明かす(読み)アカス

デジタル大辞泉 「明かす」の意味・読み・例文・類語

あか・す【明かす】

[動サ五(四)]
物事をはっきりさせる。今まで隠していたことを明るみに出す。「理由を―・す」「手品の種を―・す」「身の上を―・す」「胸の内を―・す」
(「証す」と書く)疑わしい点をはっきりさせる。証明する。あかしを立てる。「身の潔白を―・す」
眠らず夜を過ごして、朝を迎える。「まんじりともせず一夜を―・す」
明るくする。
海原沖辺にともしいざる火は―・してともせ大和島見ゆ」〈・三六四八〉
[可能]あかせる
[類語](1証明話す立証実証例証論証検証挙証証言あかし裏付け裏書き立証裏打ち(―する)しょうする裏付ける証拠立てる語るしゃべるしゃべくる物言う口を利く伝える告げる言う述べる物語る打ち明ける説明する述懐する告白する口外こうがいする他言たごんする言い出す言い掛ける言い始める言い話し込む話しかける発言する口に出す口にする口に上る口の端に掛かる口を開く口を切る吐く漏らす口走る抜かすほざくうそぶくおっしゃる仰せられるのたま申し上げる申し述べる申す言上ごんじょうする/(3宵っ張り徹夜夜明かし夜を徹して夜更かし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「明かす」の意味・読み・例文・類語

あか・す【明】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 明るくする。
    1. [初出の実例]「海原の沖辺にともし漁(いざ)る火は安可之(アカシ)てともせ大和島見む」(出典万葉集(8C後)一五・三六四八)
  3. 火をつける。ともす。
    1. [初出の実例]「ヒヲ acasu(アカス)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  4. 夜が明けるのを待ち過ごす。眠らないで夜を過ごす。
    1. [初出の実例]「思ひつつ いも寝かてにと 阿可思(アカシ)つらくも 長きこの夜を」(出典:万葉集(8C後)四・四八五)
    2. 「月は夜な夜なさし入れども、ながめてあかすぬしもなし」(出典:平家物語(13C前)灌頂)
  5. ( 「証す」とも書く ) 証明する。疑いをただして明らかにする。
    1. [初出の実例]「彼の経には、一切衆生は〈略〉種種道に成ると明(アカス)」(出典:法華義疏長保四年点(1002)二)
    2. 「この秘儀の実否を証(アカ)すよすがはない」(出典:王城の護衛者(1965)〈司馬遼太郎〉)
  6. (秘密などを)打ち明けていう。表わす。
    1. [初出の実例]「此の人にもさなむありしなど、あかし給はん事はなほ口重き心地して」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)
    2. 「自分はここに其姓名を明(ア)かしたくない」(出典:まぼろし(1898)〈国木田独歩〉渠)

明かすの語誌

「あく(明)」に対する他動詞形で、の「明るくする」意が原義名詞は「あかし」。の意の「明かす」は「暮らす」と対義の関係にあり、「明かし暮らす」で「夜を明かし日を暮らす=日々を過ごす」意を表わす。の意の早い例は、和文よりもむしろ訓点資料に見られるところから、漢文訓読によって生じた用法と推定される。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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