出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
美術団体。1914年(大正3)新帰朝の洋画家が中心となって、文展洋画部に審査における新旧二科制の設置を要望したが、文部省はこの願いを受け入れなかった。そこで、これを不満とした新傾向作家の石井柏亭(はくてい)、有島生馬(ありしまいくま)、梅原龍三郎(りゅうざぶろう)らが文展を離れて結成したもので、同年10月第1回展を開催。以後積極的に海外の動向を紹介する一方、新進作家の発掘育成に努め、また19年には彫刻部を新設、文展と対抗する有力な在野団体へと成長していった。だが、創立当初より会員の移動も頻繁で、30年(昭和5)に独立美術協会が、36年に一水(いっすい)会が、分派独立している。そして44年、戦争のため一時解散、戦後の45年(昭和20)東郷青児(せいじ)らを中心に再組織され、46年9月第31回展を開催した。この前後にも行動美術協会、二紀会の結成による分裂があり、55年には一陽会の派生をみた。なお、戦後は団体としての組織拡大が計られ、45年に工芸部、理論部を、51年に漫画部、商業美術部を、さらに53年には写真部を設け、79年には社団法人組織となった。毎年9月に公募展を開催するほか、海外美術の紹介と同時に海外巡回展を行うなど、国際化への積極的対応を示している。だが一方、1914年の創立から長い年月が経過し、しだいに当初の革新的性格が薄れてきたとの声も聞かれる。
[佐伯英里子]
『サンケイ新聞大阪本社編・刊『二科回顧展』(1985)』
美術団体。1914年(大正3)10月,石井柏亭,津田青楓,梅原竜三郎,山下新太郎,小杉未醒,有島生馬,斎藤豊作,坂本繁二郎,湯浅一郎によって結成された。印象派以後の新傾向をめざす彼らは,文展の審査で不利な立場にあり,新派,旧派で2科に分ける第1部(日本画)の制に洋画部も倣うよう当局に求めたがいれられず,在野として独立することに決したものである。結成と同時に上野竹之台で第1回展を開き,好評を得た。以後,大正期を通じ,安井曾太郎,森田恒友,正宗得三郎,熊谷守一,中川紀元,小出楢重,藤川勇造,ロートAndré Lhote,ビュシエールRoger Bussièreらを会員に加え新傾向の団体として活動し,万鉄五郎や関根正二もこの会で活躍した。しかしまた,ここに安易な西洋模倣の風が生じたのも事実である。会員の出入が多く,昭和に入って独立美術協会と一水会,戦後,行動美術協会,二紀会,一陽会が分立した。絵画部,彫刻部,写真部,商業美術部(現,デザイン部)を擁し,毎年秋,東京都美術館と上野の森美術館で公募展を開催している(2007年より国立新美術館で開催)。
執筆者:原田 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1914年(大正3)結成された美術団体。同年に文展第2部(洋画)を第1部(日本画)と同じように新旧の2科にわける運動がおこったが,実現しなかったため在野の美術団体として結成した。石井柏亭(はくてい)・梅原竜三郎・有島生馬(いくま)・坂本繁二郎らをはじめ,新傾向の作家が数多く参加し,洋画界の代表的な団体となる。会員の出入りが多く,分離独立して結成された美術団体に,30年(昭和5)の独立美術協会,36年の一水会,38年の九室会,45年の行動美術協会,47年の第二紀会(53年,二紀会と改称),55年の一陽会などがある。19年に彫刻部,45年に工芸部・理論部,51年に漫画部・商業美術部,53年に写真部が新設されたが,現在は絵画部・彫刻部・商業美術部・写真部の4部からなり,毎年秋に公募展を開催している。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…一方,文展内部でも,印象派や後期印象派の移植とともに,旧態依然の文展への不満がたかまって,前年の日本画部で採用されたのと同じく,洋画部の審査も画風の新旧による二科制とすべし,との要求が新人洋画家たちによって出される。この要求はアカデミズムの総帥黒田清輝によって一蹴され,日本画部の二科制も旧に復してしまうが,二科運動の名をそのままとって,反アカデミズム,反官設展をかかげる在野の美術団体二科会が結成された。芸術表現における画家の人格=自我の優越を主張する個性主義的な芸術は,まず二科会によって強力に実践されることになった。…
※「二科会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新