霞む(読み)カスム

デジタル大辞泉 「霞む」の意味・読み・例文・類語

かす・む【×霞む/×翳む】

[動マ五(四)]
かすみがかかる。霞がたちこめる。「―・んだ空」 春》
霞がかかったような状態になる。ぼんやりして、物の姿や形がはっきり見えなくなる。「雨に―・む街」
(「翳む」とも書く)目が疲れたり故障があったりして物が見えにくくなる。「目が―・む」
他の、よりすぐれたもののために存在が目立たなくなる。「素人しろうと熱演に、玄人くろうとが―・んで見える」
[動マ下二]かす(翳)める」の文語形
[類語]曇る陰るおぼろ掻き曇るぼやけるけるかすれるぼんやり朦朧もうろうぼうっとどろん不透明ほのかかすかほんのりうっすらおぼろげ薄薄淡いよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い暗い小暗がり手暗がり真っ暗暗然冥冥漠然ぼうとぼやっと不鮮明もやもや

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精選版 日本国語大辞典 「霞む」の意味・読み・例文・類語

かす・む【霞・翳】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙 物の形や音、声などがぼやけてはっきりしない状態になる。
    1. かすみがかかる。かすみがたちこめる。
      1. [初出の実例]「春の日の 霞(かすめる)時に」(出典万葉集(8C後)九・一七四〇)
      2. 「夕暮のいたうかすみたるに紛れて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
    2. 姿がかすかにしか見えない状態になる。
      1. [初出の実例]「春霞かすみていにしかりがねは今ぞ鳴くなる秋霧のうへに〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二一〇)
    3. 薄くぼかしてある。また、かすれてはっきり見えない状態になる。
      1. [初出の実例]「こゑまちしゆふつけ鳥に年越て かりねの夢はすゑぞかすめる」(出典:三嶋千句(1471)三)
    4. ( 翳 ) 目に故障があったり、視力が衰えたりして、物がはっきり見えなくなる。
      1. [初出の実例]「老眼霞て」(出典:拾玉得花(1428))
    5. 存在が目立たなくなる。ぱっとしない状態になる。取るに足りない存在になる。
      1. [初出の実例]「其様にかすんだ俸祿の者は」(出典:史記抄(1477)五)
    6. 声や音などが小さくなってはっきりしないようになる。
      1. [初出の実例]「鐘のこゑ、いづくともなくほのかにかすみてきこゆにて」(出典:春夢草(1515‐16)付句)
    7. 意識などが、ぼんやりした状態になる。
      1. [初出の実例]「意識は幽んでいるのだろうか」(出典:不意の声(1968)〈河野多恵子〉)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙かすめる(霞)

霞むの補助注記

「かすむ」の語幹「かす」は「かすか」「かそけし」の「かす」「かそ」と語源的に同じといわれる。

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