確か・慥か(読み)たしか

精選版 日本国語大辞典 「確か・慥か」の意味・読み・例文・類語

たし‐か【確か・慥か】

(「たしに」の「たし」に、接尾語「か」の付いたもの)
[1] 〘形動〙
① 真実があってしっかりしているさま。心にすきがなくて動揺しないさま。
書紀(720)雄略七年八月(前田本訓)「国家(おほやけ)の情深く、君臣(きみのやつこ)の義(ことわり)(タシカ)なり」
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「北さん北さん、気をたしかにもちなせへ」
② 実があって信用できるさま。あぶなげなく安心できるさま。
万葉(8C後)一二・二八七四「(たしかなる)使を無みと情をそ使に遣りし夢に見えきや」
徒然草(1331頃)二二二「本経のたしかなるにつきて、この真言・陀羅尼をば申しつるなり」
③ (多く「たしかに」の形で副詞的に用いる) ことの実現に間違いのないさま。確実であるさま。
蜻蛉(974頃)上「たしかに来とあらば、おづおづも」
④ 間違いなく判断できるさま。あやふやな点がなくはっきりしているさま。明確なさま。
古今(905‐914)仮名序宇治山の僧きせんは、ことばかすかにして、始め終りたしかならず」
⑤ 間違いなく正確なさま。ぴたりと当たっているさま。
落窪(10C後)二「たしかに案内せさせてこそおりさせ給はましか」
今昔(1120頃か)二「未だ其物の員(かず)(たしか)に不思えず」
[2] 〘副〙 かなりの確実性をもって物事を決めつけたり、推察したりしていう。間違いなく、あるいはそれに近い程度に。
※虎寛本狂言・目近(室町末‐近世初)「そなたへ被仰付たは、たしかこめこめとやら仰られた」
咄本・軽口露がはなし(1691)一「慥(タシカ)きのふも東山へ行くとて通りたるに」
たしか‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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