(読み)カリ

デジタル大辞泉 「仮」の意味・読み・例文・類語

かり【仮】

《「借り」と同語源》
間に合わせであること。「の住まい」「措置」「調印」
本当のもの、本来のものではないこと。「の親」「の姿」
仮定すること。「これはの話だが」→仮に
[類語]その場逃れその場しのぎ当座逃れ当座しのぎ一時逃れ一時しのぎ糊塗間に合わせ有り合わせ姑息弥縫びほう弥縫策泥縄場当たり一夜漬け付け焼き刃苦し紛れけちみみっちいいじましいせせこましい狡辛こすからさもしい卑しいせこい陋劣ろうれつ低劣卑怯ひきょう狭量小量けつの穴が小さい

か【仮〔假〕】[漢字項目]

[音](漢) (呉) [訓]かり
学習漢字]5年
〈カ〉
本物・本式ではなく一時的な間に合わせ。一時的な見せかけ。「仮称仮性仮説仮題仮定仮名仮面
一時的に。「仮寓かぐう仮設仮泊仮眠
かりる。「仮借かしゃ
ゆるす。「仮借かしゃく寛仮かんか
〈ケ〉1に同じ。「仮病虚仮こけ
〈かり〉「仮初かりそめ仮寝仮処分
難読仮字かな仮令たとい・たとえ

け【仮】

仏語実体のないこと。名称のみであること。

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精選版 日本国語大辞典 「仮」の意味・読み・例文・類語

け【仮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [梵語] prajñāpti upacāra の訳語。実体のない仮(かり)のものであることの意 ) 仮であること。虚妄であること。また、そういうもの。権と同義で、方便の意にも用いる。→虚仮(こけ)仮諦(けたい)
    1. [初出の実例]「此百界千如に皆空仮中の三諦あり。如とは空なり。是とは中なり。相性とは仮(ゲ)なり」(出典:真如観(鎌倉初))
    2. 「浄土宗のなかに真あり、仮(ケ)あり」(出典:末燈鈔(1333)一)
  3. か(暇)

かり【仮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. ほんの一時的に、それときめること。永久ではないさま。まにあわせ。かりそめ。一時。臨時。→仮に
    1. [初出の実例]「月草の借(かり)なる命にある人をいかに知りてか後も逢はむといふ」(出典:万葉集(8C後)一一・二七五六)
    2. 「匂ひなどはかりのものなるに、しばらく衣裳に薫物(たきもの)すと知りながら」(出典:徒然草(1331頃)八)
  3. ほんとうのものではないこと。うわべだけであるさま。にせ。いつわり。
    1. [初出の実例]「仮(カリ)の宝に非ずと知りぬ」(出典:守護国界主陀羅尼経平安中期点(1000頃)七)

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普及版 字通 「仮」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

(旧字)假
11画

[字音] カ・ケ
[字訓] かり・かる・かす・たとい

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は假に作り、(か)声。〔説文〕八上に「眞に非ざるなり」と訓し、「一に曰く、至るなり」として〔書、尭典〕「上下に假(いた)る」の文を引くが、〔尭典〕の文は格の仮借。眞(真)は死の人であるから、真仮は対言すべきものでない。は玉質の石塊を切り出して、これを琢冶する意。玉石を分かつ以前のもの。假は仮面。かりにその象を借るものをいう。

[訓義]
1. かり、かりの、かりに。
2. 一時的に代わる、かる、かす。
3. たとい、もし。
4. 琢冶する以前の石。仮面はすべて材質の大きなものから作る。大きい。
5. 遐に通じ、はるか。
6. に通じ、さいわい。
7. 暇に通じ、ひま、いとま。
8. 嘉に通じ、よい。
9. 格に通じ、いたる。

[古辞書の訓]
名義抄〕假 カリ・カル・カス・カハリ・ヨル・アカラサマ・カタシ・イトマ・イトマアリ・オホキナリ・タトヒ・イタル・ヨロコブ・ウタタ・カカル・ノボル 〔字鏡集〕假 カカル・カフ・ヨシ・カス・カハリ・シバラク・ヨル・カル・アカラサマ・イトマアリ・ウタタ・タトヒ・キタル・イタル・ノボル・オホキナリ・カリニカル・カタシ・ミダリガハシ・ツツム・イトマ

[声系]
〔説文〕に声として假・瑕・・暇・鍜など十五字を収める。は琢冶以前の材質のもので真に非ざるもの。假に「大なり」「遠なり」「暇なり」の訓があるのはその通用義。「至る」は格の通用義である。

[語系]
假・keaは同声。瑕・暇・鍜heaも同系の語。格keakも声近く、神霊の降臨することを金文や〔書〕には「邵各(せうかく)」「昭格」に作り、〔詩〕には「昭假」に作る。各は口((さい)、祝告)に対して、神霊の降下する足(夂)の象で、各・格が正字、假は声の仮借字である。

[熟語]
仮易・仮意・仮印・仮隠・仮・仮花・仮館・仮偽・仮休・仮居・仮髻・仮形・仮・仮継・仮言・仮口・仮号・仮山・仮子・仮死・仮日・仮・仮借・仮若・仮儒・仮充・仮助・仮称・仮傷・仮食・仮真・仮寝・仮人・仮請・仮摂・仮説・仮葬・仮想・仮貸・仮託・仮托・仮賃・仮捏・仮途・仮頭・仮・仮寧・仮寐・仮父・仮母・仮謗・仮冒・仮埋・仮命・仮面・仮喩・仮与・仮容・仮楽・仮使・仮令
[下接語]
恩仮・寛仮・乞仮・休仮・給仮・虚仮・権仮・告仮・私仮・賜仮・取仮・請仮・貸仮・天仮・転仮・赴仮・補仮・満仮・濫仮

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仮」の意味・わかりやすい解説


仏教用語。存在事象などに実体はないが現象として成立していることを意味する。現象としての存在には実体がないということに関して,古来種々に分析して説明され,それに応じていくつかの仮が立てられている。たとえば,窺基は,迷いの世界の人々は,本来実体のない存在や事象をあたかも実体があるように誤って考え,それに執着するが,実はあらゆる存在や事象に実体はないとし,しかしながら実体はなくとも,それらは種々の直接間接原因によって成立したのであって無ではないと主張する。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【服忌令】より

…ほかに触穢(しよくえ)に関する規定も付されていることが多い。服忌令と称するものは,中世伊勢神宮その他の神社で作成されたのが初めであるが,それらは基本的には喪葬令服紀条と仮寧(けによう)令を組み合わせ,喪に服するものが与えられる休暇たる仮(か)を,死穢を忌む期間としてのに変えたものであった。江戸幕府では,これらをもとにして5代将軍徳川綱吉の1684年(貞享1)儒者林鳳岡(ほうこう),木下順庵,神道家吉川惟足(これたり)らの参画の下に,服忌令を制定公布,その後数次の改正の後,1736年(元文1)最終的に確定した(表参照)。…

【休日】より

…休日は働く者の労働のリズムを整え,労働力の再生産に活力を与えるために欠くことのできないものである。
【産業革命以前の休日】
 工場法が施行されるずっと以前から,働く人びとは厳しい労働のあいまに,それぞれの生活に即した休日をもった。古い時代,休日はおおむね祭礼を伴った。異教時代のヨーロッパの休日としてとくに重要なのは五月祭のそれであった。五月祭は夏の到来を告知する祭りであり,五穀豊穣を祈る祭りであった。これに対して,11月1日のハローマスHallowmasは長い厳しい冬を先導する祭りであり,山野を彷徨する先祖の霊を暖かいわが家の炉辺に迎える祭りであった。…

【仏教】より

…代表的なものとしては,(1)一定の性質をもって実在する諸法相互の関係を縁起とみる説一切有部(せついつさいうぶ)の学説と,(2)これに反対し,諸法がその自体をもたず(無自性),空であることが縁起の意義であるとする大乗(中観派(ちゆうがんは))の立場がある。同じ大乗の中でも唯識(ゆいしき)説では,諸法も自我(我)も観念的存在(仮)にすぎないが,それらを実有とみる迷妄の世界が事実としてあることを認め,それをあらしめる根拠たるものとして,われわれの認識構造(識)が,過去無数の諸業によって縁起したものであり,したがって実有であると主張した(ただし実有といっても,縁起したものであるから有為法であり,刹那滅であり,空であり,また価値的には迷妄の存在であるから否定されるべきものである。ただ,否定を通じて悟りを実現させる意味で,悟りにとって不可欠な依処(えしよ)(土台)であると説明される)。…

※「仮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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