仰る(読み)オッシャル

デジタル大辞泉 「仰る」の意味・読み・例文・類語

おっしゃ・る【仰る/有る】

[動ラ五(四)]《「おおせある」の音変化》
言う」の尊敬語言葉を口にお出しになる。言われる。おおせられる。「先生はこう―・いました」「早く―・い」
人名などを受けて)そういう名前でいらっしゃる。「佐藤さんと―・る方」「お名前はなんと―・いますか」
[可能]おっしゃれる
[補説]命令形「おっしゃい」は、多く女性が使う。
[動ラ下二]に同じ。
「おゆき様とお前と逢はせた時、これ限りと―・れたか」〈浄・鑓の権三
[類語]仰せられる言う話すしゃべる語る述べる発言する口を利く口に出す口にする吐く漏らす口走る抜かすほざくうそぶく言い出す申し上げる申すしゃべくる物言う伝える告げる物語る打ち明ける明かす説明する述懐する告白する口外こうがいする他言たごんする言い掛ける言い始める言い話し込む話しかける口に上る口の端に掛かる口を開く口を切る仰せられるのたま申し上げる言上ごんじょうする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仰る」の意味・読み・例文・類語

おっしゃ・る【仰】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 「いう(言)」の尊敬語。言われる。仰せられる。
      1. [初出の実例]「怖がってござれば仰(オッシャ)られまい」(出典:歌舞伎・一心二河白道(1698)一)
      2. 「御礼をおっしゃいと三木のお母さんは教える」(出典:判任官の子(1936)〈十和田操〉六)
    2. ( 人の名などに助詞「と」の付いた形を受けて ) そういう名前でいらっしゃる。古くは謙譲語「申す」を用いた。
      1. [初出の実例]「此の旦那が〈略〉石場の伊之助さんと被仰(オッシャ)るお方だぜ」(出典:人情本・春色雪の梅(1838‐42頃か)四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「なぜに、いやとおっしゃるるぞ」(出典:狂言記・角水(1660))
    2. 「お雪さまとお前とあはせた時、是かぎりとおっしゃれたか」(出典:浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上)

仰るの語誌

( 1 )室町時代に現われた「おしゃる」が江戸時代に「おっしゃる」となったとする説がある一方、二つとも同時的に例があるため共に「おおせある」または、「おおせらる」からの変化形と見る説もある。成立時期は近世前期と見られ、四段活用が多いが、下二段の例も宝暦頃までは並び行なわれたようである。
( 2 )二段活用の使用された時期は短く、四段活用が現在にまで及んでいる。命令形はもと「おっしゃれ」「おっしゃい」の両形が使われたが、現在では「おっしゃい」に統一され、この命令形は「言いなさい」の意で主として、女性により用いられる。
( 3 )命令形、および助動詞「ます」に続く形に「おっしゃい」が現われること、「ます」の命令形「まし」「ませ」が直接付くことなどから、特別ラ行四段活用とか、ラ行変格活用とかと呼ぶべきだとする意見もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android