デジタル大辞泉 「立つ」の意味・読み・例文・類語
た・つ【立つ】
1 ある場所にまっすぐ縦になっている。
㋐足を伸ばしてからだを縦に支える。「通路に―・つ」
㋑草や木が地に生える。「街路樹が―・つ」
㋒長いものや高大なものが直立して位置する。「看板が―・つ」「電柱が―・つ」
㋓とがったものが突き刺さる。「とげが―・つ」「歯が―・たない」
㋔突き出た形のものが生じる。「霜柱が―・つ」
2 座ったり横になったりしていたものが起き上がる。また、低い位置から高く上る。
㋐身を起こす。立ち上がる。「呼ばれたら―・ちなさい」
㋑伏せていたものが起きる。「髪の毛が―・つ」「鳥肌が―・つ」
㋒《「勃つ」と当てて書くこともある》(興奮により)陰茎や乳首などが固く大きくなる。
[補説]本来「勃」は、物事が急に起こる意。
㋓煙や蒸気などが空中に上がり漂う。「土ぼこりが―・つ」
㋔鳥や虫などが飛び上がる。
「(昆虫ガ)ブンと鼻先へ―・って来たのを」〈風葉・青春〉
3 身を起こしてその場を離れる。「席を―・つ」「手洗いに―・つ」
4 (「起つ」とも書く)決意して事を起こす。奮起する。「反対運動に―・つ」
5 戸や障子が閉じる。「雨戸が―・っている家」
6 自然界の現象・作用が目立って現れる。
㋐雲・月などが空高くかかる。「虹が―・つ」「霞が―・つ」
㋑風・波などが起こる。「涼風が―・つ」「土用波が―・つ」
7
㋐ある立場や状況に置かれる。「先頭に―・つ」「苦境に―・つ」
㋑重要な役目・地位につく。「教壇に―・つ」「証人に―・つ」「衆議院議員候補に―・つ」
㋒高位につく。「東宮に―・つ」
㋓目的をもってある場所に身を置く。「署名を求めて街頭に―・つ」
8 度合いが強くなって明らかになる。
㋐はっきり耳目に認められる。「声が―・つ」「目に―・つ」
㋑世に知れ渡る。「うわさが―・つ」「人気が―・つ」
㋒はっきり示される。「あかしが―・つ」「値が―・つ」
9 新しい季節が始まる。「秋―・つころのものがなしさ」
10 事物が新たに設けられる。
㋐催しなどの場が開かれる。「
㋑理論などが新しくつくり示される。「新説が―・つ」
㋒目標などが定まる。「予定が―・つ」「見通しが―・たない」
㋓割り算で商が成り立つ。「六を二で割ると三が―・つ」
11
㋐盛んに気泡が生じる。「泡が―・つ」
㋑湯などが沸く。「風呂が―・つ」
12 感情が激する。たかぶる。「腹が―・つ」「気が―・つ」
13 技能などがいちだんとすぐれる。「弁が―・つ」「腕の―・つ職人」
14 物事が好ましい形で成り立ったり維持されたりする。
㋐目的にかなって使用価値がある。「役に―・つ」
㋑損なわれないで保たれる。「面目が―・つ」「暮らしが―・つ」
㋒筋道がきちんと通る。また、しっかりと成立する。「道理が―・つ」「義理が―・つ」「言い訳が―・たない」
㋓認められて世間を渡る。「小説家として―・つ」
15 乗り物などがとどまって、ある場所を占める。
「雲林院、知足院などのもとに―・てる車ども」〈枕・二二二〉
16 動詞の連用形のあとに付いて複合語をつくる。
㋐その状態が盛んであることを表す。「はやり―・つ選手」「湯が煮え―・つ」
㋑その動作がにわかであることを表す。「思い―・ったが吉日」
[可能]たてる
[動タ下二]「た(立)てる」の文語形。
[下接句]秋風が立つ・足元から鳥が立つ・
[類語]佇む・立ち尽くす・突っ立つ・起立・起こす・起きる・立てる・引き起こす・起き上がる・立ち上がる・直立・仁王立ち・棒立ち/吹く