室町幕府において,引付方,侍所,政所(まんどころ),問注所,地方(じかた)などの各部局内会議のことを内談と称した。中でも,所領問題についての裁判機関である引付方の内談は重要で,引付衆のことを内談衆とも呼んだ。内談の次第は,15世紀後半に著作されたとみられる《武政軌範》に見える。それによれば引付内談は,定期的には月6回,引付頭人邸で開かれ,引付衆および奉行人が出席する。奉行人中の古参者が会議の事務長役である開闔(かいこう)を務める。会議では,開闔による案件説明の後,メンバーがあらかじめくじによって決められた順番に従って意見を述べる。審議の結果得られた結論は引付勘録事書としてまとめられ,将軍の決裁を受ける。引付以外の部局における内談も引付内談に準じて行われた。なお,南北朝時代の一時期,足利直義の主導のもとに,引付方に代わる裁判機関として内談方と称する機関が設置されたことがあった。
執筆者:山本 博也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報