デジタル大辞泉 「孫」の意味・読み・例文・類語
ま‐ご【孫】
1 子の子。
2 もとのものから間を一つ隔てること。また、そのような関係。「
[類語]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
孫とは2世代下の子孫の総称であり,日本人はこれを内孫(うちまご)と外孫(そとまご)に区別している。内孫とは婿養子の場合を除いて一般に男の子どもたちの子をいい,外孫とは婚出した子どもたちの子をさす。嫁入婚を基礎とする典型的な3世代家族は祖父母から見れば内孫と同居し,外孫とは同居しない家族形態であるが,婿入婚を基礎とする場合には逆に内孫と別居し,外孫と長く同居する例がある。孫との同居という視点から日本の家族構造を見ると,孫との同居をともなう拡大型や直系型の家族,孫との同居を忌避する核心型家族に分けることができる。直系型家族は家族内の人間関係として,夫婦関係,親子関係,兄弟姉妹関係のほかに祖父母と孫の関係があり,これが家族の強固な統合を形成するうえで強い機能を果たしている。
イギリスの社会人類学者ラドクリフ・ブラウンは親子関係のように隣接する世代間の人間関係はしばしば対立的関係であるとして,このような傾向を世代原理と呼んだ。これに対して2世代はなれた祖父母と孫の関係はつねにきわめて親和的であり,これを隔世代合同の原理と名付けた。これとは別にラドクリフ・ブラウンは人間関係の一般的傾向として,相互に避け合う忌避的関係avoidance relationshipと相互に冗談をいい合ったり,からかい合ったりする冗談関係joking relationshipの二つを設定したが,世代原理は忌避的関係に対応し,隔世代合同原理は冗談関係に対応している。隣接する世代が対立的な緊張関係をもつのは,伝統維持のための権威の必要性にもとづくものであり,一方祖父母と孫が親和的関係をもつのは,人間が生まれ,やがて死んでいくという社会生活の時の流れの中で,祖父母と孫は交替していく存在であるからであるとラドクリフ・ブラウンは説いている。
ラドクリフ・ブラウンの主張からも明らかなように祖父母と孫の親和的関係はどの民族の人間関係にも共通した傾向であり,日本の場合にも例外ではない。日本における祖父母と孫の関係としてとくに注目されるのは,育児がしばしば父母ではなくて祖父母によって担われることである。親夫婦と子ども夫婦が同一家族であっても別々の生活単位を形成する隠居型家族においてとくにこの傾向が強く見られる。この場合隠居屋の祖父母に育てられた孫たちのことをインキョムスメ,インキョムスコといい,これらの孫たちは甘く育てられることから,結婚にあたっては〈インキョムスメは300円安い〉といわれた。しかしながらこの孫たちは隠居(いんきよ)制によってある程度分離した親夫婦と子ども夫婦の統合をはかる重要な存在である。この孫の存在によって3世代家族は強い統合を獲得することができるのである。したがって孫の同居を拒否した核心型家族には,3世代家族のような強い統合が見られないのである。
祖父母と孫の親和的関係をこれ以外の関係にも拡大して,隔世代間の強い関係を設定する制度もしばしば見られる。その一つは祖父母からの個人名の継承(祖名継承)である。祖父母の世代の名前を継承して生児に命名する方法は,日本では近畿地方から西の地域で広く行われており,その典型は長崎県五島の名取り慣行である。五島ではたいていの祖父母は2~3人の孫たちに名を取られており,孫ではない2世代下の子どもに名を取られることもある。名前を取った孫をとくにかわいがる傾向があり,またその孫は名前をもらった祖父母に似るといわれている。つまり名前を取った者と取られた者との間には,社会的にも心理的にもとくに親密な関係が形成されるといえる。また東北地方の一部では,出産の際取りあげた産婆とその夫をトリアゲバアサン,トリアゲジイサンと呼び,取りあげられた子との間に祖父母と孫の関係に似た親和的関係が設定され,その交際が一生つづく例もある。
執筆者:上野 和男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…このように老人は青年,成人,壮年とは異なる社会的価値をもち,社会の重要な構成員のひとつであった。そしてこの老人はやがて死とともに,きたるべき社会を担う孫たちと交替して,それらの中に霊魂が再生する存在でもあった。【上野 和男】
[日本の老人]
現行の法律,老人福祉法,老人保険法においては65歳以上の男女をさすが,一般に〈年寄り〉として認識されているのは,この限りではない。…
※「孫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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