悪逆(読み)アクギャク

デジタル大辞泉 「悪逆」の意味・読み・例文・類語

あく‐ぎゃく【悪逆/悪虐】

人道に外れた、ひどい悪事悪行
律の八虐はちぎゃくの一。主君尊属を殺そうとする罪。
悪いいたずら乱暴
「酒に酔うては―仕りたるが」〈虎明狂・悪太郎
[類語]悪い悪辣奸悪邪悪奸佞陰険性悪悪性俗悪凶悪極悪罪悪悪徳背徳悪行悪事巨悪諸悪暴悪卑劣陋劣ろうれつ狡猾こうかつよこしまさがない腹黒い腹汚い悪賢いずる賢い小賢しいずるいこすいこすっからいあくどいさかしいさかしら老獪

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精選版 日本国語大辞典 「悪逆」の意味・読み・例文・類語

あく‐ぎゃく【悪逆・悪虐】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 道にそむいた、はなはだしい悪事。主君や父にあだするような罪悪。また、そのようなことを行なうさま。
    1. [初出の実例]「何敢違天発悪逆事」(出典:続日本紀‐天平宝字元年(757)七月庚戌)
    2. 「されば悪逆(アクギャク)忽に顕て、手引しつる同宿ども、或は討たれ、或は生虜(いけとら)れぬ」(出典:太平記(14C後)一七)
    3. [その他の文献]〔漢書‐師丹伝〕
  3. いたずら。乱暴。
    1. [初出の実例]「あく太郎と申て、さけにようては、あくぎゃく仕たるが」(出典:虎明本狂言・悪太郎(室町末‐近世初))
  4. 古代の律に定められた罪名。八虐の一つ。祖父母父母を殴打し、殺そうと謀ったり、または、伯叔父姑、兄姉、外祖父母、夫、夫の父母を殺した際の罪。〔律(718)〕

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普及版 字通 「悪逆」の読み・字形・画数・意味

【悪逆】あくぎやく

逆乱無道。〔漢書、師丹伝〕趙玄、奏言す。~丹、惡赦令ると雖も、宜しく邑を(たも)たしむべからず。ふ、じて庶人と爲さんと。奏可せらる。

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世界大百科事典(旧版)内の悪逆の言及

【悪】より

【湯浅 泰雄】
[日本の古代・中世における悪]
 ふつう道に外れ,法に背く行為を悪とするが,歴史的にはそれほど単純ではない。養老律では八虐(はちぎやく)の一つに,祖父母・父母などを殴打・殺害する罪として〈悪逆〉をあげるが,令制では儒教的な徳目に基づき,官人の功過の評価について善悪が問題にされた。10世紀から11世紀にかけて広く見られる〈不善の輩〉は下級官人を含んでおり,この善悪と無関係ではないが,その実態は放火・殺害・強窃(ごうせつ)二盗,博奕などを事とする人々であった。…

【十悪】より

…中国,隋・唐以後の律で,国家,社会の秩序を乱す罪としてとくに重く罰せられた〈謀反〉〈謀大逆〉〈謀叛〉〈悪逆〉〈不道〉〈大不敬〉〈不孝〉〈不睦〉〈不義〉〈内乱〉の総称。漢律にもすでに〈不道〉〈不敬〉といった名目があり,北斉律にいたって重罪十条という規定が設けられていた。…

【八虐】より

…律の条文のうち,主として儒教的見地から道徳上の教えに違反する罪を集めて,それを謀反(むへん)(反をはかる),謀大逆(大逆をはかる),謀叛(むほん)(叛をはかる),悪逆,不道,大不敬,不孝,不義の8項目に分類し(表参照),それに特別な法的効果を付与した規定。したがって八虐に当たる罪に対する刑罰がすべて重いとは限らない。…

※「悪逆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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