日本大百科全書(ニッポニカ) 「長命寺(東京都)」の意味・わかりやすい解説
長命寺(東京都)
ちょうめいじ
東京都墨田(すみだ)区向島(むこうじま)にある天台宗の寺。山号は宝寿山遍照院(へんじょういん)。本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)。隅田川(すみだがわ)七福神巡りの一つ弁財天を祀(まつ)る。寺の開基は明らかではない。江戸前期ごろまでは宝樹山常泉寺と称していたが、3代将軍徳川家光(いえみつ)(1604―51)が鷹(たか)狩りにきて腹痛をおこし、寺の般若(はんにゃ)水で薬を飲んで治ったことから以後長命寺と改号したという。江戸時代の本堂は1855年(安政2)、1923年(大正12)の二度の大地震によって焼失した。雪見の名所として名高く、芭蕉(ばしょう)の「いざさらば雪見にころぶ所まで」の句碑をはじめ、歌碑、人物碑などの石碑が40余りある。また江戸のころから伝わる門前の桜餅(さくらもち)は有名。
[中山清田]