然のみ(読み)さのみ

精選版 日本国語大辞典 「然のみ」の意味・読み・例文・類語

さ‐のみ【然のみ】

[1] 〘副〙 (副詞「さ(然)」に助詞「のみ」が付いてできたもの)
① 副詞「さ(然)」を限定的に強めたいい方。そのようにばかり。そう一概に。ひたすらそのように。
古今(905‐914)雑体・一〇五五「ねぎ事をさのみ聞きけん社こそ果は歎きの森となるらめ〈讚岐〉」
徒然草(1331頃)七九「よき人は、知りたる事とて、さのみ知り顔にやは言ふ」
② 否定的表現を伴って、程度が大したことはない気持を表わす。それほど(…ない)。さして(…でない)。格別(…でない)。
平家(13C前)七「つぎざまの人共は、さのみひきしろふに及ばねば」
浮世草子・好色一代男(1682)五「室は西国第一の湊、遊女も昔にまさりて、風義もさのみ大坂にかはらずといふ」
[2] 〘形動〙 否定的表現を伴って、程度がそれほどでないさまを表わす語。それほど。
※歌舞伎・杜若艷色紫(1815)大切「聞けばあの子も身の代は、さのみな金でもねえ話し」

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デジタル大辞泉 「然のみ」の意味・読み・例文・類語

さ‐のみ【然のみ】

[副]《副詞「さ」+副助詞「のみ」から》
(あとに打消しの語を伴って用いる)それほど。さほど。
「―運動にはならないでも」〈里見弴・今年竹〉
そのように一概に。
「今より後は、まして―なむ思う給へらるべき」〈帚木
[類語]さしもあれほどあんななにほどかばかりこれほどそれほどさほどさまでどれほどいかほどそれくらいこのくらいこれくらいこればかりこれっぽっちこれきりこれっきりこれだけこれしきそれしき満更まんざら必ずしもあながち一概にさしてさしたるそんなそのようそうしたそういうさようさもさもさもそうしかあまり大してなかなか取り立てて別段

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