(読み)しゅう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

州(しゅう)
しゅう

アメリカ、カナダ、スイスのように、歴史的な事情により連邦国家として成立した国で、その連邦を構成する支分国を、日本では普通、州とよんでいる。これらの州は、連邦国の単一主権のもとに結合していて、それ自体は単一の国家ではない。しかし、連邦の単なる地方行政区画や地方自治体とは異なり、広範な自主権をもち、連邦の意思決定に参与し、直接・間接に自州の利害を反映できる仕組みになっている場合が多い。
 アメリカ合衆国は、現在50州stateからなり、各州がそれぞれ州憲法を有し、連邦政府と類似した機能と権限をもった州政府、州議会、州裁判所、州兵をもっている。連邦憲法で禁止されている場合は別として、州が州内の行政については権限をもち、地方制度や選挙制度は州議会の立法で決められ、それについて連邦は関与できないので、全国一律の制度にはなっていない。さらに、連邦憲法の修正は州議会の承認が必要で、連邦議会で権限の強い上院は規模・人口の大小を問わず各州から2名ずつ選挙されているように、州は政治的、社会的に依然として重要な地位を占めている。
 スイスは、1979年以降、23の州(カントンcanton)で、連邦を構成している。その連邦における地位は、アメリカと同様強力である。カントンには、議会と政府があるが、イニシアティブとレファレンダムの直接民主制が徹底している。
 イギリスの旧植民地の諸国も連邦国家が多く、それらの国はアメリカと同じような権限をもつ州の制度になっている。アメリカでは、州権を根拠にして連邦に抵抗する動きが建国以後みられたが、南北戦争以後はみられなくなった。しかし、たとえば10の州provinceからなるカナダでは、州の独立を主張したり、連邦政府の権限を大幅に州政府に移すことを迫る動きがみられる。また、22の州からなるインドでは、連邦政府の政権担当勢力とそれに抵抗する州の間の政治的対立が内政の重要問題になることが多い。こうした連邦と州の間の対立とは別に、一般的に州の間の格差が大きくなったり、全国的観点から統一的に処理する施策が増大しているので、しだいに連邦の州に対する関与、指導が強まる傾向にある。ロシア連邦も連邦制で、21の共和国によって構成されている。[高木鉦作]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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