暗然(読み)アンゼン

デジタル大辞泉 「暗然」の意味・読み・例文・類語

あん‐ぜん【暗然/×黯然/闇然】

[ト・タル][文][形動タリ]
悲しみ、絶望などで心がふさぐさま。気落ちするさま。
「―として云うべき言葉もなく」〈谷崎春琴抄
暗いさま。黒いさま。また、はっきりしないさま。
「沖より来る響、―として湧く力」〈犀星十月のノオト〉
[類語](1打ち沈む重苦しい沈み込む気が重い気が沈む沈む/(2暗い薄暗いほの暗い小暗い木暗い小暗がり手暗がり真っ暗暗澹冥冥ようとしてようほのかかすかほんのりうっすらおぼろげ薄薄淡い杳杳ようよう漠然ぼんやりぼうっとぼうとぼやっと不鮮明もやもや霞む見えにくい陰る曇るおぼろかき曇るぼやけるぼけるかすれる朦朧もうろうどろん不透明ほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視

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精選版 日本国語大辞典 「暗然」の意味・読み・例文・類語

あん‐ぜん【暗然・闇然】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用ナリ・タリ 〙 ( 現代では多く「暗然と(して)」の形で用いられる )
  2. 暗いさま。また、黒いさま。
    1. [初出の実例]「此間、漸以暗然、依仰頼実取脂燭参上、尚以暗」(出典:玉葉和歌集‐承安元年(1171)一一月二一日)
    2. 「前後闇然(アンセン)として行先も見えず」(出典:浮世草子・宗祇諸国物語(1685)二)
    3. [その他の文献]〔史記‐孔子世家〕
  3. はっきりしないさま。あいまいな様子。
    1. [初出の実例]「自身作法尚以暗然、於他人之礼儀哉」(出典:玉葉和歌集‐嘉応元年(1169)正月七日)
    2. [その他の文献]〔礼記‐中庸〕
  4. 悲しみに心がふさぐさま。気落ちしたさま。
    1. [初出の実例]「豈只暗然として徒に有難き日月を送らんや」(出典:愚迷発心集(1213頃))
    2. 「余りに暗然(アンぜん)として守り居たるも云甲斐なし」(出典:太平記(14C後)三)
    3. [その他の文献]〔江淹‐別賦〕

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普及版 字通 「暗然」の読み・字形・画数・意味

【暗然】あんぜん

かなしむ。

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