(読み)シャ

デジタル大辞泉 「射」の意味・読み・例文・類語

しゃ【射】[漢字項目]

[音]シャ(漢) [訓]いる うつ さす
学習漢字]6年
矢や弾を発する。「射撃射殺騎射掃射速射発射乱射
勢いよく出す。発する。「射出射精照射注射投射日射反射噴射放射
ねらう。「射利射幸心
[名のり]い・いり
難読射干しゃが射干玉ぬばたま

しゃ【射】

弓を射ること。また、弓を射る術。弓術射芸。「を能くする」

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精選版 日本国語大辞典 「射」の意味・読み・例文・類語

いる【射】

  1. 〘 他動詞 ア行上一(ヤ上一) 〙
  2. 弓につがえた矢を放つ。鉄砲弾丸をうつ場合にもいう。
    1. [初出の実例]「ますらをのさつ矢手挟み立ち向ひ射流(いル)的形は見るにさやけし」(出典万葉集(8C後)一・六一)
    2. 「奥よりこの矢をゐて候が、ゐかへせとまねき候」(出典:平家物語(13C前)一一)
  3. 矢や弾丸を目的物に当てる。
    1. [初出の実例]「箭に中(イ)(ら)れたるらむが如くして」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇)
    2. 「矢だね皆いつくして、馬をもいさせ」(出典:平家物語(13C前)七)
  4. 光が強く照らす。
    1. [初出の実例]「芙蓉帳開而素月射幌」(出典:続浦島子伝記(920))
  5. 鋭い視線を当てる。また、物事を強く印象づける。
    1. [初出の実例]「この二人のさまの殊なるは、早くわが目を射き」(出典:うたかたの記(1890)〈森鴎外〉上)
  6. ねらって取る。
    1. [初出の実例]「一時の虚名を射むとするのみ」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)

しゃ【射】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 弓を射る術。弓術。射芸。
    1. [初出の実例]「賜大射于南闈。新羅使亦在射列。賜綿各有差」(出典:続日本紀‐和銅八年(715)正月庚子)
    2. 「瞬(まばた)かざるのみでは未だ射(シャ)を授けるに足りぬ」(出典:名人伝(1942)〈中島敦〉)
    3. [その他の文献]〔礼記‐射義〕
  3. 弓を射ること。
  4. ( ━する ) 銃砲をうつこと。射撃。
  5. ( ━する ) 物でもってうつこと。光線液体気体などを勢いよく発すること。
    1. [初出の実例]「此十余日右腰下有堅根、〈略〉其熱頗大、雖無恐、早以蓮可射之由所申也」(出典:中右記‐大治二年(1127)四月二六日)

いくいいくひ【射】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「いくう(射)」の連用形名詞化 ) 宮中で行なわれた弓術の礼式。射礼(じゃらい)。大射(たいしゃ)
    1. [初出の実例]「春正月の戊子の朔壬寅、朝庭(みかど)に射(イクヒ)(別訓 いくふ)す」(出典:日本書紀(720)大化三年正月(北野本訓))

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普及版 字通 「射」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] シャ・セキ・エキ・ヤ
[字訓] いる・あてる・いとう

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
初形は弓+矢+(ゆう)(手)。弓に矢をつがえてこれを射る形。のち弓矢の形を身と誤り、金文にすでにその形に近いものがある。〔説文〕五下に「弓弩(きゆうど)、身より發して、きに中(あた)るなり。矢に從ひ、身に從ふ」とするのは、のちの篆文の字形によって説くもので、身の部分は弓の形である。射は重要な儀礼の際に、修祓の呪儀として行われたもので、盟誓のときには「射(くわいしや)(会射)」して、たがいに誓う定めであった。字にまた釋(釈)(せき)・(えき)の音があり、その字義にも用いる。

[訓義]
1. いる、弓をいる。
2. 釈と通じ、あてる、推測する、さしとる。
3. と通じ、いとう、あく。
4. 繹(えき)と通じ、つづく。
5. (と)と通じ、つくす、やぶる。

[古辞書の訓]
和名抄〕射 由美以留(ゆみいる)/射 加知由美(かちゆみ)/細射 末々岐由美(ままきゆみ)/射 楊氏語抄に云ふ、止保奈計(とほなげ)/馳射 今案ずるに、俗に云ふ、於无毛乃以(おむものいる)/弋射 以豆留(いづる)(箋注)蓋し射の義/照射、今案ずるに、此のに、照射を止毛之(ともし)と云ふ/戲射 今案ずるに、此のに佐以多天(さいたて)と云ふは、是なるか。(箋注)谷川(士清)氏曰く、左以多天は、疑ふらくは小射楯の義ならん/射乏 夜布世岐(やふせぎ)/射翳 師に、末布之(まぶし) 〔名義抄〕射 イル・ハカル・トホシ・ユミイル・イトフ/照射 トモシ/戲射 サイタテ/射乏 ヤフセギ/弋射 イツル/射 カチユミ/細射 ママユミ/射 トホナゲ/馳射 オムモノイル 〔字鏡集〕射 ハヤシ・イル・ヤ・ユミイル・トホシ・イトフ・ハカル・トホル

[声系]
〔説文〕に射声として謝・など三字を収める。は〔新附〕にみえるが、金文にみえる射廬の意。射は和好を示す重要な儀礼で、謝はその声義を承けるものであろう。

[語系]
射djyak、釋sjyakは声近く、通用することがある。舍(舎)sjyaもその声が近い。またjyakも声が通じ、通用することがある。

[熟語]
射意・射影・射獲・射捍・射器・射機・射儀・射宮・射御・射芸・射月・射侯・射工・射倖・射・射鉤・射殺・射士・射日・射者・射手・射招・射場・射数・射・射中・射天・射服・射・射猟・射礼・射官・射・射策・射像・射的・射覆・射利・射干
[下接語]
暗射・宴射・燕射・会射・学射・騎射・享射・郷射・射・激射・姑射・工射・巧射・好射・習射・照射・拙射・善射・掃射・速射・大射・弾射・馳射・逐射・注射・直射・弩射・博射・発射・反射・賓射・無射・輻射・噴射・聘射・放射・僕射・弋射・乱射・猟射

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「射」の意味・わかりやすい解説


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