精選版 日本国語大辞典 「雀」の意味・読み・例文・類語
すずめ【雀】
〘名〙
① ハタオリドリ科の鳥。全長約一四センチメートル。頭は茶褐色、背面は褐色で黒色の縦斑(じゅうはん)があり、顔と腹面は灰白色。頬と喉に黒斑がある。人家付近にすみ、屋根がわらの下や石垣に枯れ草やわらで巣をつくる。群をなすことが多く、秋にイネなどの穀物に害を与えるが、繁殖期には害虫を捕食する。ヨーロッパ・アジアに広く分布し、日本各地で最もふつうにみられる鳥で、昔から多くの物語に登場し親しまれる。二〇世紀になって北アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアなどに輸入されて各地で増えている。スズメの近縁種は一四種が旧大陸に分布しており、ヨーロッパで人家付近にふつうにいるのはイエスズメである。
※古事記(712)上「河鴈を岐佐理持〈岐より下の三字は音を以ゐよ〉と為(し)、〈略〉雀(すずめ)を碓女(うすめ)と為、雉を哭女(なきめ)と為、如此(かく)行ひ定めて」
※俳諧・猿蓑(1691)四「はるさめのあがるや軒になく雀〈羽紅〉」
② (雀のさえずりの騒がしいのにたとえて) 多弁な人をいう語。おしゃべり。
※雑俳・軽口頓作(1709)「見とむない・ととさしをいてすずめどの」
③ 事情に精通していて、それをさかんにしゃべる人。
※雑俳・柳多留‐二三(1789)「江戸見物には雀が一羽付き」
⑤ 辻君など、下等な遊女をたとえていう語か。
※梁塵秘抄(1179頃)二「西の京行けば、すずめ歯黒め布穀鳥(つつどり)や、さこそ聞け、色好みの多かる世なれば、人は響(とよ)むとも、麿だに響まずは」
⑦ 「すずめがた(雀形)」の略。
※雑俳・川柳評万句合‐明和六(1769)義一「仲人は雀(すずメ)を出すがいとま乞」
※梨の花(1957‐58)〈中野重治〉一「『さ、あけないま』といっておじさんが『すずめ』を持ちあげる」
すずみ【雀】
〘名〙 「すずめ(雀)」の変化した語。
※書紀(720)斉明四年是歳(北野本訓)「北海の浜に、魚死にて積めり。厚さ三尺許り。其の大きさ(えひ)の如くにして雀(ススミ)の啄(くち)針の鱗あり」
しじめ【雀】
〘名〙 「すずめ(雀)」の変化した語。
※散木奇歌集(1128頃)雑上「畑ふに黍はむしじめししめきてかしましきまで世をぞ恨むる」
ジャン【雀】
〘名〙 「マージャン(麻雀)」の略語。
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