姑息(読み)コソク

デジタル大辞泉 「姑息」の意味・読み・例文・類語

こ‐そく【×姑息】

[名・形動]《「姑」はしばらく、「息」は休むの意から》一時の間に合わせにすること。また、そのさま。一時のがれ。その場しのぎ。「姑息手段をとる」「因循姑息
[補説]近年、「その場だけの間に合わせ」であることから、「ひきょうなさま、正々堂々と取り組まないさま」の意で用いられることがある。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「姑息な手段」を、「一時しのぎ」と「ひきょうな」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。

平成22年度調査令和3年度調査
一時しのぎ
本来の意味とされる)
15.0パーセント17.4パーセント
ひきょうな
(本来の意味ではない)
70.9パーセント73.9パーセント

[派生]こそくさ[名]
[類語]一時しのぎその場逃れその場しのぎ当座逃れ当座しのぎ一時逃れ糊塗弥縫びほう弥縫策泥縄場当たり一夜漬け付け焼き刃苦し紛れ間に合わせ有り合わせけちみみっちいいじましいせせこましい狡辛こすからさもしい卑しいせこい陋劣ろうれつ低劣卑怯ひきょう狭量小量けつの穴が小さい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「姑息」の意味・読み・例文・類語

こ‐そく【姑息】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) しばらくの間、息をつくこと。転じて、一時のまにあわせに物事をすること。また、そのさま。一時しのぎ。その場のがれ。
    1. [初出の実例]「子のねがひのままに育てぬるを、姑息(コソク)の愛と云」(出典翁問答(1650)上)
    2. 「一は期限内にだに返弁せば何事もあらじと姑息して」(出典:金色夜叉(1897‐98)〈尾崎紅葉〉後)
    3. [その他の文献]〔礼記‐檀弓上第三〕

姑息の語誌

( 1 )礼記」では、「君子」が「徳」をもって人を愛するのに対し、「細人」は「姑息」をもって人を愛するとしている。
( 2 )日本でも、近世に、「礼記」を受けて、儒教的な見地から否定的な語として用いられたが、一般に広く「一時のがれ」の意で用いられるようになるのは近世末からである。

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普及版 字通 「姑息」の読み・字形・画数・意味

【姑息】こそく

かりそめ。〔礼記、檀弓上〕曾子曰く、君子の人を愛するやを以てし、細人の人を愛するや姑息を以てす。吾(われ)何をか求めん。吾正を得て斃(たふ)れなば、斯(すなは)ち已(や)まんと。~席に反(かへ)り、未だ安んぜずして沒す。

字通「姑」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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