幽か(読み)カスカ

デジタル大辞泉 「幽か」の意味・読み・例文・類語

かす‐か【幽か/微か】

[形動][文][ナリ]
やっと感じ取れる程度であるさま。はっきりとは認められないさま。「―な物音」「―な記憶
生活ぶりなど弱々しく、細々としたさま。「わずかな収入で―に日を送る」
姿かたちのみすぼらしいさま。貧弱。
「―なる小さき法師一人をなん具したりける」〈今昔・一七・四四〉
人目につかないさま。ひっそりとして寂しそうなさま。
「北の方の―なる御有様をも」〈平家一二
わず[用法]
[派生]かすかさ[名]
[類語]ほのかほんのりうっすらおぼろげうすうす淡い弱いよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い暗い小暗がり手暗がり真っ暗暗然冥冥漠然ぼんやりぼうっとぼうとぼやっと不鮮明もやもや霞む見えにくい陰る曇るおぼろかき曇るぼやけるぼけるかすれる朦朧もうろうどろん不透明ほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「幽か」の意味・読み・例文・類語

かす‐か【幽か・微か】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. 物事の度合が、知覚をはたらかせたり記憶をたぐったりすることによって、かろうじて認められる程度であるさま。
    1. [初出の実例]「宇治山の僧喜撰は、ことばかすかにして、はじめ終はり、たしかならず」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    2. 「砧の音も、かすかにこなたかなた聞きわたされ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    3. 「壁にそむける残(のこん)の燈の影かすかに」(出典平家物語(13C前)灌頂)
  3. 人けがなく物さびしいさま。また、ひっそりとしていて人目につかないさま。
    1. [初出の実例]「孟冬の作陰(すす)しき月に寒風(さむきかせ)の粛然(カスカナル)(とき)に」(出典:日本書紀(720)雄略即位前(図書寮本訓))
    2. 「いとこころぼそうかすかにておはします事を」(出典:大和物語(947‐957頃)二)
  4. 勢いのないさま。みすぼらしいさま。貧弱なさま。
    1. [初出の実例]「あばれたる所に、かすかなる住ひなどして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
    2. 「かすかなる前巾着より文銭一文とり出して」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)一)

かそ‐か【幽か・微か】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙かすか(幽━)
    1. [初出の実例]「月の山の半を出でたれども薄雲のをほへるがごとくかそかなりしを」(出典:日蓮遺文‐開目抄(1272))

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