密蔵院(読み)ミツゾウイン

デジタル大辞泉 「密蔵院」の意味・読み・例文・類語

みつぞう‐いん〔ミツザウヰン〕【密蔵院】

愛知県春日井市にある天台宗の寺。山号は、医王山寺号は、薬師寺開創は、嘉暦3年(1328)。開山は、慈妙栄西を祖とする葉上流伝法灌頂道場、篠木談義所として尾張国天台宗の中心寺院であった。

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精選版 日本国語大辞典 「密蔵院」の意味・読み・例文・類語

みつぞう‐いんミツザウヰン【密蔵院】

  1. 愛知県春日井市熊野町にある天台宗の寺。山号は医王山。嘉暦三年(一三二八)慈妙が創建。葉上流(篠木流)の宗学所として学僧を養成し、篠木談義所と称される。蜜蔵院。

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日本歴史地名大系 「密蔵院」の解説

密蔵院
みつぞういん

[現在地名]春日井市熊野町

近くを庄内川が流れる。もと天台宗延暦寺末。正しくは医王山薬師寺密蔵院と称す。本尊薬師如来。嘉暦三年(一三二八)慈妙の創建で、後伏見上皇院宣(密蔵院蔵)によれば後伏見院より「蜜蔵院」の院号を与えられ、以後密蔵院が通称となった。

慈妙は元応元年(一三一九)伊勢神宮に参籠、安養あんよう(現三重県多気郡)の空然阿闍梨から、葉上流(後に密蔵院流、篠木流ともいう)を伝法された。三一歳の時美濃国御嵩みたけ(現岐阜県可児郡)願行がんごう寺に滞留、のち尾張国内の天台復興のため野田のたに来て堂之元どうのもとの地にあったと考えられる古い薬師堂を再興した。康安元年(一三六一)七七歳で没した(三国伝記)。密蔵院はしだいに七堂伽藍もそなわり、葉上流の伝法灌頂の道場として重きをなした。最盛期は永享末年前後と考えられる。末寺は尾張・美濃を中心に一一国・七〇〇余寺に及び、尾張天台の本山(中本寺格)となった。


密蔵院
みつぞういん

[現在地名]柿崎町下牧

米山寺べいさんじ集落の北方にある。真言宗豊山派米山よねやま薬師別当として医王山米山寺密蔵院と号し、米山薬師を管理する。和銅五年(七一二)泰澄の開基とされる。「蔭涼軒日録」の永享九年(一四三七)九月一八日条に「米山寺」とみえ、中矩西堂が幕府より住持に任命され、翌一〇年三月二〇日には当寺より蝋燭一〇〇挺が献上されている。以後、寛正三年(一四六二)に瑞洵、同五年に周基、文正元年(一四六六)に中良、延徳二年(一四九〇)に性が住持に任命され、同四年には十刹の位次に列せられている。天正(一五七三―九二)頃に米山薬師の別当になったと伝える。泰澄作とされる本尊の薬師如来木像がある。


密蔵院
みつぞういん

[現在地名]千代川村見田

山王山円満えんまん寺密蔵院と称し真言宗豊山派。本尊大日如来。寺蔵の宝暦二年(一七五二)の略縁起によれば比叡山の学僧安然が東国を回歴して亀崎かめざき(現下妻市)に至り、在地の亀成氏の協力によって天台寺院を建立、最澄開眼の薬師如来を安置、守護神日吉山王明神を勧請した。亀崎にはかつて法華山一乗院円満寺があったため寺名を山王山東一乗院円満寺とした。永正一三年(一五一六)一一月二三日に山王明神の社と本尊を除いて全焼。領主豊田氏の保護が得られず、以後無住となった。永禄一一年(一五六八)二月に高野山の学僧賢仁が再建し、真言宗に改め、檀家五〇〇軒に及んだ。


密蔵院
みつぞういん

[現在地名]山方町山方 館

高館たかだて山の麓にあり、東には城跡があり、南は急坂の下を皆沢みなさわ川が流れる。境内には榧と銀杏の巨木が茂る。密教山宝蔵寺と号し、真言宗智山派。本尊は大日如来。

寛文三年(一六六三)開基帳(彰考館蔵)によると明応七年(一四九八)興禅の開山で、末寺門徒八ヵ寺、百姓檀那一六〇人を有した。佐竹の家臣山方氏の加護を受けて発展したが、宝暦元年(一七五一)第二〇世宥与の時に堂塔を焼失。


密蔵院
みつぞういん

[現在地名]水府村松平 平

高台に位置し、松平まつだいら城跡の東にある。真言宗豊山派で永禄山長松寺と号する。本尊は聖観世音菩薩。寛文三年(一六六三)の開基帳(彰考館蔵)によると寛正元年(一四六〇)の建立、檀家数八三七、末寺四、門徒一九を有した。「新編常陸国誌」に「除地十三石六斗、血脈云、宝鏡院宥賀附法宥位、和田密蔵院開法、今松平也」とみえる。「水府村史」によると永禄二年(一五五九)佐竹氏の家臣高柿(垣)上総介(義郷)和田わだ村の飯淵いいぶちからこの地に移し、山号を飯淵山から現山号に改称したという。


密蔵院
みつぞういん

[現在地名]田沼町山越

愛宕あたご山の東側に位置。清滝山竜谷寺三明坊と号し、真言宗豊山派。本尊地蔵菩薩。永享九年(一四三七)山城醍醐寺の俊海が佐野重綱の招請で当地を訪れ開いたという。文明三年(一四七一)の僧俊増并俊能中陰記(醍醐寺文書)によれば、嘉吉二年(一四四二)一月二七日、俊増は師俊海のいる当寺を訪ね百日護摩などを行っている。永禄三年(一五六〇)四月一四日、天正六年(一五七八)三月二三日に醍醐寺三宝院の尭雅が当寺を訪れ印可を授けている(「尭雅僧正関東下向記録」同文書)


密蔵院
みつぞういん

[現在地名]刈谷市一里山町 南弘法

旧東海道よりやや北にはずれた森の中にある。天目山と号し、臨済宗永源寺派。弘法大師弥勒菩薩を本尊とする。初め真言宗で現泉田いずみだ町にあったが、正徳四年(一七一四)木吟禅師が臨済宗に改め、永源えいげん(現滋賀県)の末寺とした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「密蔵院」の意味・わかりやすい解説

密蔵院
みつぞういん

愛知県春日井(かすがい)市熊野町にある天台宗の寺。医王山薬師寺(いおうさんやくしじ)と号する。本尊は薬師如来(にょらい)。1328年(嘉暦3)慈妙上人(じみょうしょうにん)がもと薬師堂に入り、栄西(えいさい)に始まる葉上(ようじょう)流の灌室(かんしつ)(灌頂(かんじょう)を行う室)を開き、以来篠木(しのき)談議所として学問道場となった。盛時は山内(さんない)36坊、数百の末寺をもち、江戸時代には名古屋東照宮の別当職(べっとうしき)も兼ねた。濃尾(のうび)地震(1891)で薬師堂、灌室などが倒壊したが、その後諸堂が修復された。多宝塔(室町時代)と木造薬師如来像は国重要文化財

[塩入良道]

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デジタル大辞泉プラス 「密蔵院」の解説

密蔵院

愛知県春日井市にある寺院。天台宗。正称「医王山薬師寺密蔵院」。1328年開創。本尊の薬師如来像と多宝塔(室町時代建立)は国の重要文化財に指定。

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