( 1 )「延喜式」には、諸国の貢物として伊勢の鯛(たい)鮨、近江の鮒(ふな)鮨、三河の貽貝(いがい)鮨、讚岐の鯖(さば)鮨など、多くの鮨が見られる。これらは魚介類を塩蔵したものと考えられる。
( 2 )これに、発酵を早めるため飯を加えるようになったのは、慶長年間(一五九六‐一六一五)頃からといわれる。
( 3 )近世に入ると、飯に酢を加えて酢飯とし、魚介類をその上に重ねて漬ける早鮨(一夜鮨)が現われた。これの、ほとんど発酵していないものが、今日の押鮨や箱鮨である。ここに至って、鮨は必ずしも発酵したものに限られなくなった。
( 4 )文化・文政年間(一八〇四‐三〇)頃、江戸で握鮨が登場、大流行した。
( 5 )表記については、「十巻本和名抄‐四」に「鮨〈略〉和名須之 鮓属也」とあり、「鮨」と「鮓」は同義に用いられていた可能性がある。ただし、飯の中に魚介類を入れて漬けるのが鮓で、魚介類の中に飯を詰めて漬けるのが鮨であるともいわれる。なお、「寿司」という表記は、縁起をかついだ当て字と考えられ、近代以降のものである。
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…後者は握りずしに代表されるもので,日本独特の米飯料理である。すしは,鮓,鮨,寿司,寿志,寿しなどと書かれるが,鮓と鮨のほかはすべて江戸中期以後に使われるようになった当て字であり,また,〈すもじ〉〈おすもじ〉というのは室町時代から使われた女房ことばである。鮓と鮨はともに古い漢字で,代表音は鮓がサ,鮨がシである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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