言掛ける(読み)イイカケル

デジタル大辞泉 「言掛ける」の意味・読み・例文・類語

いい‐か・ける〔いひ‐〕【言(い)掛ける】

[動カ下一][文]いひか・く[カ下二]
言い出そうとする。話し始めて、途中でやめる。言いさしにする。「結論を―・けたまま別の話に転じてしまう」
言葉をかける。
悪口雑言を―・けられて」〈西周・百一新論〉
言いがかりをつける。
「少しも身に覚えのない事を―・けられ」〈円朝怪談牡丹灯籠
和歌連歌俳諧などで、一語に二つ以上の意味をもたせて使う。掛けことばを用いる。「『松』に『待つ』を―・ける」
[類語]話す語るしゃべるしゃべくる物言う口を利く伝える告げる言う述べる物語る打ち明ける明かす説明する述懐する告白する口外こうがいする他言たごんする言い出す言い始める言い話し込む話しかける発言する口に出す口にする口に上る口の端に掛かる口を開く口を切る吐く漏らす口走る抜かすほざくうそぶくおっしゃる仰せられるのたま申し上げる申し述べる申す言上ごんじょうする

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精選版 日本国語大辞典 「言掛ける」の意味・読み・例文・類語

いい‐か・けるいひ‥【言掛】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]いひか・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 人に向かって、言葉、手紙、歌などで物を言う。話しかける。
    1. [初出の実例]「物をだにいはんとて、いひかくれどもことともせず」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. まだ十分言い尽くさないで話の中途でやめる。言い残す。
    1. [初出の実例]「此の三句は、前の下の句に曲の心ありてもみくどきたる故に、付句を篇・序・題になしていひかけて前句にゆづり侍り」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)
  4. 無実のことを、その人の責任のように偽り言う。言いがかりをつける。難癖をつける。
    1. [初出の実例]「石松法師云者、於小河等竹首座懸虚名」(出典蔭凉軒日録‐文明一九年(1487)二月一四日)
    2. 「とがを云かけられて殺されかせうずらうぢゃほどに」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)三)
  5. あることを話しはじめる。言いはじめる。
    1. [初出の実例]「『最前からお前様を』いひかくるを目でおさへ」(出典:桐一葉(1894‐95)〈坪内逍遙〉四)
  6. 歌などで、一語を二語、または、それ以上の意にわたるものとして用いる。掛詞を用いる。

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