荒らす(読み)アラス

デジタル大辞泉 「荒らす」の意味・読み・例文・類語

あら・す【荒らす】

[動サ五(四)]
乱雑な状態にする。「子供に机の中を―・される」
建物土地などを手入れせずにほうっておく。「長く留守にして庭を―・す」
傷つけたり壊したりする。いため傷つける。「薬品で手を―・す」「戦火国土を―・す」
他の領域に侵入して権益を侵す。また、盗み取る。「縄張りを―・す」「留守宅を―・す」
[可能]あらせる
[類語]荒れるすさむすさぶ焦慮苛立ち焦燥焦るせく急き込む気が急く逸るテンパる焦心苛立つかりかりじりじりやきもきむしゃくしゃむずむずうずうずじれる苛つく業を煮やす痺れを切らす歯痒いじれったいもどかしい辛気臭い苛立たしいまだるっこいまどろっこい躍起隔靴掻痒いらいら尖る手ぬるい生ぬるいのろ臭い間怠まだる間怠まだるこしい煮え切らないうやむやあやふや漠然おぼろげ曖昧どっちつかず要領を得ないぬらりくらりぬらくらのらりくらりのらくらぼやかす無節操洞ヶ峠言を左右にする言葉を濁す小心弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり内気怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小胆小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱軟弱優柔不断柔いやわ弱弱しい女女しい弱音を吐く音を上げる悲鳴を上げる気が弱い腰が弱い肝が小さい肝っ玉が小さい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「荒らす」の意味・読み・例文・類語

あら・す【荒】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
    1. 乱暴なやり方でそこなう。乱雑な状態にしたりこわしたりして、だめにする。また、いためたり傷つけたりする。
      1. [初出の実例]「朝庭(みかど)(アラサ)ずして、浄めつかまつること鏡の面の如くにして」(出典:日本書紀(720)用明元年五月(図書寮本訓))
      2. 「子供は〈略〉家を荒(アラ)すやうな事はないが」(出典:雁(1911‐13)〈森鴎外〉五)
    2. 土地を、手入れをせず何も植えないままにしておく。建物などを、いたみそこなわれるままにほうっておく。
      1. [初出の実例]「夕霧に千鳥の鳴きし佐保路をば安良之(アラシ)やしてむ見るよしをなみ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四七七)
      2. 「わが世にあらん限りだに此院あらさず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)匂宮)
    3. 言葉、気持などをはげしいさまにする。平静でなくさせる。
      1. [初出の実例]「懸乞(かけごひ)の来ては言葉を荒しける〈芭蕉余所(よそ)よりくらき月の枝折戸(しをりど)〈濁子〉」(出典:俳諧・袖草紙所引鄙懐紙(1811)元祿六年歌仙)
    4. 食べ物など、あちこちつついて食べる。
      1. [初出の実例]「どれ、お肴でも荒(アラ)して来ようか」(出典:歌舞伎・梅雨小袖昔八丈(髪結新三)(1873)三幕)
    5. 他の国、家、土地、店、領分などを乱し犯す。盗んで損失をあたえる。また、他人迷惑をかける。平和を乱す。
      1. [初出の実例]「平気に水菓子屋、小間物屋を荒らしてあるく『楽天的』の深水(ふかみ)」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉五)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙 風の吹く勢いが強くなる。嵐になってくる。
    1. [初出の実例]「カゼガ arasu(アラス)」(出典:日葡辞書(1603‐04))

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