急く(読み)セク

デジタル大辞泉 「急く」の意味・読み・例文・類語

せ・く【急く】

[動カ五(四)]
早くしなければ、とあせる。あせっていらだつ。また、あわてる。「気ばかり―・く」
呼吸が激しくなる。「息が―・いて苦しい
せきたてる。急がせる。
「何ものかに『今だぞ』と―・かれている気もちだった」〈芥川玄鶴山房
怒り・悲しみ・嫉妬しっとなどで、心が激しく動く。
「腹立て顔して言ふが、男に―・いた風を見すべき女郎計略なり」〈浮・禁短気・五〉
いそ[用法]
[類語](1焦る急き込む気が急く逸るテンパる焦燥焦慮焦心荒れる荒らすすさむすさぶ苛立ち焦る苛立つかりかりじりじりやきもきむしゃくしゃむずむずうずうずじれる苛つく業を煮やす痺れを切らす歯痒いじれったいもどかしい辛気臭い苛立たしいまだるっこいまどろっこい躍起隔靴掻痒いらいら尖る手ぬるい生ぬるいのろ臭い間怠まだる間怠まだるこしい煮え切らないうやむやあやふや漠然おぼろげ曖昧どっちつかず要領を得ないぬらりくらりぬらくらのらりくらりのらくらぼやかす無節操洞ヶ峠言を左右にする言葉を濁す小心弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり内気怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小胆小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱軟弱優柔不断柔いやわ弱弱しい女女しい弱音を吐く音を上げる悲鳴を上げる気が弱い腰が弱い肝が小さい肝っ玉が小さい/(3急ぐ急かす急き立てる追い立てる追いまくる

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精選版 日本国語大辞典 「急く」の意味・読み・例文・類語

せ・く【急】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. あせる。いらだつ。いそぐ。気がはやる。
      1. [初出の実例]「そなたがその様におしゃると心がせくによって、いよいよ某が目には見えぬ」(出典:虎寛本狂言・禁野(室町末‐近世初))
      2. 「あの衆と一所に死んで死出の旅で、道連れになり話さう。構ひて急(せ)くな」(出典:歌舞伎・鳥辺山心中(宝永三年)(1706))
    2. あわてる。狼狽する。
      1. [初出の実例]「其日のお敵権七様御出と呼つぎぬ。すこしもせかず、火燵の下へ隠れけるこそ」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)六)
    3. 怒りや悲しみの気持が胸へこみあげる。また、嫉妬(しっと)する。
      1. [初出の実例]「躍(をどり)ぬる夜半の面影したひ侘(わび) ほいなき夢にせく胸の中〈幸和〉」(出典:俳諧・誹諧独吟集(1666)下)
      2. 「阿古屋は読みも果て給はずはっとせきたるけしきにて、うらめしや腹立や口おしやねたましや」(出典:浄瑠璃・出世景清(1685)二)
    4. 息などがはげしくなる。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 いそがせる。うながす。せかす。せきたてる。「息がせく」
    1. [初出の実例]「せきつどうてつづくほどに車も同みちをとをるほどに、さきの車のわのあとを又とをるぞ」(出典:玉塵抄(1563)一)
    2. 「それは丁度何ものかに『今だぞ』とせかれてゐる気もちだった」(出典:玄鶴山房(1927)〈芥川龍之介〉五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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