(読み)ミツ

デジタル大辞泉 「密」の意味・読み・例文・類語

みつ【密】

[名・形動]
すきまがないこと。ぎっしりと詰まっていること。また、そのさま。「人口だ」「網の目にする」⇔
関係が深いこと。親しいこと。また、そのさま。「間柄」「連絡にする」
きめこまかいこと。細部にわたって行き届いていること。また、そのさま。綿密。「計画」「に調べ上げる」
こっそりと人に知られないようにすること。また、そのさま。ひそか。秘密。「はかりごとなるをもってよしとす」
密教」の略。
「顕に付け、―に付け、その悟りたやすからず」〈浄・大原問答
[類語](1過密稠密ちゅうみつ櫛比しっぴ所狭しと軒を並べる立錐の余地もないぎゅうぎゅうぎしぎしぎちぎちきちきちぎっしりびっしり/(3細かい綿密精密緻密細密詳密厳密精巧巧緻精緻精妙精到しょう小さなちっちゃいちっぽけ低い小さめ矮小わいしょう寸足らずちんちくりん微小微細細微細か小振り小形小柄小作り小粒豆粒芥子けし群小最小小規模細細ほそぼそ零細ちんまりこぢんまりちまちまミニ

みつ【密】[漢字項目]

[音]ミツ(呉) [訓]ひそか みそか
学習漢字]6年
閉ざされて内部がわからない。人に知られない。ひそか。「密会密教密航密告密使密室密約密輸隠密おんみつ機密枢密内密秘密
すきまがない。ぴったりとくっついている。関係が深い。「密集密生密着密度密閉密林過密気密緊密親密稠密ちゅうみつ
細かく行き届いている。「厳密細密周密精密綿密
密教。「顕密台密東密
[名のり]たかし
難読舎密セイミ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「密」の意味・読み・例文・類語

みつ【密】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) こまかいこと。すきまのないこと。また、そのさま。緻密。
    1. [初出の実例]「寒気難堪、雪時々灑、飃風密度、殿自内出御」(出典:後二条師通記‐寛治六年(1092)二月一二日)
    2. 「御堂奉加の辞に曰、竹樹密に土石老いたりと」(出典:俳諧・芭蕉真蹟懐紙(1691))
    3. [その他の文献]〔史記‐酷吏伝〕
  3. ( 形動 ) ゆきとどいていること。きめこまやかなこと。また、そのさま。綿密。
    1. [初出の実例]「益議論を密にし」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉緒言)
  4. ( 形動 ) 関係がふかいこと。近しいこと。また、そのさま。親密。
    1. [初出の実例]「実験少しく進み交際少しく密に成り」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉一)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐寄張山人彪詩〕
  5. ( 形動 ) 濃いこと。厚いこと。また、そのさま。〔隋煬帝‐季秋観海詩〕
  6. ( 形動 ) ひそかにすること。人知れず行なうこと。また、そのさま。秘密。
    1. [初出の実例]「なんでまり事は密にすればなるが、密にせねば不成ぞ」(出典:史記抄(1477)一一)
    2. [その他の文献]〔易経‐繋辞上〕
  7. みっきょう(密教)」の略。
    1. [初出の実例]「密と戒と歳月いくばくならず、二宗の大乗を一身に兼学す」(出典:拾遺古徳伝絵詞(1301)二)

ひそ【密・秘】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる ) 静かでものさびしいさま、静まりかえっているさまを表わす語。ひっそり。
    1. [初出の実例]「憂し共おもはぬ、云捨てて、ひそとして有所也」(出典:申楽談儀(1430)能書く様、その二)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「かくてなほ声もなき秦皮(とねりこ)よ、秘(ヒソ)に火ともり」(出典:邪宗門(1909)〈北原白秋〉外光と印象・顔の印象・A)

みそか【密】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 人目にたたず静かなさま。人に知られないようにこっそりするさま。忍びやかなさま。ひそか。
    1. [初出の実例]「難波にみそかにもて出ぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))

密の補助注記

漢文訓読文に用いられる「ひそか」に対して和文脈に用いられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「密」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] ミツ
[字訓] ひそか・やすらか・こまかい

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+必(ひつ)+火。宀は屋、必は(ひつ)で戚(まさかり)。中で聖器の戚に火を加える秘儀で、おそらく祖霊の安寧を求める厳重な儀礼であったのであろう。ゆえに秘密・親密・厳密などの意がある。〔詩、周頌、昊天有成命〕に「夙夜(しゆくや)命を基(はじ)むること宥密(いうみつ)なり」の〔伝〕に「なり」とあり、それは安寧を求める儀礼であった。(ふく)・祕(秘)・(ひつ)なども、同じく戚を聖器とする儀礼であろう。〔説文〕九下に「山の堂の如きなり。山に從ひ、(ふく)聲」とするが、山とは何の関係もない字である。

[訓義]
1. ひそか、密儀、かくす、おくふかい。
2. やすらか、しずか。
3. こまかい、つまびらか。
4. したしむ、つとめる、つつしむ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕密 シノビヤカナリ・キビシ・タシカナリ・ヒソカニ 〔字鏡集〕密 タツ・ヒソカニ・キビシ・シノビヤカナリ・コマカナリ・タシカナリ・シヅカナリ・トドム・カクス・ツツシム・シヅカ・シケシ・チカシ・カタム・マサシ・アフ

[語系]
密・・謐mietは同声。は〔説文〕七下に「安らかなり」とあり、密と声義同じ。謐は〔説文〕三上に「靜かに語るなり」とするが、聖器の必を用いて、静安の儀礼を行う意と思われる。密に稠密の意があるのは、比pieiと声義通ずるところがあるからである。金文の密の字形に、両戈をならべた形のものがあり、密の呪儀の方法と関係があろう。

[熟語]
密愛・密意・密印・密・密雨・密雲・密・密恩・密函・密款・密銜・密緘・密機・密議・密・密近・密契・密計・密啓・密語・密行・密告・密坐・密察・密札・密旨・密指・密邇・密事・密爾・密・密樹・密集・密書・密章・密詔・密親・密靖・密静・密戚・密雪・密切・密接・密・密訴・密奏・密談・密致・密緻・密竹・密牒・密勅・密偵・密度・密白・密微・密勿・密閉・密・密房・密報・密密・密霧・密約・密諭・密友・密理・密慮・密量・密林・密令
[下接語]
遏密・陰密・隠密・鬱密・奥密・恩密・華密・款密・機密・近密・禁密・緊密・顕密・厳密・細密・密・周密・峻密・純密・詳密・情密・神密・深密・慎密・親密・密・密・枢密・精密・繊密・疎密・致密・緻密・稠密・綢密・篤密・内密・繁密・秘密・微密・密・綿密・茂密・密・網密・宥密・幽密・麗密

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