ下二]それる」の文語形

はぐ・る【逸る】

[動ラ五(四)]はぐれる2」に同じ。
「取り―・っては一生にまた出逢うことは覚束おぼつかないなれば」〈露伴五重塔
[動ラ下二]はぐれる」の文語形。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「逸る」の意味・読み・例文・類語

はや・る【逸・早】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「はや(早)」の動詞化したもの。心が一つの対象にひかれ、そちらに進む意 )
  2. 興に乗る。夢中になる。
    1. [初出の実例]「面白き手どもを遊ばしはやりて、人の有り無しも知ろしめさず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
  3. 勇み立つ。あらだつ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「はやる馬に乗り、をりまはしておはする」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
  4. 心が先に進む。せきこむ。また、あせる。いらだつ。「はやる気持をおさえる」
    1. [初出の実例]「このいとこも、はた、けしきはやれる、御返しや、御返しやと筒(どう)をひねりて、とみにも打ち出でず」(出典源氏物語(1001‐14頃)常夏)
  5. 快活ではきはきしている。機転がきいて、てきぱきしている。
    1. [初出の実例]「兵衛の君は、こめきたる人の、かみたけに一しゃくばかりあまりて、〈略〉はやりなれたり〈略〉こぎみも、〈略〉いとはやりざれたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
  6. 水がしぶきを上げたりしながら激しく流れる。〔日葡辞書(1603‐04)〕

そ・る【逸】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
    1. 思いがけない方へ飛んで行く。違った方向へ離れ去って行く。
      1. [初出の実例]「あらそへば思ひにわぶるあま雲に、まづそる鷹ぞかなしかりける」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 物事が思いもかけない方向へと進む。正常な状態から、ずれて行く。
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙それる(逸)

はぐ・る【逸】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙はぐれる(逸)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 しくじる。多く動詞の連用形に付けて「…しそこなう」の意を表わす。
    1. [初出の実例]「心中が出るで結納うりはぐり」(出典:雑俳・柳多留‐九(1774))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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