(読み)スミ

デジタル大辞泉 「隅」の意味・読み・例文・類語

すみ【隅/角】

囲まれた区域のかど。「部屋の四―」「書類の―を綴じる」
中央でない所。端の方や奥の方。また、目立たない所。「―で小さくなる」「頭の―で考える」
隅の折敷おしき」の略。
角前髪すみまえがみ」の略。
[類語](1)(2片隅かたすみすみっこ端っこ一隅いちぐう一角いっかくはし・はじかどふち・へりきわ曲がり角町角コーナー

ぐう【隅】[漢字項目]

常用漢字] [音]グウ(慣) [訓]すみ
〈グウ〉
すみ。「一隅・海隅・四隅片隅辺隅
大隅おおすみ国。「隅州薩隅さつぐう
〈すみ(ずみ)〉「隅隅片隅四隅よすみ
[名のり]ふさ

すま【隅】

すみ(隅)のこと。多く地名の「須磨」にかけて用いる。
「播磨路や心の―に関据ゑていかで我身の恋を留めん」〈山家集・中〉

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精選版 日本国語大辞典 「隅」の意味・読み・例文・類語

すみ【隅・角】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物や場所の中央でないところ。すま
    1. (イ) かこまれた区域の内側で、中央から離れた端の方。すみっこ。
      1. [初出の実例]「大宮の 彼(をと)つ鰭手(はたて) 須美(スミ)傾けり」(出典古事記(712)下・歌謡)
      2. 「いで、この度は負けにけり。すみの所、いでいでと、およびをかがめて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
    2. (ロ) その方角かなた。天の一角。
      1. [初出の実例]「夜半に、雷、西南(ひつじさる)の角(スミ)に鳴りて風ふき雨ふる」(出典:日本書紀(720)皇極元年八月(北野本訓))
  3. すみ(隅)の折敷」の略。
  4. すみまえがみ(角前髪)」の略。
    1. [初出の実例]「さりとは此里通ひするほどにもない、角(スミ)のとれぬ男かな」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)一)
  5. 能舞台の名称。正面に向かって左の方の目付柱(めつけばしら)のあたりをいう。
  6. 細かな事柄。小さなこと。
    1. [初出の実例]「そこの句は作はあれども、すみへゆかず。かやうの所をよくたしなみてこそ、よき連歌師とはいへ」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)

すま【隅】

  1. 〘 名詞 〙すみ(隅)
    1. [初出の実例]「播磨路や心のすまに関据ゑていかで我が身の恋をとどめむ」(出典:山家集(12C後)中)

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普及版 字通 「隅」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] グウ・グ
[字訓] くま・すみ・かど

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 形声
声符は禺(ぐ)。〔説文〕十四下に「陬(すう)なり」、前条の陬に「阪隅なり」とあり、山隅の意とする。およそ僻隅のところは神霊の住むところで、字もまた神梯を示す阜(ふ)に従う。禺は然(ぎょうぜん)たる木偶の意があり、神異のものを示すとみられる。

[訓義]
1. くま、すみ、かど、地勢のいりくんだすみのところ。
2. きし、かたわら、でばな。
3. 直角三角形の斜辺、弦。
4. 嵎と通じ、山嵎。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕隅 タマル・クマ・スミ・スム・スミヤカ・カド

[語系]
隅・嵎ngioは同声。嵎は嵎夷・嵎谷のように日の出入する神話的な地名に用いられる。地の僻隅のところを、聖所とする考えかたがあった。隅も城隅などには、辟邪のものをおいて守った。

[熟語]
隅阿・隅奥・隅・隅官・隅曲・隅隙・隅見・隅谷・隅谷・隅差・隅坐・隅眥・隅燭・隅陬・隅積・隅中・隅鎮・隅反・隅辟・隅目・隅落・隅楼・隅隈
[下接語]
一隅・陰隅・奥隅・海隅・丘隅・曲隅・高隅・座隅・在隅・山隅・四隅・室隅・城隅・端隅・庭隅・天隅・道隅・僻隅・辺隅・幽隅・廉隅・路隅

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「隅」の意味・わかりやすい解説

隅 (ぐう)

中国,宋代以後,都市の城内,城下市域に設けられた区画呼称。宋代,都市の発展,変貌ともない,その区画も唐までの坊のほかに軍事・警察を主とした(しよう)が出現したが,12世紀以後になると防火の管轄区分として隅があらわれる。南宋の国都臨安では城内を14隅に分け,望楼や消防夫を置いたが,しだいに治安維持の任務をも兼ねはじめ坊隅という呼名が定着した。隅は元・明と受け継がれ,音通で意味を含ませて防虞とも言われる。
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