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サトイモ

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栄養・生化学辞典の解説

サトイモ

 [Colocasia antiquorum],[C. esculenta].タロイモともいう.サトイモサトイモ科サトイモ属の植物.世界的に広く栽培される.デンプンに富み,粘質物を含んでいる.

出典|朝倉書店
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食の医学館の解説

さといも【サトイモ】

《栄養と働き&調理のポイント
 山でとれるイモをヤマノイモというのに対し、人里でとれることからサトイモと呼ばれるようになりました。秋から初冬にかけてが旬(しゅん)の食材です。
○栄養成分としての働き
 でんぷんが主成分ですが、サツマイモにくらべてエネルギーは58kcalと少なく、糖分をエネルギーにかえるビタミンB1、肥満防止の効果がある食物繊維も含まれているので、太ることを気にせず食べられます。
 特有のぬめりがありますが、これはガラクタンという多糖類(たとうるい)たんぱく質が結合したものに、マンナンという水溶性の食物繊維が加わった糖たんぱくの一種。このぬめり成分は、強い胃酸から胃壁をまもる働きがあります。
 イモ類のなかではカリウムがもっとも多いのも特徴です。ナトリウムを排泄(はいせつ)し、高血圧予防に効果を発揮します。
 食物繊維も豊富なので、便秘(べんぴ)改善にも役立ちます。
 皮をむいて塩もみし、一度ゆでこぼしてから調理するとぬめりがとれます。
 皮をむくときに手がかゆくなるのは、シュウ酸カルシウム針状結晶(しんじょうけっしょう)が含まれているためです。酢で指先をぬらしておくと、かゆみが予防できます。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サトイモ
さといも / 里芋
[学]Colocasia antiquorum Schott var. esculenta Engl.

サトイモ科の多年草。農業上は、近縁の別種ハスイモ(蓮芋)C. gigantea Hook. F.を含めてサトイモ類として扱われる。茎はほとんど伸びず、地中にあり、肥大して球茎(いも)となる。葉は1株に7~8枚生じ、長さ1~1.5メートルの葉柄を直立する。葉柄は無毛で、緑色の系統と赤紫色の系統があり、ずいきと称し、食用とする。
 葉身は盾形、卵形あるいは心臓形で、長さ50センチメートル、幅30センチメートル、表面は滑らかでろう質を分泌し、よく水をはじく。花は普通は咲かないが、高温の年の秋にはまれに咲く。葉柄の間から花茎を出し、長さ25~30センチメートル、幅6センチメートルほどの黄色の仏炎包に包まれた花をつける。花は長さ12センチメートルほどの肉穂花序につき、基部には雌花を多くつけ、その上部に雄花が、さらにその上部に無性花がつき、その先端には細長い舌状の付器がある。
 サトイモは収穫対象によって大きく次のように分けられる。
(1)子いもが親いもから容易に離れ、子いも、孫いもを収穫する。土垂(どたれ)、石川早生(わせ)、えぐ芋などがあり、普通、サトイモというとこれをさす。
(2)子いもは親いもと分離しにくく、親いもも収穫する。唐芋(とうのいも)、八頭(やつがしら)など。
(3)子いもが少なく、主として親いもを収穫する。赤芽(あかめ)、海老芋(えびいも)など。
(4)もっぱら葉柄を収穫する。ハスイモは葉柄にえぐ味がなく、葉柄専用種として扱われる。[星川清親]

栽培

芽を出させた種いもを、4~5月中旬に畑に植える。初期は生育が遅く、雑草防除がたいせつである。夏に入って子いもができてからは土寄せをし、土が乾かないように敷き藁(わら)をするとよい。収穫期は、早生品種は8~9月、晩生(おくて)品種は11月中旬である。
 栽培方法は畑作が主であるが、沖縄、奄美(あまみ)大島などには、太平洋諸島のタロイモ栽培に似た水田栽培がいまも残っている。また、本州にも水田や湿地に栽培される例があり、水芋(みずいも)、田芋(たいも)といわれ、焼畑栽培もわずかに山間地で行われている。これらは古代の栽培方式の名残(なごり)ではないかとみられている。沖縄から青森まで栽培されるが、関東、東海、南九州に生産が多い。サトイモは自家消費が多く、年生産23万0500トン(2000)のうち出荷量は6割の13万8300トンである。県別生産量では千葉、宮崎、埼玉、鹿児島、栃木、静岡、熊本、新潟、愛媛の各県が多い。[星川清親]

起源と伝播

二倍体と三倍体があり、多くは三倍体であるが、三倍体の起源は明らかではない。いずれも匍匐(ほふく)枝の先に子いもをつける野生型があり、インド、中国、東南アジアに広く分布する。この野生型は日本にもみられる。起源地についてはインド説、インドとマレーシア説およびインドネシア説があり、沼地または多雨林地域の起源で、アジアにおけるイネの灌漑(かんがい)栽培の先駆者である。少なくともインドで紀元前3000年には栽培型が成立し、東南アジア、中国および日本を含む東アジア、さらに太平洋の島々に前1000年ころには伝播(でんぱ)した。中国では前100年に重要な作物としての記録がある。前1000年から後500年ころのアラビア、東部地中海およびエジプトへの民族大移動によって西方に伝播し、東アフリカ海岸、さらに西アフリカに達し、17世紀ころにカリブ海および熱帯アメリカに伝播した。しかしヨーロッパでは普及しなかった。
 日本への渡来の経路は不詳であるが、現在自生する野生型は、縄文時代中期に半栽培の原始型のサトイモが導入され、各地に伝播したときの逸出植物であろう。サトイモは古くから農耕儀礼や儀礼食に多く用いられ、イネの渡来よりも古いとも推定されている。なお、ハスイモは二倍体種のみで、ジャワからビルマ(ミャンマー)にかけて自生しているので、それらの地域が起源地である。[田中正武]

食品

サトイモのいもの可食部100グラム中には、炭水化物12.8グラム、タンパク質2.6グラム、脂質0.2グラムを含み、熱量は60キロカロリーである。小粒のいもを皮付きのまま塩ゆでしたものを衣(きぬ)かつぎといい、皮をむいて丸ごと食べるほか、含め煮、いも雑煮、いも汁、田楽(でんがく)など料理法は多様である。京都名物の芋棒は、エビイモ(海老芋)をボウダラと煮たものである。ずいき(葉柄)は品種によりシュウ酸を多く含み、えぐ味が強く、そのままでは調理できないものがあるが、十分乾燥することでえぐ味が消え、これを水にもどして調理する。干したずいき100グラム中には、炭水化物63.7グラム、タンパク質8.6グラム、脂質0.4グラムを含み、熱量は252キロカロリーである。ずいきは嗜好(しこう)的食品で、ゆでて和(あ)え物、含め煮、みそ汁の実などに調理する。塊茎を高温多湿の暗いところで発芽させた葉柄は芽芋(めいも)とよばれ、白色で歯切れもよく、汁の実などにされる。[星川清親]

民俗

日本で古くから栽培されていたサトイモは全国でつくられ、九州や四国の山間部では主食の一部にもなっていたほど重要な作物である。単にイモ、エグイモ、イヘツイモ(『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』)ともよばれていたが、湿気を好む性質があり、田でも畑でも栽培されたことから、タイモ、ハタイモとよぶ所もある。普通は子芋を茹(ゆ)でたり、煮たり焼いたりして食べるが、茎を食用にする所もある。正月の雑煮にはなくてはならない食物であり、また「餅(もち)無し正月」の習俗を伝える地域(全国的にみられるが)では餅の代用にもされた。正月にオカンとよぶダイコンとサトイモを煮たものを年神に供える所や、九州の山村では正月の神棚にサトイモを供えるなど、神祭りにはサトイモがなければ収まらないとする考えが日本人にはあった。旧暦8月15日の満月の晩を「芋名月」とか「十五夜」といって、サトイモを供える風習は全国に広く分布する。鳥取県東伯(とうはく)郡ではこれを「芋誕生」とよび、サトイモを初めて掘る日としていた。十五夜はサトイモの収穫儀礼であったらしい。滋賀県蒲生(がもう)郡日野(ひの)町中山では、9月1日に東谷、西谷の両集落がそれぞれ持ち寄ったサトイモの長さを神前で競い合い、年占(としうら)をする「芋くらべ祭」が行われる。[湯川洋司]

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