ぎしぎし(読み)ギシギシ

デジタル大辞泉 「ぎしぎし」の意味・読み・例文・類語

ぎし‐ぎし

[副]
堅い物のこすれ合う音や木が強くきしむ音を表す語。「ぎしぎし(と)音のする階段
すきまもないほど詰まっていくさま。
老若男女が―と詰め掛けていた」〈鴎外独身
容赦なく厳しくものを言うさま。
「ここな人、あんまり―言はしゃるな」〈浄・五枚羽子板〉
[形動]すきまがほとんどなく窮屈なさま。
「十畳でも…かなり―で」〈志賀・襖〉
アクセントシギシ、はギシギシ
[類語]1きいきいぎいぎいきしきしきしりぎしりみしみしみりみりめりめりきりりぎりりきりきりぎりぎり/(2過密稠密ちゅうみつ櫛比しっぴ所狭しと軒を並べる立錐の余地もないぎゅうぎゅうぎちぎちきちきちぎっしりびっしり

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精選版 日本国語大辞典 「ぎしぎし」の意味・読み・例文・類語

ぎし‐ぎし

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「と」を伴って用いることもある )
    1. 堅い物がきしんで鳴る音、こすれあう音を表わす語。「きしきし」よりやや強い音にいう。
      1. [初出の実例]「ふたつを、すりあはすれば、ぎしぎしとなる」(出典:名語記(1275)九)
      2. 「箱階子、ぎしぎし、ぎしぎし鳴る音も」(出典:浄瑠璃・淀鯉出世滝徳(1709頃)下)
    2. 厳重に、容赦なくものを言うさまを表わす語。つけつけ。ずけずけ。びしびし。
      1. [初出の実例]「是ここな人あんまりぎしぎし言はしゃるな」(出典:浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)中)
    3. すきまのないほどつまっていくさま、また、余裕がなくなるさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「それは全く存養の力でなければいかぬことにて候〈略〉さあと云とぎしぎしするやうになり」(出典:雑話筆記(1719‐61)上)
      2. 「老若男女がぎしぎしと詰め掛けてゐた」(出典:独身(1910)〈森鴎外〉六)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 狭くてきゅうくつなさま、びっしりつまっているさま。
    1. [初出の実例]「十畳でもたてに二つ床を並べるのだから、かなりぎしぎしで」(出典:襖(1911)〈志賀直哉〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぎしぎし」の意味・わかりやすい解説

ギシギシ
ぎしぎし
[学] Rumex japonicus Houtt.

タデ科(APG分類:タデ科)の多年草。根は太く黄色い。茎は直立し無毛で太く、高さ0.6~1メートル。根出葉は長い柄があり、卵状狭長楕円(だえん)形で長さ10~25センチメートル、縁(へり)が波打ち、両面とも毛がないが、裏面の葉脈沿いに硬い毛があるものもある。6~7月、円錐(えんすい)花穂の各節に両性花が輪生し、各輪に小形の葉が混じる。花被片(かひへん)は6枚で外側の3枚は狭く、果時に展開する。内側の3枚は花期後に大きくなり、広卵形の翼状となり縁に歯牙(しが)があり、中脈の基部には狭卵形の瘤(こぶ)状の突起がある。痩果(そうか)は三稜(さんりょう)形で長さ2.5ミリメートル、褐色で光沢がある。日本、朝鮮半島、中国に分布若芽食用となり、根はアントラキノン類を含み、皮膚病の外用薬とする。

 ギシギシ属は北半球に多くみられ、約200種あり、日本には14種分布する。ノダイオウやマダイオウはその代表的なものであり、アレチギシギシやナガバギシギシなどの帰化種も多い。

[小林純子 2020年12月11日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぎしぎし」の意味・わかりやすい解説

ギシギシ(羊蹄)
ギシギシ
Rumex japonicus

タデ科の大型多年草。野原路傍のやや湿ったところに普通に生える。根は黄色で太い。茎は直立し,高さ 60~100cm。根ぎわから生える葉には長い柄があり葉身はスイバより大きく長楕円形,縁は波形にちぢれている。6月頃,枝先に総状花序をつけ多数の淡緑色の小花を開く。花が終ると内側の3個の萼が発達し,翼となって3稜のある痩果を包む。この翼の縁に微細な鋸歯があり,背面には楕円状の瘤がある。民間薬としては根をすりつぶして皮膚病に用いる。

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百科事典マイペディア 「ぎしぎし」の意味・わかりやすい解説

ギシギシ

日本全土,東アジアの平地にはえるタデ科の多年草。スイバに似るが茎葉に酸味がない。根は太くて長く,茎は直立し,高さ1m,細長い葉を互生する。狭長楕円形の根出葉には長い柄がある。6〜8月,淡緑色の小さな花が枝先に総状に集まってつく。花被片は6枚,果実の3枚の翼にはこぶ状突起がある。若葉は食べられ,根を皮膚病の薬とする。アレチギシギシはヨーロッパ原産の帰化植物で,数個の花の集団が互いに離れてつく。

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改訂新版 世界大百科事典 「ぎしぎし」の意味・わかりやすい解説

ギシギシ

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世界大百科事典(旧版)内のぎしぎしの言及

【スイバ】より

…ヨーロッパでは浸出液をミョウバン媒染して毛織物の黄色染料とし,乾燥させた地下茎からは,淡紅色の染料をとった。漢方では,ギシギシと同様に薬用にする。 スイバの所属するギシギシ属Rumex(英名sorrel,dock)は,北半球の温帯域に約200種が分布し,日本にも14種が分布する。…

※「ぎしぎし」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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