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いとyarn

翻訳|yarn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


いと
yarn

綿花,羊生糸などの天然繊維や,レーヨン,合成繊維など人工的につくった繊維を細長く集合したもので,織物,編物,縫製品などの材料。構成繊維は生糸,ナイロン糸などに代表される長繊維 (フィラメント) と,綿花,羊毛,化学合成繊維の綿などの短繊維 (ステープル) に分けられる。長繊維はそれ自体を糸 (フィラメントヤーン) といい,短繊維を紡績した糸を紡績糸 (スパンヤーン) と呼ぶ。単一のままの糸を単糸,これを2本より合せたものを双子 (二子糸) ,3本より合せたものを三子糸とそれぞれ称する。紡績する場合,2種以上の短繊維を混和して得た糸を混紡糸といい,糸をより合せる際に2種以上の糸を使うと交撚糸を得る。糸の太さは番手デニールテックスで示すが,番手は数字が大きくなるほど細い糸を,反対にデニール,テックスは数字が大きいほど太い糸を表わす。国際共通表示方式としてはテックスが用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

いと【糸】

天然、または人造の繊維を細長く引きのばしてよりをかけたもの。織物糸・縫い糸・編み物糸など。「をつむぐ」
細長く1のようになっているもの。「クモの
琴または三味線などの弦楽器の弦(げん)。「を張る」
琴・三味線のこと。「竹」
釣り糸。「を垂れる」
(比喩的に)物事を結びつけるもの。「記憶のをたぐる」「運命の
糸引き納豆をいう女房詞

し【糸】

数の単位。1の1万分の1。毛(もう)の10分の1。→位(くらい)[表]

し【糸〔絲〕】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]いと
学習漢字]1年
〈シ〉
いと。「絹糸繭糸蚕糸製糸撚糸(ねんし)抜糸綿糸
糸のように細いもの。「菌糸柳糸
弦楽器。「糸管糸竹
数の単位。一の一万分の一。「糸毫(しごう)
〈いと〉「糸目絹糸毛糸縦糸
[補説]本来、「絲(し)」と「糸(べき)」は別字。
[難読]糸遊(いとゆう)絓糸(しけいと)天蚕糸(てぐす)糸瓜(へちま)

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百科事典マイペディアの解説

糸【いと】

綿,羊毛や比較的短く切断した化学繊維の糸,あるいはこれらの混紡糸をそろえて撚りをかけたもの(紡績糸,スパン・ヤーン)と,絹,ナイロンなどの長い連続した繊維を集束して撚りをかけたもの(繊条糸,フィラメント・ヤーン)の総称。
→関連項目紡績

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世界大百科事典 第2版の解説

いと【糸】

日本の絃(弦)楽器の絃の別称。転じて絃楽器の意味や,三味線演奏者の意味にも使われる。原料は絹糸。金属弦は使わない。化学繊維も使うが音色や感触の点で歓迎されていない。原糸は滋賀県琵琶湖北岸地方の特産で,絃の種類に応じて複数の原糸をより合わせてつくる。白色のまま使うこともあるが,黄色にする場合はオーラミンで染める。楽器により糸の呼名が違う。三味線では太い順に〈一の糸〉〈二の糸〉〈三の糸〉と呼ぶ。弦楽器三味線【植田 隆之助】

いと【糸】

綿,羊毛などの比較的短い繊維をそろえて撚り(より)をかけた紡績糸(スパン糸spun yarn),および絹,ナイロンなどの長い繊維を集束して撚りをかけた繊条糸(フィラメント糸filament yarn)の総称。繊維をそろえて撚りをかけたものには,綱,縄,紐などがあるが,一般に糸は最も細いものをいい,また長い繊条,たとえばクモの糸,釣糸なども糸と呼ばれている。
[糸と紡ぎ]
 人類は獣皮や木の皮を細くさいた紐や植物の蔓(つる)や茎などの利用から糸を考案するようになった。

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大辞林 第三版の解説

いと【糸】

繊維が長く線状に連続したもの。綿糸・毛糸など短い繊維を紡績したものと、生糸・合成繊維など長い繊維からなるものがある。 「 -をつむぐ」
細く長くて、のようになっているもの。 「蜘蛛くもの-」
三味線や琴などの弦。また、三味線や琴などの弦楽器。 「三味線の-」 「 -の音」
釣り糸。 「 -を垂れる」
絹。 「 -織り」
〔女房詞〕 納豆なつとう
[句項目]

し【糸】

いと。
数の単位。1万分の1。
歩合の単位。割の1万分の1。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


いと

各種の繊維を一定の方向にそろえ、適当な必要とする細さに引き伸ばしたのち、必要とする品質のために適当な撚(よ)りをかけ、均一な強伸度を保つように加工したもの。織物、編物、紐(ひも)、縫い糸など、広い範囲に使われる材料として主要な位置を占めている。糸は、大別して製造方法により、紡績工程からつくられる紡績糸(スパン・ヤーン)と、紡糸工程から生まれる繊条糸(フィラメント・ヤーン)に分けられ、さらに繊維原料の種類、紡績方法などにより細分される。また糸の構成方法により、単糸、双糸(双子糸)、三子糸、飾り糸や、加工方法により、シルケット糸、擬毛糸、擬麻糸や、織糸、メリヤス糸、編み糸などに分けられる。
 紡績糸の製作は、旧石器時代にまでさかのぼり、人類はつる、樹皮、草皮などの繊維を裂いてつなぎ合わせて長い連続体とし、身体の装飾や紐衣(ちゅうい)として使用した。北アフリカ、タッシリの洞窟(どうくつ)遺跡に描かれた人物などには、その使用状況が伝えられている。しかし繊維自体には自然的制約があるため、これを加工して適当な細さに裂き、両端を絡み合わせ(績(う)むという)、長い連続体とした。繊維の利用は動物界にも及び、比較的長い動物繊維が使われ、照葉樹に寄生する野蚕(やさん)(山蚕)やクモの糸、人間の毛髪までが利用された。そして動物の家畜化が進行すると、繊維の短い羊毛や、野蚕を家蚕化して利用されだした。短繊維はよくほぐしたのち、刷毛(はけ)、櫛(くし)などを使って繊維をそろえ、十分な強度を出すために撚りをかけることが必要であった。このため手と膝(ひざ)、手の指先で擦り合わせて撚っていたが、十分な均一糸が得られなかった。ついで、紡錘車とよぶ木、骨、土製の円盤状のものに軸を通し、その一端に糸をくくり空中で回転させて撚る方法が生まれた。日本では縄文時代の土器や土偶に縄文の圧痕(あっこん)がみられるが、まだ紡錘車の出土をみないことから、手で撚りをかけたらしい。圧痕には1本の撚り紐だけでなく、三つ組み、四つ組みの紐もあり、また土偶の文様から紐衣をつけていたと推定するものもある。弥生(やよい)時代の遺跡からは紡錘車が出土しているが、糸を材料として網、編物、織物へ発展するためには、さらに紡績技術の向上と製織技術が導入されねばならなかった。ニューギニア高地人のように、現在なお編物文化しかもたない種族も、まだ世界各地にみられる。日本では、紡錘を台上でこすり合わせ回転を与える「手すりつむ」が、古代から中世にかけて一般に行われたが、中世末には中国から紡車が舶載されて紡績の能率は著しく向上し、また縮緬(ちりめん)のための強撚糸(きょうねんし)をつくる撚糸八丁車(はっちょうぐるま)も幕末には発明された。蚕糸は長繊維であるため撚りをかける必要はなかったが、近世にはすべて一定の撚りがかけられることになり、独特の光沢を増加させた。18世紀後半に始まる産業革命は、紡績機械に画期的発明をもたらし、ミュール・リング紡績機などにより大量生産化と均一な品質の糸を生産した。また日本では西欧の技術に依存せずに、臥雲辰致(がうんたっち)によりガラ紡(和紡績)が発明されている。さらに化学繊維・合成繊維の発明は、絹にかわる繊条糸を生み出し、飛躍的発展によって近代繊維工業は確立した。現在では綿花から糸まで生産が連続している一貫連続処理装置が完成し、製造設備の合理化と更新への道を歩んでいる。
 糸の撚りは、その性能を維持するため適度の撚り回数が必要である。撚り方向は右(S)撚りと左(Z)撚りに分けられるが、繊維の種類や製織、仕上げ方法の違いによって一定していない。原始的手紡法では地域的に統一した方向をとるが、日本では右撚りが弥生時代からの特徴であったが、近代的機械紡績では一般に左撚りのものが多い。撚り回数は、織物の強伸度や風合いとも関係するので、普通糸の太さに応じて決められるが、特殊なメリヤス糸などには撚りの少ない甘撚り糸、縮緬などには強撚糸(こわより糸)を使う。この撚りを単糸にかけたものが片撚り糸で、いく本も撚り合わせると諸(もろ)撚り糸となる。またその撚りかけの順序によって、下(した)撚り、上(うわ)撚りと区別している。
 糸の太さは、一定の重量または長さを標準として決められているが、糸の種類や慣習的事情により異なる。
(1)恒重式による番手は、おもに綿糸、化繊糸などに使われ、標準重量に対する糸の単位長をその糸の番手としている。たとえば重さ1ポンド(約0.45キログラム)で長さ840ヤード(約768メートル)の糸を1番手とし、同じ重量で1680ヤードの糸は2番手となり、番手数が多くなると糸は細くなる。毛糸、麻糸では、この標準重量、単位長が異なる。
(2)恒長式によるデニールは、おもに長繊維の生糸、ナイロンなどに使われ、標準長の重量中に含まれる単位重量の数値で表す。たとえば標準長450メートルで単位重量0.05グラムのものを1デニールとするので、9000メートルの重量をグラムで表す数値がデニールとなる。[角山幸洋]

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