受ける(読み)ウケル

デジタル大辞泉 「受ける」の意味・読み・例文・類語

う・ける【受ける/請ける/▽享ける/▽承ける】

[動カ下一][文]う・く[カ下二]
1 自分の方に向かってくるものを、支え止めたり、取って収めたりする。受け止める。受け取る。「ミットでボールを―・ける」「雨水を桶おけに―・ける」
2 差し出されたものを自分の方に取り入れる。手に収め入れる。もらう。「杯を―・ける」「賞を―・ける」「援助を―・ける」
3 (享ける)他から与えられる。身に授かる。また、系統・血筋などを引く。「この世に生を―・けてこの方」「母方の血を―・けて文才がある」「寵愛を―・ける」
4 (承ける)あとを継ぐ。受け継ぐ。「先代の跡を―・ける」「前任者の意を―・けて企画を発展させる」
5 自分に向けられた行為・働きかけに対処して応じる。引き受ける。受け入れる。「挑戦を―・けて立つ」「注文を―・ける」「真まに―・けてはいけない」「調査結果を―・けて是正する」「多発する事故を―・けて対策を講じる」
6 他からの働き・作用が身に加えられる。
㋐こうむる。「被害を―・ける」「嫌疑を―・ける」「ショックを―・ける」
㋑それに身をさらす。「頰に風を―・ける」「西日をまともに―・ける」
7 ある方角に面している。「南を―・けた明るい部屋」
8 代金を払って取り戻す。「質ぐさの時計を―・ける」
9 文法で、文中において、ある語句が他の語句から文法的な働きをこうむる。修飾される。「係助詞『ぞ』を―・けて文末が連体形になる」
10 人気・好評を得る。「大衆に―・けた音楽」
11 俗に、おもしろく感じられる。笑える。「この漫画で、自分が特に―・た場面はこれだ」
[下接句]意を受ける・血を受ける・真まに受ける・神は非礼を受けず・天の与うるを取らざれば反かえって其の咎とがめを受く・人身にんじんを受く
[類語](2)貰う・押し頂く・受け取る・収める・収受する・受納する・受領する・受給する・受贈する・譲り受ける・貰い受ける・授かる・頂く・賜たまわる・頂戴ちょうだいする・拝領する・拝受する・申し受ける/(4)継ぐ・受け継ぐ・引き継ぐ・襲う

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精選版 日本国語大辞典 「受ける」の意味・読み・例文・類語

う・ける【受・請】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]う・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
    1. [ 一 ] 他から加えられる作用を身に引き取る。また、他の言うことやすることに応じて行なう。
      1. ① 落ちてくるものや向かってくるものなどを支え止める。受け止める。
        1. [初出の実例]「風に散る花橘を袖に受(うけ)て君がみ跡と偲ひつるかも」(出典:万葉集(8C後)一〇・一九六六)
      2. ② 渡される物を引き取る。もらう。
        1. [初出の実例]「別(こと)に新(にひ)しき鈎(ち)を作て兄(このかみ)に与ふ。兄受(ウケ)肯(ゑ)ずして其(そ)の故(もと)の鈎(ち)を責(はた)る」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
        2. 「酒を一かはらけうけて、持ちながら」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)三)
      3. ③ よいと認めて受け入れる。承知する。賛成する。
        1. [初出の実例]「よき事なりとうけつ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
        2. 「恋せじとみたらし河にせしみそぎ神はうけずぞなりにけらしも〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋一・五〇一)
      4. ④ 問いかけ、命令、試験、電話などに応じる。
        1. [初出の実例]「兄磯城、命(おほむこと)を承(ウケ)ず」(出典:日本書紀(720)神武即位前戊午年一一月(寛文版訓))
        2. 「史記のかたきまきまき、寮試うけんに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
      5. ⑤ 信用する。信頼して大事にする。
        1. [初出の実例]「あやしきまですずろなる人にもうけられ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)御法)
      6. ⑥ 神仏を、つつしんで迎える。
        1. [初出の実例]「熊野の権現〈略〉うけ奉りて、験者一座せさせ奉りて見ばや」(出典:義経記(室町中か)七)
      7. ⑦ あとを継ぐ。継承する。
        1. [初出の実例]「その風をうけて、道のため、家のため」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)五)
      8. ⑧ 芝居で、下座の唄、または鳴り物のほどよい切れ目をきっかけとし、狂言方が幕あけの合図に拍子木を打つ。
      9. ⑨ 文法で、前の語句に応じる。⇔係る。
      10. ⑩ (性質、力、環境などを)天から授かる。
        1. [初出の実例]「玄奘、質〈身〉を稟(ウケ)たること愚魯にして」(出典:大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃))
    2. [ 二 ] 他から身に作用を加えられる。
      1. ① 評判、尊敬、恩恵などを身に加えられる。また、病気、恥、疑いなどを被る。
        1. [初出の実例]「忍び難きを受(うケ)、命終しては定めて无間地獄に生れむ」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)四)
        2. 「身に重き病を受けて」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
      2. ② 光、風などに身をさらす。
        1. [初出の実例]「阿彌陀の画像を安置し奉りて落日を請て眉間の光とす」(出典:嵯峨本方丈記(1212))
      3. ③ ある方角に面する。
        1. [初出の実例]「此庭は東南をうけて居るから」(出典:人情本・英対暖語(1838)二)
      4. ④ がまんして相手の話を聞く。特に、のろけ話などの聞き手になる。
        1. [初出の実例]「わるい声色をうけてゐるも立切ねへやつよ」(出典:滑稽本・客者評判記(1811)下)
    3. [ 三 ] 代金を払って引き取る。
      1. ① 質に入れた物をうけ出す。
        1. [初出の実例]「置けるか、そののち請(ウク)る事成がたく」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)一)
      2. ② 遊女などを身請けする。
        1. [初出の実例]「ミヲ vquru(ウクル)〈訳〉身請けされる」(出典:日葡辞書(1603‐04))
      3. ③ 問屋などから品物を仕入れる。仕込む。
        1. [初出の実例]「浮世山枡を受(ウケ)て小袋に入行」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)六)
    4. [ 四 ] 賭け事に勝ち、金を得る。
      1. [初出の実例]「このやうないめへましいよとうばくちはねへ。一番もうけねへ」(出典:黄表紙・莫切自根金生木(1785)中)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    1. ① 芝居などで見物人に喜ばれて喝采(かっさい)される。また、よい評判を得る。人気を得る。
      1. [初出の実例]「ヤンヤとうけるきでゐるんだアな」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)三)
    2. ② 芝居などを見て、観客が喜ぶ。喝采する。
      1. [初出の実例]「見功者ばかりが受てぢゃったが」(出典:滑稽本・客者評判記(1810)上)

受けるの語誌

古来助詞ヲを受ける他動詞であるが、[ 二 ]のように芝居などで客から好評を得る、評判がよいの意の場合、自動詞に転ずる用法が江戸後期に生まれた。もっとも、江戸前期の「大坂檀林桜千句‐第五」の「今日も請たる所作をくり返し〈本秋〉」を、この例に解釈する説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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