(読み)ミゾ

デジタル大辞泉 「溝」の意味・読み・例文・類語

みぞ【溝】

水を流すため、地面を細長く掘ったもの。「にはまる」
細長いくぼみ。「鴨居かもい」「レコード
人と人との間の意見感情などのへだたり。「夫婦間のが深まる」
[類語](1どぶ側溝溝渠暗渠/(3違い差異相違異同誤差小異大差同工異曲大同小異分かち格差落差開き隔たり懸隔僅差個人差不一致異質ギャップわだかまりしこりげき疎隔ずれ行き違い食い違い相容れない対立もやもや差し支え障り差し障り当たり障り支障懸念気がかりフラストレーション疎んずる隔意疎外排斥擯斥ひんせき排他排外訳有り眉唾違和感猜疑さいぎ疑義疑心暗鬼疑心暗鬼を生ず邪推邪曲爪弾き退退ける隔絶疎遠いとバリアシャットアウト

こう【溝】[漢字項目]

常用漢字] [音]コウ(漢) [訓]みぞ どぶ
掘った水路。「溝渠こうきょ側溝排水溝
細長いくぼみ。「海溝・索溝」

せせなぎ【溝】

《古くは「せせなき」》
せせらぎ」に同じ。
数罟さくこ細密なるを以て―たなもとまで魚の小さいを捕るは」〈四河入海・一三〉
どぶ。下水。せせなげ。
「我が首討ってみぞ―へも踏み込み」〈浄・関八州繋馬〉

どぶ【溝】

雨水・汚水などが流れるみぞ。
[類語]側溝溝渠暗渠

せせなげ【溝】

せせなぎ2」に同じ。
「今の身は―に流れる米粒を食ってゐれどな」〈滑・浮世床・二〉

うな‐て【溝】

田や畑に水を引くみぞ。
神田みとしろけむとおもほして―を掘る」〈神功紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「溝」の意味・読み・例文・類語

みぞ【溝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 地を細長く掘って水を通す所。
    1. [初出の実例]「長(とほ)く渠水(ミソ)を穿(ほ)りて」(出典:日本書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓))
    2. 「ある人の御曹司の前のみぞに」(出典:伊勢物語(10C前)七八)
  3. 戸・障子を通すために、敷居・かもいに掘ったくぼんだ筋。また一般に、細長くくぼんだ条線。〔五国対照兵語字書(1881)〕
    1. [初出の実例]「山面山腹の襞溝(ミゾ)に生ひたるの類は」(出典:自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉自然に対する五分時)
  4. 鼻の下と上唇との間のくぼんだところ。鼻溝(はなみぞ)。人中(にんちゅう)。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
  5. ( 比喩的に ) 人と人の間にあるへだて。かかわり合う二つのものの間に生じた考え方や感情のへだたり。
    1. [初出の実例]「伯父は彼等を俗物視し、彼等は伯父を少狂視して、其間自ら渉り難き溝があったのだ」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三)

どぶ【溝・溷】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 汚水、雨水などを流す細いみぞ。
      1. [初出の実例]「さそはれて霊地の花の下水(どぶ)へ散り」(出典:雑俳・筑丈評万句合(1746‐48))
    2. 釣りで、川の流れのゆるやかな深い淵をいう。「どぶ釣り」
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 江戸時代、浅草の溷店(どぶだな)の略称。
      1. [初出の実例]「いい男どぶから女房つれて来る」(出典:雑俳・柳多留‐二四(1791))
    2. [ 二 ] 江戸時代、吉原のお歯黒溝(はぐろどぶ)の略称。
      1. [初出の実例]「どぶをこしたは四郎兵衛が落度無し」(出典:雑俳・柳筥(1783‐86)初)

せせなぎ【溝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「せせなき」か )
  2. どぶ。溝。下水。流し元の小溝。せせなげ。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「白き物こそ黒くなりけれ せせなきに米かす水や捨ぬらん〈貞徳〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一七)
  3. 便所。
    1. [初出の実例]「 セセナキ、雪隠・東司」(出典:塵芥(1510‐50頃))
  4. せせらぎ字鏡集(1245)〕

せせなげ【溝】

  1. 〘 名詞 〙せせなぎ(溝)
    1. [初出の実例]「かいだう・ほり・せせなげにたふれしぬるぞ」(出典:本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事)
    2. 「今の身は溝(セセナゲ)に流れる米粒を食てゐれどナみさき烏が皆食て、おれが口へは這入(はいら)ぬわいのウ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)二)

うな‐て【溝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「うなで」とも ) 田にひく用水を通すみぞ。
    1. [初出の実例]「溝涜(ウナテ)の流(みづ)、亦復凝結(こほ)れり」(出典:日本書紀(720)皇極二年八月(岩崎本訓))

こう【溝】

  1. 〘 名詞 〙 ほりわり。ほり。みぞ。〔春秋左伝‐哀公九年〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「溝」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
13画

[字音] コウ
[字訓] みぞ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(こう)。〔説文〕十一上に「水(すいとく)なり。廣さ四尺、深さ四尺」とあり、〔周礼、考工記、匠人〕に井田の周囲をめぐる水路であるという。その深広二仞のものを(かい)という。に二者相通する意があり、用の水路をいう。谷を自然の溝とみなして、溝壑という。

[訓義]
1. みぞ、たのみぞ。
2. たにがわ。
3. ほり、ほりわり。
4. みぞをほる、へだてる。

[古辞書の訓]
和名抄 美曾(みぞ) 〔名義抄〕 ミゾ・フカシ/ アサミゾ

[熟語]
溝堰・溝下・溝・溝郭・溝壑・溝・溝渠・溝洫・溝・溝・溝・溝塹・溝樹・溝・溝植・溝水・溝瘠・溝池・溝中・溝・溝・溝・溝陌・溝封・溝・溝防・溝塁
[下接語]
瓦溝・海溝・溝・宮溝・御溝・夾溝・古溝・坑溝・鴻溝・小溝・城溝・深溝・清溝・漕溝・側溝・地溝・治溝・長溝・通溝・泥溝・塡溝・陂溝・汾溝・封溝

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