デジタル大辞泉
「煙る」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
けぶ・る【煙・烟】
- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ( 後世は「けむる」 )
- ① けむりが立ちのぼったり、立ちこめたり、たなびいたりする。くすぶる。
- [初出の実例]「高どのにのぼりて見れば天の下よもに計布理(ケフリ)て今ぞ富みぬる〈藤原時平〉」(出典:日本紀竟宴和歌‐延喜六年(906))
- ② 新芽や若葉などが一面に出そろって、かすんだようになる。新緑が一面にもえ出る。
- [初出の実例]「林を見れば木の芽けぶりて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
- ③ ほんのりと美しく見える。手入れをしていない子どもの眉などが、ぼうっと美しく見えるさまをいう。
- [初出の実例]「つらつき、いとらうたげにて、眉のわたり、うちけふり、いはけなくかいやりたる額つき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- ④ 火葬のけむりとなって立ちのぼる。荼毘に付される。
- [初出の実例]「むかひゐてみるにも悲しけふりにし人ををけひのはひによそへて」(出典:和泉式部続集(11C中)上)
- ⑤ 霞や霧などが立ちこめたり、たなびいたりする。あたりがぼんやりとかすむ。
- [初出の実例]「をしほの山の小松が原より、けふるかすみの遠山桜」(出典:光悦本謡曲・小塩(1470頃))
けむ・る【煙・烟】
- 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 古くは「けぶる」 )
- ① 煙が立ちのぼったり、たなびいたりする。煙がさかんに出る。
- [初出の実例]「それと見よ都のかたの山ぎはに結ぼほれたるけぶりけむらば」(出典:和泉式部集(11C中)上)
- ② 煙がたちこめたように周囲がかすむ。あたりがぼんやりする。また、比喩的に心のうちがはっきりしないで暗くなる。
- [初出の実例]「すすきかるかやかぜにみだれ、もみぢけむるむらしぐれ、にしきの山にことならず」(出典:御伽草子・貴船の本地(室町時代物語大成所収)(室町末))
- ③ 一面が新芽の薄緑でかすんだようになる。
- [初出の実例]「両岸は緑野低く春草煙(ケム)り」(出典:わかれ(1898)〈国木田独歩〉)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 