デジタル大辞泉 「巾」の意味・読み・例文・類語 きん【巾】[漢字項目] [常用漢字] [音]キン(漢) [訓]きれ1 布きれ。「巾着/手巾・雑巾ぞうきん・茶巾・布巾・三角巾」2 布製のかぶりもの。「巾幗きんかく/頭巾ずきん」[補説]「幅はば」「羃べき」の代用字とすることがあるが、もと別字。[難読]脛巾はばき・領巾ひれ・肩巾ひれ きん【巾】 1 切れ。切れ地。布。2 ふきん。手ぬぐい。3 箏そうの13本目の弦。奏者から見ていちばん手前の弦。4 頭や襟をおおう布。頭巾ずきん。「頭かしらに紺染あをぞめの―を被かづき」〈読・雨月・青頭巾〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「巾」の意味・読み・例文・類語 きん【巾】 〘 名詞 〙① きれ。きれ地。布。[初出の実例]「余花落処争移レ榻、宿醸開時且漉レ巾」(出典:菅家文草(900頃)一・春日仮景、尋訪故人)② ふきん。手拭(てぬぐい)。手巾。[初出の実例]「山腰の帰雁は斜に帯を牽く 水面の新虹はいまだ巾を展べず〈都在中〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)上)③ 頭にかぶるもの。髪をおおうもの。頭巾。[初出の実例]「荒戍平蕪輾二桂輪一、情懐到レ此涙沾レ巾」(出典:梅洞林先生詩続集(1668)二・荒戍月)「年紀五旬(としのころいそじ)にちかき老僧の、頭に紺染の巾を帔き、身に墨衣の破たるを穿て」(出典:読本・雨月物語(1776)青頭巾)[その他の文献]〔王維‐観別者詩〕④ 琴の一番手前に当たる一三番目の糸の名。〔二十巻本和名抄(934頃)〕⑤ ( 「巾」は巾着の略 ) 客、入場者をいう、芸人仲間の隠語。 ちきり【巾】 〘 名詞 〙 帽子や頭巾の類。[初出の実例]「其鐘を撃かば吏者(つかさ)赤の巾(チキリ)を前に垂れよ」(出典:日本書紀(720)大化三年四月(北野本訓)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「巾」の読み・字形・画数・意味 巾常用漢字 3画 [字音] キン[字訓] ひざかけ・きれ・てふき[説文解字] [甲骨文] [金文] [字形] 象形佩巾の形。腰に帯びる巾で、(ふつ)・佩・帶(帯)の字形のうちに含まれている。儀礼の際に用いる膝(へいしつ)(ひざかけ)の類。金文の賜与に、〔壺(こつこ)〕「赤(せきふつ)幽(衡、玉器)」、〔師兌(しえつき)〕「女(なんぢ)に乃(なんぢ)のの巾((ふつ))~を賜ふ」のように巾をの意に用いており、巾がもと(膝)を意味する字であった。には、のち・・黻(ふつ)の字を用い、巾は布巾・衣巾の字として区別されるようになった。〔説文〕七下に「佩巾なり」とあり、その佩巾を以てものを拭うことを(さつ)という。〔玉〕に「本(もと)以て物を拭ふ。後人之れを頭に(つ)く」とあり、頭巾をいう。もと礼装に用いた膝の類が、時代とともに変化して、のちには布帛をいう字となった。[訓義]1. ひざかけ。2. えりかけ。3. てふき、ふきん。4. ずきん。5. たび。6. きれ、ぬの、おりもの。7. おおう、つつむ。8. 国語で、幅の略字として用いる。はば。[古辞書の訓]〔名義抄〕巾 ノゴフ・ノリモノ/手巾 タノゴヒ/巾箱 タノゴヒノハコ、一に云ふ、ウチミダリノハコ/領巾 ヒレ 〔立〕巾 ハラコ・ノル・タナコヒ・カカホル・カフル・タホフ 〔字鏡集〕巾 タナコヒ・ノコフ・カザル・カウフリ・トラフ・ノリモノ・コシ[部首]〔説文〕に帶・常・席・帖など六十一字、〔新附〕九字を属し、〔玉〕に百七十一字を属する。六朝には服飾が多様化して、造字の必要があったのであろう。部中に帚を収めるが、帚は箒を立てた形で、巾に従う字ではない。なお・帛・(へい)はそれぞれ部首の字である。[熟語]巾衣▶・巾裹▶・巾駕▶・巾▶・巾角▶・巾客▶・巾幗▶・巾額▶・巾褐▶・巾冠▶・巾巻▶・巾盥▶・巾環▶・巾▶・巾篋▶・巾▶・巾笏▶・巾▶・巾衫▶・巾子▶・巾笥▶・巾▶・巾▶・巾車▶・巾袖▶・巾▶・巾飾▶・巾▶・巾箱▶・巾▶・巾▶・巾舞▶・巾服▶・巾払▶・巾▶・巾▶・巾履▶・巾涙▶[下接語]衣巾・烏巾・角巾・巾・冠巾・岸巾・巾・巾・巾・香巾・絳巾・縞巾・紗巾・巾・雑巾・手巾・頭巾・茶巾・佩巾・白巾・帛巾・披巾・布巾・舞巾・風巾・服巾・幅巾・濫巾・領巾・綸巾・鹿巾 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報