翻訳|collagen
動物の結合繊維を構成する繊維状タンパク質.皮膚,骨,腱,結締組織などに存在し,動物体の構造を保つタンパク質で,腔腸動物から脊椎動物まで広く分布する.ただし,節足動物ではキチンがコラーゲンのはたらきをしている.分子量3×105,直径1.5 nm,長さ280 nm の棒状分子で,3本のペプチド鎖がコラーゲンらせんと称される特殊ならせん構造をとっている.この構造はペプチド鎖がほとんど伸び切った状態で,アミノ酸残基当たり0.29 nm ピッチの左巻きのらせんを形成し,3.3残基で1回転する.この左巻きらせんが3本集合し,軽く右まわりによれたらせん構造である.アミノ酸組成ではシスチン,システイン,トリプトファンを含まずプロリン,ヒドロキシプロリンの合計が全アミノ酸組成の1/3を占め,またグリシンが1/3を占める.プロリンの含有量が多いこと,またヒドロキシプロリン,ヒドロキシリシンを含有することが特徴である.[別用語参照]ゼラチン,αヘリックス
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
硬タンパク質の一種で無脊椎,脊椎動物をとわず多細胞動物に広く分布し,量的にも最も多く見いだされるタンパク質である。哺乳類では全タンパク質の約1/4をしめる。動物の結合組織を構築している主要な繊維状要素。張力に対してたいへん強いので,腱や靱帯で力を損失することなく伝達するのにつごうがよい。
熱湯処理で徐々に溶けて水に可溶性のゼラチンに変わる。動物の成長とともに分子間に橋かけ構造が生じ不溶性になる。コラーゲンの基本的な構造単位は分子量約30万のトロポコラーゲンである。この分子は3本のペプチド鎖から成り,それらがより合わさって3本鎖右巻き超らせんを構成している。トロポコラーゲン分子が会合してコラーゲン繊維(膠原繊維)を形成するが,各分子は軸方向に1/4ずつずれて配列し,その結果640Å間隔の独特の縞模様を形成する。アミノ酸組成はグリシン,プロリン,ハイドロキシプロリンが多く,含硫アミノ酸が少ない。
執筆者:宝谷 紘一
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(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 抜け毛・薄毛対策サイト「ふさふさネット」毛髪用語集について 情報
…糖鎖は各種の単糖の配列の違いによって,生物種や細胞種の違いをよく表している。動物細胞は,細胞が合成し分泌したタンパク質であるコラーゲンcollagen,フィブロネクチンfibronectin,ラミンlaminなどによって覆われ,また,これらのタンパク質は細胞膜と相互作用することによって細胞の形態や機能に影響を与えている。ラミンはコネクチンconnectinを介して細胞表層のアクチン繊維と結合でき,フィブロネクチンは細胞膜を貫く結合タンパク質を介してアクチン繊維と結合でき,結果として,細胞骨格と連動しうる構造になっている。…
…真皮,腱,靱帯などはこの繊維の集束である。その成分はコラーゲンで,これはグリシン,プロリン,ヒドロキシプロリンを豊富に含む。1本の膠原繊維は膠原原繊維と呼ばれる無数の細い繊維の集まりであり,これはさらに細い幅500~1000Åの膠原細繊維の集まりからなる。…
…植物界では硬タンパク質の代りにセルロース類が同じ役割をしているものと考えられている。 例としては骨,皮,腱などに含まれているコラーゲン,靱帯や動脈などの成分であるエラスチン,毛髪,羽毛などのケラチン,絹のフィブロイン,カイメンのスポンジ(海綿質)などが知られている。不溶性の原因はコラーゲンの場合には年齢とともに生ずる分子間の橋かけ結合であり,エラスチンの場合には分子内の橋かけ結合によるものと考えられている。…
…プロテオグリカンは主として細胞間の基質として存在するが,その場合プロテオグリカン分子は,直鎖状のヒアルロン酸を軸にムカデの足状に集合し,プロテオグリカン集合体となる。プロテオグリカン集合体はさらにコラーゲン繊維と相互作用して網目構造を作っている。プロテオグリカン集合体とコラーゲンを結びつけているのはフィブロネクチンと呼ばれる糖タンパク質である。…
…糖鎖は各種の単糖の配列の違いによって,生物種や細胞種の違いをよく表している。動物細胞は,細胞が合成し分泌したタンパク質であるコラーゲンcollagen,フィブロネクチンfibronectin,ラミンlaminなどによって覆われ,また,これらのタンパク質は細胞膜と相互作用することによって細胞の形態や機能に影響を与えている。ラミンはコネクチンconnectinを介して細胞表層のアクチン繊維と結合でき,フィブロネクチンは細胞膜を貫く結合タンパク質を介してアクチン繊維と結合でき,結果として,細胞骨格と連動しうる構造になっている。…
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[真皮]
真皮胎生期の中胚葉に由来する結合組織のうちで,とくに繊維性要素が豊富な皮膚深層部分をいう。真皮をつくるじょうぶな繊維性結合組織(ヒトでは厚さ2~8mm)の大部分をなすものは,コラーゲンと呼ばれるタンパク質を主成分とする膠原繊維である。この繊維には,引っ張り力に抗して容易に長さを増さないという性質がある。…
※「コラーゲン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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