(読み)カメ

デジタル大辞泉 「亀」の意味・読み・例文・類語

かめ【亀】

カメ目の爬虫はちゅう類の総称。体の構造は中生代の祖先形から大きな変化がなく、背面と腹面とに骨質の甲をもち、中に頭・四肢・尾を引っ込めて身を守る。あごはくちばし状になり、歯はない。水・陸にすみ、イシガメクサガメウミガメゾウガメなど、種類が多い。長寿で、つるとともに縁起のよい動物とされる。
《カメは酒をよく飲むといわれるところから》大酒飲みのこと。
紋所の名。親子亀、亀の丸、亀下り、三つ追い亀など。
[類語]海亀玳瑁たいまい石亀緑亀すっぽん噛付亀象亀

き【亀〔龜〕】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]かめ
〈キ〉
爬虫はちゅう類の名。カメ。「亀甲きこう・きっこう神亀
占いに用いるカメの甲。「亀鑑亀卜きぼく亀裂
〈かめ(がめ)〉「石亀海亀鶴亀
[名のり]あま・すすむ・ひさ・ひさし

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精選版 日本国語大辞典 「亀」の意味・読み・例文・類語

かめ【亀】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 爬虫(はちゅう)綱カメ目に属する動物の総称。ただし、普通にはカメ目からスッポン科を除いたものをいう。他の脊椎動物とは体制が著しく異なって、背面および腹面に甲を有し、両甲は側面でつながっており、頭、四肢(しし)、尾のみを甲の外に出し、多くはそれらを内におさめることができる。甲は表皮が角質で、その内側が骨質で堅いが、スッポン、オサガメなどのように柔らかいものもある。顎(あご)は嘴状(くちばしじょう)になり、歯がない。卵生で、水中に生活するものが多いが、それらでも必ず産卵は陸上で行なう。また、リクガメ等は陸棲(りくせい)である。その種類は二三〇以上にのぼるが、多くは熱帯、亜熱帯に産する。日本で見られるものは、淡水産でイシガメ、クサガメ、それにスッポン、海産のものではアオウミガメアカウミガメ、タイマイ、オサガメ等である。沖縄にはヤマガメ、セマルハコガメを産する。万年のよわいを保つといわれて、鶴とともにめでたい動物としてとうとばれる。がめ。水亀(すいき)
    1. [初出の実例]「亀(かめ)の甲(せ)に乗りて釣(つり)為つつ打ち羽挙(はぶ)き来る人」(出典:古事記(712)中)
  3. 亀卜(きぼく)に用いる亀の甲。
    1. [初出の実例]「卜部すゑ 亀(かめ)もな焼きそ 恋ひしくに」(出典:万葉集(8C後)一六・三八一一)
  4. を模様化したもの。また、を図案化した紋所の名。親子亀、亀下り、亀の丸、三つ追い亀、みの亀の丸、二つ追い亀の丸、子持ち亀の丸、蓬莱亀(ほうらいがめ)、珖琳亀(こうりんがめ)、寿(ことぶき)の字の亀、その他種類が多い。
    1. 親子亀@亀下り@亀の丸@三つ追い亀
      親子亀@亀下り@亀の丸@三つ追い亀
    2. [初出の実例]「からあやの三こそで、もんみなかめ」(出典:たまきはる(1219))
  5. 大酒を飲む人をいう。亀はよく酒を飲むとされることからたとえていう。大酒飲み。
  6. 足のおそいこと。また、その人。亀の歩くのがおそいのにたとえていう。
  7. 首をすくめ、手足を縮めたさま、かっこう。亀が首や四肢(しし)を甲の中に引っ込めたさまにたとえていう。
    1. [初出の実例]「亀といふ身でしゃがんでる寒ひ事」(出典:雑俳・柳多留‐三七(1807))
  8. 陰茎をいう俗語。その形が亀の首に似ているところからいう。
    1. [初出の実例]「『亀のつらが出た』『下卑をいわっしゃんな』」(出典:洒落本・三教色(1783)後座)

亀の語誌

( 1 )亀を題材にした説話には、「書紀‐雄略二二年七月」などに見える浦島伝説や「今昔‐一九」などの報恩譚があり、これら二種の説話が後に結びついて御伽草子浦島太郎」が成立する。
( 2 )今日一般にはカメとスッポンを区別しているが、スッポンをも「かめ」という地方も少なくない。また、スッポンを「がめ」と濁音にしてカメと区別する地方もある。→がめ(亀)


がめ【亀】

  1. 〘 名詞 〙すっぽん(鼈)」の異名。
    1. [初出の実例]「鼈 すほん〈略〉加賀及能登越中越後にて、がめと云」(出典:物類称呼(1775)二)

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普及版 字通 「亀」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)龜
16画

[字音] キ・キン・キュウ(キウ)
[字訓] かめ

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 象形
亀の全形。〔説文〕十三下に「なり」と旧久の意を以て解するのは音義説。古く亀卜に用いた。その形は天円地方、長生の霊物とされたのであろう。殷虚出土の亀版には、その甲橋部分(腹背の連なる所)に貢納・修治者の名と数とをしるしており、各地から献納されたものである。

[訓義]
1. かめ、亀甲。
2. ひさしい。
3. 人を罵る陰語。亀は緑頭。唐代楽戸は緑頭巾をつけ、妻女は歌妓として売春させた。それで妻を寝とられた男をいう。
4. (きん)と通じ、ひびわれ。

[古辞書の訓]
和名抄〕龜 加米(かめ) 〔名義抄〕龜 カメ・カガマル・セナカ 〔立〕龜 カメ・ウミカメ・カヘル・カガマル・ムシ・マカル

[部首]
〔説文〕のその部に二字、〔玉〕にまた二字を加えるが、ともに用例をみない字である。

[声系]
〔説文〕鬥(とう)部三下に龜声の字があり、音は(糾)(きゆう)、「鬪取するなり」という。

[語系]
龜・久kiuは同声。また(旧)giukyu、xiuenはそれぞれ声近く、通用することがある。

[熟語]
亀印・亀屋・亀鶴・亀殻・亀鑑・亀旗・亀胸・亀鏡・亀玉・亀形・亀虎・亀・亀甲・亀骨・亀筴・亀策・亀・亀綬・亀書・亀牀・亀筮・亀礎・亀息・亀蛇・亀・亀紐・亀兆・亀筒・亀貝・亀板・亀版・亀趺・亀符・亀文・亀幣・亀鼈・亀卜・亀・亀齢・亀裂・亀手
[下接語]
河亀・穹亀・巨亀・玉亀・亀・元亀・攻亀・鑿亀・鑽亀・亀・亀・守亀・亀・神亀・筮亀・占亀・大亀・貞亀・亀・佩亀・伏亀・文亀・弁亀・謀亀・命亀・螺亀・霊亀

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