五十歩百歩(読み)ゴジッポヒャッポ

デジタル大辞泉 「五十歩百歩」の意味・読み・例文・類語

ごじっぽ‐ひゃっぽ〔‐ヒヤクポ〕【五十歩百歩】

戦闘の際に50歩逃げた者が100歩逃げた者を臆病だと笑ったが、逃げたことには変わりはないという「孟子」梁恵王上の寓話から》少しの違いはあっても、本質的には同じであるということ。似たり寄ったり。「10分遅刻も15分遅刻も五十歩百歩だ」
[類語]大同小異違い相違異同誤差小異大差同工異曲差異分かち格差落差開き隔たり懸隔僅差個人差不一致異質ギャップ似たり寄ったり団栗どんぐりの背比べ

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精選版 日本国語大辞典 「五十歩百歩」の意味・読み・例文・類語

ごじっぽ‐ひゃっぽ ‥ヒャクホ【五十歩百歩】

※学談雑録(1716頃)「下手碁打の会合強弱はあれども、手をなをすに至らぬうち五十歩百歩なり」

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故事成語を知る辞典 「五十歩百歩」の解説

五十歩百歩

ある程度の違いはあるものの、結局はどちらも同じようなものであることのたとえ。

[使用例] 今からかけていんでも、五十歩百歩じゃ。少々のろく歩行あるかんか[坪内逍遥当世書生気質|1885~86]

[使用例] 大女優はきわめて稀に現われる才能であって、その他はまず五十歩百歩、兄たり難く弟たり難い程度のもの[石川達三*充たされた生活|1961]

[由来] 「孟子りょうのけいおう・上」に見える話から。梁という国の王が、自分はいろいろと気を配って善政を行っているのに、まわりの国から人々が慕い寄って来ないのはなぜだろうかと、孟子に質問したことがありました。孟子は逆に問いかけます、「戦場でいざ戦いが始まった瞬間、怖くなって五〇歩逃げた兵と、一〇〇歩逃げた兵がいたとします。そんな場合に『五十歩を以て百歩を笑う(五〇歩しか逃げなかったからといって、一〇〇歩逃げた者を笑う)』のは、どんなものでしょうか」と。王の政治もそのようなもので、まわりの国と比べれば確かにすぐれた点はありますが、人々の生活を安定させるという大きな目的からすれば、まだまだ似たようなものなのです、と諭したのでした。

[解説] ❶孟子は要するに、「王の政治は、戦場で五〇歩逃げているようなものですよ」と言っているわけですから、その批判は、実はなかなか痛烈。信念が固く、妥協することのない孟子の性格が、ここにも現れています。❷臆病者にたとえているところから、「似たり寄ったりで、たいしてすぐれてはいない」というマイナスのニュアンスで使われます。不用意に使うと相手をけなしてしまうことがあるので、注意が必要です。

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ことわざを知る辞典 「五十歩百歩」の解説

五十歩百歩

五十歩も百歩もたいして変わらない。どちらも同じようなもので、論ずるに値しない。似たり寄ったり。「五十歩を以て百歩を笑う」ともいう。

[使用例] 鎌田鈴子のごとき、または田辺元子のごとき大女優はきわめて稀に現れる才能であって、その他はまず五十歩百歩、兄たり難く弟たり難い程度のもの[石川達三*充たされた生活|1961]

[解説] 梁の恵王が、自分は善政を行っているのに、隣国と比べて人民が増加しない理由を孟子に質問したところ、孟子が王の好きな戦争にたとえ、戦場から五十歩退却した兵が百歩退却した兵を臆病だと笑うように、どちらも大した差はないと諭したという「孟子―梁恵王・上」の故事によることば。

〔英語〕A miss is as good as a mile.(少しの外れも1マイルの外れも同じ)

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とっさの日本語便利帳 「五十歩百歩」の解説

五十歩百歩

孟子は、五〇歩を逃げた兵士が一〇〇歩を逃げた兵士を笑った例をひいて、梁の恵王も利による限り他の王と変わりがない、王たるものは仁を基本とすべきだと説いた。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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