抜かす(読み)ヌカス

デジタル大辞泉 「抜かす」の意味・読み・例文・類語

ぬか・す【抜かす】

[動サ五(四)]
入れるべきものを入れない。うっかりして落とす。漏らす。また、間をとばす。「順番を―・す」
抜けるようにする。力などを失わせる。「びっくりして腰を―・す」「うつつを―・す」
(「吐かす」とも書く)言う、しゃべるの意で、相手を卑しめていう語。言いやがる。ほざく。「てめえ何を―・すか」
ある場所から逃げ出させる。
「権三様をもあの婆が、見ぬやうにそっと―・してなせませ」〈浄・鑓の権三
[可能]ぬかせる
[類語]ほざく言う話すしゃべる語る述べる発言する口を利く口に出す口にする吐く漏らす口走るうそぶく言い出すしゃべくる物言う伝える告げる物語る打ち明ける明かす説明する述懐する告白する口外こうがいする他言たごんする言い掛ける言い始める言い話し込む話しかける口に上る口の端に掛かる口を開く口を切る申し述べる(尊敬)おっしゃる仰せられるのたま謙譲申し上げる申す言上ごんじょうする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「抜かす」の意味・読み・例文・類語

ぬか・す【抜・吐】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 力や勢いをなくす。
    1. [初出の実例]「はねもはへぬものをとばせて、こしをぬかひたほどに」(出典:虎明本狂言・柿山伏(室町末‐近世初))
  3. ある場所から逃げ出させる。ぬけ出させる。
    1. [初出の実例]「世界のむつかしいをくっとぬけたいぞ。蝉のぬけがらの様にして此世界をぬかいてくれよぞ」(出典:両足院本山谷抄(1500頃)七)
  4. 入れるべきものを入れおとす。もらす。また、間を飛ばす。省略する。抜く。「一行ぬかして読む」
    1. [初出の実例]「兎角爰をぬかしてならぬ括所じゃぞ」(出典:絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初))
  5. 取って自分のものにする。ぬきとる。
    1. [初出の実例]「えい道具はみなぬかして、おまへとふたり夜舟で、ほいとこさやるわ」(出典:洒落本・色深睡夢(1826)下)
  6. ( 吐 ) ( 口からもらすの意 ) 言う、しゃべるの意で、動作主をののしって用いる。言いやがる。
    1. [初出の実例]「ナニヲ nucasuca(ヌカスカ)?」(出典日葡辞書(1603‐04))

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