仰せられる(読み)オオセラレル

デジタル大辞泉 「仰せられる」の意味・読み・例文・類語

おおせ‐ら・れる〔おほせ‐〕【仰せられる】

[動ラ下一][文]おほせら・る[ラ下二]《動詞「おおす」に受身・尊敬助動詞「られる」の付いた連語の一語化》
言う」の尊敬語。おっしゃる。「お父上は何と―・れましたか」
命ずる」の尊敬語。お命じになる。
つくろふべき所、所の預り、いま加へたる家司けいしなどに―・る」〈松風
[類語]おっしゃる言う話すしゃべる語る述べる発言する口を利く口に出す口にする吐く漏らす口走る抜かすほざくうそぶく言い出す申し上げる申すしゃべくる物言う伝える告げる物語る打ち明ける明かす説明する述懐する告白する口外こうがいする他言たごんする言い掛ける言い始める言い話し込む話しかける口に上る口の端に掛かる口を開く口を切るのたま申し述べる言上ごんじょうする

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精選版 日本国語大辞典 「仰せられる」の意味・読み・例文・類語

おおせ‐ら・れるおほせ‥【仰られる】

  1. 〘 他動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]おほせら・る 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 「おおす(仰)」に、受身・尊敬の助動詞「られる(らる)」の付いたもので、本来は連語 ) 命ぜられる立場の者を主にした受身の意から、上位者が「お命じになる」意が生じ、さらに、命令の意が薄くなって「おっしゃる」の意にも移ったものか。
  2. 「命ずる」の尊敬語。命ぜられる。お命じになる。中には「(下位者が上位者から)命令される」の意を持つと考えられそうな場合もある。
    1. [初出の実例]「大内記紀友則〈略〉右衛門の府生壬生忠岑らにおほせられて、万葉集に入らぬ古き歌、みづからのをも奉らしめ給ひてなん」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    2. 「おのおのあさなべの御用ならば、こなたへおほせられいや」(出典:虎明本狂言・鍋八撥(室町末‐近世初))
  3. 「言う」の尊敬語。おっしゃる。下位者に対し、ことばをおかけになる、という気持が強い。
    1. [初出の実例]「いで、あなけしからずや。などかくはおほせらるる」(出典:落窪物語(10C後)一)
    2. 「細君は縮緬(ちりめん)紋付で『いやな猫ねえ』と仰せられる」(出典吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)

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