漁る(読み)アサル

デジタル大辞泉 「漁る」の意味・読み・例文・類語

あさ・る【漁る】

[動ラ五(四)]
動物がえさや獲物を探し求める。「野良猫ごみ箱を―・る」
魚介海藻などを探し求める。漁をする。
「小さな磯を―・っている此人をじっと眺めていた」〈独歩・忘れえぬ人々〉
物や人を探し回る。「古本を―・る」
(動詞の連用形に付いて)何かを求めて、その動作諸所で行う。…してまわる。「株を買い―・る」
[類語]探る探すまさぐる尋ねる探し求める物色する求める見出す探り出す探し出す探り当てる探し当てる探りを入れる探し物模索捜索渉猟家捜し穿鑿ほじくる粗探し探求探検探査探索検索手探り

すな‐ど・る【漁る】

[動ラ五(四)]魚や貝などをとる。りょうをする。
たきぎるべき林の中、魚―・るべき海のくまにも」〈露伴・風流魔〉

いさ・る【漁る】

[動ラ四]《古くは「いざる」》魚や貝などをとる。りょうをする。
遠近をちこちに―・り釣りけり」〈・四三六〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「漁る」の意味・読み・例文・類語

あさ・る【漁】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 食物を求める。
    1. (イ) 鳥獣がえさを探し求める。また、つついたりほじったりして食べられるところをさがす。
      1. [初出の実例]「春の野に安佐留(アサル)(きぎし)の妻恋ひに己があたりを人に知れつつ」(出典万葉集(8C後)八・一四四六)
      2. 「人、こ鷹手に据ゑつつ参れり。帰り給ふままに、野辺ごとにあさらせ給ひて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    2. (ロ) 人が魚介、海藻などを探し採る。すなどる。いさる。
      1. [初出の実例]「伊勢島や潮干の潟にあさりてもいふかひなきはわが身なりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
      2. 「荒磯はあされど何の甲斐なくて潮(うしほ)に濡るるあまの袖かな」(出典:更級(1059頃))
  3. 人や物を捜し求める。捜し歩く。あなぐる。
    1. [初出の実例]「ぬす人いりまうで来て〈略〉かしこに侍るもののいささかなる調度など、みなあさりとりてまかりにしかば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)
    2. 「三吉は自由に橋本の蔵書を猟(アサ)ることを許された」(出典:家(1910‐11)〈島崎藤村〉上)
  4. ( 比喩として ) 九州地方で、天日に干してある米・麦などや火で炒ってある亜麻仁などを、手でかきまぜるのにいう(日葡辞書(1603‐04))。→あせる
  5. 動詞の連用形について、何かを求めて、その動作を諸所で行なう、してまわる、の意を表わす。「買いあさる」「読みあさる」

すな‐ど・る【漁】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
  2. 魚や貝をとる。漁をする。いさる。
    1. [初出の実例]「沖方(へ)行き辺(へ)に行き今や妹がためわが漁有(すなどれる)藻臥束鮒(もふしつかふな)」(出典:万葉集(8C後)四・六二五)
    2. 「海郎(あま)どもあまた養ひ、鰭(はた)の広物狭き物を尽してすなどり、家豊に暮しける」(出典:読本・雨月物語(1776)蛇性の婬)
  3. 片端からしぼり取る。搾取する。
    1. [初出の実例]「太守として、賦を重くし財を貪りて、国内に漁(スナトル)もの也」(出典:将門記承徳三年点(1099))

いさ・る【漁】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 古くは「いざる」 ) 魚や貝をとる。漁をする。
    1. [初出の実例]「海原の沖へにともし伊射流(イザル)火はあかしてともせ大和島見む」(出典:万葉集(8C後)一五・三六四八)

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