日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
南部(青森県東半部と岩手県和賀川以北)
なんぶ
青森県の東半部と岩手県の和賀川以北の地域。南部藩(盛岡藩)領の地で、青森県では西半分の津軽に対する呼称。行政的には八戸(はちのへ)、十和田(とわだ)、三沢、むつ4市と上北(かみきた)、下北、三戸(さんのへ)の3郡からなる。1189年(文治5)平泉(ひらいずみ)の藤原氏滅亡ののち、源頼朝(よりとも)に従った甲斐(かい)国南部郷の南部光行(みつゆき)が現在の青森、岩手県の地域を統治した。のち、青森県西部は津軽氏に奪われたが、盛岡藩として明治に至った。津軽と南部の北半をあわせて青森県になったが、自然条件や人文条件が異なり、南部は水田が少なく、畑地が多いのに対して、津軽は水田が多く、畑作が少ない。南部は夏の偏東風やませの影響が強く、冷害にみまわれることも多い。津軽は夏の偏東風の影響は少ないが、冬の積雪が多い。このような自然条件の違いが生活や文化の面で対照的な違いを示している。
[横山 弘]
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