ランタン

デジタル大辞泉 「ランタン」の意味・読み・例文・類語

ランタン(lantern)

角灯かくとう
ちょうちん
[類語]ランプカンテラ行灯あんどん雪洞ぼんぼり提灯ちょうちん松明たいまつ燭台手燭万灯灯台角灯灯籠雪見灯籠回り灯籠走馬灯石灯籠

ランタン(〈ドイツ〉Lanthan)

希土類元素ランタノイドの一。単体は銀白色の金属。空気中では酸化されて灰白色になる。合金の添加成分として利用。元素記号La 原子番号57。原子量138.9。

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精選版 日本国語大辞典 「ランタン」の意味・読み・例文・類語

ランタン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] lantern ) 角型で四面をガラス張りにした灯火。軒などにつり下げたりして用いる。角灯。また、提灯(ちょうちん)の意でいうこともある。ラテルネ
    1. [初出の実例]「遠方シグナルの信号燈(ランターン)を懸けに行って」(出典:駅夫日記(1907)〈白柳秀湖〉一)

ランタン

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Lanthan ) 第五七番元素。記号 La 原子量一三八・九〇五五。希土類元素の一つ。銀白色の金属。非常に酸化されやすく、四四五度以上で燃えて酸化物となる。合金の触媒、光学ガラスなどに用いる。〔稿本化学語彙(1900)〕

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化学辞典 第2版 「ランタン」の解説

ランタン
ランタン
lanthanum

La.原子番号57の元素.電子配置[Xe]5d16s2の周期表3族ランタノイド元素.希土類元素セリウム族の一つ.原子量138.90547(7).質量数138(0.090(1)%),139(99.901(1)%)の2種の安定同位体と,質量数117~155の放射性同位体が知られている.1839年,C.G. Mosanderがセリウム塩中から分離した.Mosanderの師J.J. Berzelius(ベルセリウス)がセリウム塩中に隠されていたところから,ギリシア語の“隠された”λανθανω(lanthan)をとってlanthanumを提案した.日本語の元素名はドイツ語の元素名Lanthanの音訳.
地殻中の存在度16 ppm.中国の全希土類埋蔵量(30%)・生産量(98%)でともに一位(2007年).モナズ石バストネス石など希土類元素の鉱石中に含まれている.粉砕鉱石をアルカリで処理し,濃塩酸で塩化物に転換,溶媒抽出法で分離して,溶融塩電解法で金属がつくられる.スズ白色の軟らかい金属.融点921 ℃,沸点3457 ℃.密度6.145 g cm-3(25 ℃).六方晶のα,310 ℃ 以上で立方最密のβ,863 ℃ 以上で体心立方のγの3変態がある.酸に可溶.塩基性がかなり強いので熱水とも反応する.空気中ではすみやかに酸化される.酸化数3.化合物はすべて La化合物で,酸化物,水酸化物,フッ化物,リン酸塩,炭酸塩,シュウ酸塩は水に難溶,塩化物,硝酸塩,酢酸塩は水に可溶.ランタノイドでは原子番号の増大とともに塩基性が減少する.ランタンの水酸化物は,この系列でもっとも強い塩基で,また三価の金属の水酸化物中でももっとも強い.
Niとの合金LaNi5は大量の水素を吸蔵するので,水素吸蔵合金としてハイブリッド・電気自動車搭載のニッケル-水素電池に利用されている.酸化物La2O3は,自動車排気ガス浄化3元触媒の担体・助触媒耐熱性向上用に,また高屈折率・低分散の光学レンズ用ガラスに添加される.La-Co系フェライト磁石,セラミックコンデンサーにも使用される.塩化物は石油接触分解触媒に使われる.わが国は酸化ランタン全輸入量1800 t のうち97% を中国から輸入した(2005年).[CAS 7439-91-0]

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改訂新版 世界大百科事典 「ランタン」の意味・わかりやすい解説

ランタン
lanthanum

周期表第ⅢA族に属する希土類元素のうちのランタノイドの一つ。1839年スウェーデンのモサンデルC.G.Mosander(1797-1858)が,それまで単一と思われていたセリウムから初めて分離し,セリウムに隠されていたという意味でギリシア語のlanthanō(隠れている)にちなんで命名した。モサンデル自身が2年後に,このときのランタンからジジムを分離し,85年になってジジムはプラセオジムネオジムに分けられたのである。おもな鉱物はバネストサイト,モナザイトゼノタイム,セル石など。

 単体は銀白色金属。空気中に放置すると表面が酸化されて灰白色のくもりを生ずる。スズより硬く,亜鉛より軟らかい。わずかに展性があるが延性はない。空気中では445℃で燃える。冷水とは徐々に,熱水には速やかに反応して水素を放って水酸化物となる。冷無機酸によく溶ける。化合物はつねに3価で,一般に無色である。金属の製錬は,鉱石を硫酸あるいはアルカリで溶解し,水で抽出してから,希土類元素をイオン交換樹脂法によって相互分離し,無水塩化物として,これを溶融塩電解するか,フッ化物をリチウム-マグネシウム合金による還元によって行われる。コバルトとの合金は軽希土磁石とされ,ほかにセラミックス誘電体,触媒,光学ガラスなどに用いられる。
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ランタン
lantern

灯火を納める透明な箱のこと。提灯もこれに含まれるが,一般にはろうそくを用いた携帯用の照明具をさし,おりたたみ式で外面に雲母をはり,風防としたものが多い。懐中電灯が一般化し,利用は少なくなったが,登山の際のテント内の照明具として用いられる。石油を用いた手さげの照明具はカンテラと呼んでいる。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランタン」の意味・わかりやすい解説

ランタン
らんたん
lanthanum

周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1839年スウェーデンのモサンデルによって、セリウムの酸化物から初めて分離されたので、ギリシア語のlanthanein(隠れている)にちなんで命名された。主要鉱物はバストネサイト、モナズ石など。塩化物の溶融塩電解によって白色の金属を得る。室温ではα(アルファ)型が安定。292~868℃ではβ(ベータ)型、868℃以上ではγ(ガンマ)型が安定。空気中に置くと、室温で表面が酸化され、445℃以上で燃えて酸化物となる。高温では水素や窒素とも反応する。冷水とは徐々に、熱水や酸には速やかに水素を発して溶けて酸化数Ⅲの塩をつくる。水素吸蔵合金(LaNi5など)、触媒、光学ガラス、熱電子放射体などの用途がある。

[守永健一・中原勝儼]



ランタン(データノート)
らんたんでーたのーと

ランタン
 元素記号  La
 原子番号  57
 原子量   138.9055±3
 融点    921℃
 沸点    3500℃
 比重    α;6.19
       β;6.17
 結晶系   α;六方
       β;立方
       γ;立方
 元素存在度 宇宙 0.36(第61位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 30ppm(第27位)
       海水 3.1×10-3μg/dm3

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランタン」の意味・わかりやすい解説

ランタン
lanthanum

元素記号 La ,原子番号 57,原子量 138.9055。周期表3族の希土類元素で,ランタノイド元素の1つ。おもな鉱石にはモナズ石,灰重石,セル石などがある。地殻存在量 30ppm,海水中の存在量 0.02μg/l で,希土類元素中ではセリウムに次いで豊富な元素である。 1839年スウェーデンの化学者 C.モサンデルによりセリウムの酸化物中から発見され,ランタンと命名された。「隠された」という意味である。単体はスズ白色金属で,融点 810℃,比重 6.17。かなり活性で,熱水を分解して水素を発生させ,また容易に鉱酸と反応して溶ける。酸化数3。発火合金の成分として使用され,またガラス成分として用いられる。

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百科事典マイペディア 「ランタン」の意味・わかりやすい解説

ランタン

元素記号はLa。原子番号57,原子量138.90547。融点920℃,沸点3461℃。希土類元素の一つ。1839年モサンデルが発見。スズ白色の金属。スズより硬く亜鉛より軟らかい。空気中では常温で表面が酸化され,445℃以上で引火。冷水には徐々に熱水には急速に侵される。希無機酸に易溶。各種合金に添加。主要鉱石はモナズ石,セル石など。
→関連項目ランタノイド元素レアアース

ランタン

一般にろうそくを用いた携帯用の照明具をいい,提灯(ちょうちん),灯籠(とうろう)などを意味する英語lanternに由来。日本では特に西洋風の船内用釣ランプ,携帯用角灯,中国風の釣灯籠などをいう。

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