デジタル大辞泉
「入る」の意味・読み・例文・類語
はい・る〔はひる〕【入る/×這入る】
[動ラ五(四)]
1 ある区切られた空間の外から中へ移り進む。「映画館に―・る」⇔出る。
2 中に加えられる。「不純物が―・る」「模様の―・った布」
3 あるものの中にあるものが生じる。「ガラスにひびが―・る」
4 ある制度に自分から加わる。「保険に―・る」
5 特定の社会・集団・学校などの一員となる。「大学に―・る」「テニスクラブに―・る」
6 一定の範囲・容量の中に収まる。「客席いっぱいに―・る」「一リットル―・る瓶」
7 自分のものになる。「大金が―・る」
8 気持ちや力などがこもる。「力が―・る」「練習に身が―・る」
9 利用できるよう設備される。「複写機が―・った」
10 目・耳などで感じとられる。「うわさが耳に―・る」
11 ある時期・地点に至る。「雨期に―・る」「月が山の陰に―・る」
[可能]はいれる
[下接句]穴があったら入りたい・木が入る・手が入る・手が入れば足も入る・手に入る・年季が入る・話に実が入る・罅が入る・身が入る・水が入る・耳に入る・目に入る
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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い・る【入・要】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
- [ 一 ]
- ① 外部から、ある場所、環境などに移る。はいる。
- (イ) 外から、ある物の中、ある場所の内へ移動する。また、移動して、その中にある。
- [初出の実例]「妹が寝(ぬ)る床のあたりに岩ぐくる水にもがもよ伊里(イリ)て寝まくも」(出典:万葉集(8C後)一四・三五五四)
- 「師走の二日京にいる」(出典:更級日記(1059頃))
- (ロ) 見える所から、物陰に移動する。その場から退く。奥へ引っ込む。特に、日、月が沈む。また、水中に没する。
- [初出の実例]「よひのまにいでて入(いり)ぬるみか月のわれて物思ふころにもあるかな〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇五九)
- 「出物(でもの)の舞楽の人体によりて、切拍子などにて入(いる)事あるべし」(出典:三道(1423))
- (ハ) 特定の環境の中に移る。宮中、仏門、学校などにはいる。
- [初出の実例]「斎宮は、去年(こぞ)内裏にいり給ふべかりしを、さまざまさはる事ありて、この秋入(いり)給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
- 「一度道に入(いり)て世をいとはん人」(出典:徒然草(1331頃)五八)
- ② ある限られた範囲内に取り込まれる。はいる。
- (イ) 仲間になる。含まれる。また、書物に載る。
- [初出の実例]「万葉集にいらぬ古き歌」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- 「この文、〈略〉高野大師の御作の目録にいれり」(出典:徒然草(1331頃)一七三)
- (ロ) 心、目、耳などの知覚に取り入れられる。また、知覚できる範囲にはいる。
- [初出の実例]「何故か思はずあらむ紐の緒の心に入(いり)て恋しきものを」(出典:万葉集(8C後)一二・二九七七)
- 「お耳に入(イッ)たらお叱り遊すでござりませうよ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
- (ハ) 物と物、人と人などの間にはいり込む。はさまる。はまる。また、仲介する。
- [初出の実例]「茶屋あつかいにいりて、もっはずならばもたせう程に、先おまちやれ」(出典:虎明本狂言・犬山伏(室町末‐近世初))
- ③ ある時期、時間になる。はいる。
- [初出の実例]「つれづれとあるほどに、彼岸にいりぬれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ④ ある特定の状態、段階、境地などに達する。「技、神にいる」
- [初出の実例]「いみじう興にいらせ給へるほどに」(出典:大鏡(12C前)六)
- ⑤ (気持、力などが)みちる。こもる。はいる。
- [初出の実例]「そなたざまには心もいらで、この御事のみいとほしくなげかる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
- 「見悪(みにく)い程窮屈に力が入(イ)ってゐる」(出典:永日小品(1909)〈夏目漱石〉声)
- ⑥ 内に向かってくぼむ。くい込む。くぼみや裂け目ができる。はいる。
- [初出の実例]「海づらはややいりて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
- 「右の硝子に裂(ひび)の入(イ)った眼鏡」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
- ⑦ 付けられる。施される。はいる。
- [初出の実例]「金のほそ筋入(イッ)たる、羅紗仕立の股引(ずぼん)」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉六)
- ⑧ ( 要 ) ある物、事などが要求される。
- (イ) (費用、時間、品物などが)必要になる。入用である。
- [初出の実例]「うちまきによねいるべし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
- 「ついにゆく道には金もいらじか」(出典:仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)下)
- (ロ) ( 否定の表現を伴って ) 特に問題にしなくてもよい。
- [初出の実例]「物を知事、吾に勝れたらば歳の老少は入まいぞ」(出典:古文真宝笑雲抄(1525)二)
- ⑨ ( 「いらせ給ふ」の形で ) 「ある」「居る」「来る」「行く」などの尊敬語。→いらしむ。
- [初出の実例]「宇治の御幸ありて皇后宮ひきつづきていらせ給ひし」(出典:今鏡(1170)四)
- [ 二 ] 補助動詞として用いられる。動詞の連用形に付く。
- ① すっかりそうなる、ほとんどそうなる意を表わす。「死に入る」「消え入る」「絶え入る」「寝入る」「冷え入る」など。
- ② せつに、深くそうする意を表わす。「思い入る」「念じ入る」「泣き入る」「恐れ入る」「痛み入る」など。
- [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙 ⇒いれる(入)
はい・るはひる【入・這入】
- 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「はひいる(這入)」の変化した語 )
- ① 外部から、ある場所や環境などに移る。
- (イ) 外から、ある物の中やある場所の内へ移動する。また、移動して、その中にいる。
- [初出の実例]「片山のやぶのなかにはいり、あをのけにふし」(出典:平家物語(13C前)五)
- (ロ) 見える所から物かげに移動する。奥へひっこむ。日、月が沈むのにもいう。「日が西の山にはいる」
- [初出の実例]「ト大橋、伝兵衛、廓の者皆々這入る」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)口明)
- (ハ) 学校、会社など、特定の環境の中の一員になる。
- [初出の実例]「卒業して大学院へ這入って空間論と云ふ題目で研究して居たが」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三)
- ② ある限られた範囲内に取り込まれる。
- (イ) ある物の中に収まる。含まれる。また、つめこんだり、収容したりすることができる。「庶民の口にはいる」
- [初出の実例]「『ありゃあおめへ四合へへりやすぜへ』『そふはへへるめへ』」(出典:洒落本・世説新語茶(1776‐77か)粋事)
- 「非常に聴衆が入場(ハイ)ったナ」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉労働問題)
- (ロ) 新たにつけ加わる。割って入りこむ。また、仲間になる。
- [初出の実例]「三ケ月毎の書替の手数料と、利子が其儘に元金の中へ加入(ハイ)っていくから」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉六)
- (ハ) 金品や知らせなどが、手元に届けられる。「他社の情報が手にはいる」
- [初出の実例]「不時の金でも入(ハヒ)れば女房に卵甲の櫛一枚買ふて遣るよりは」(出典:新浦島(1895)〈幸田露伴〉七)
- (ニ) 心、目、耳などの知覚に取り入れられる。「頭にはいる」「目にはいる」
- [初出の実例]「僕等のいふ事は迚(とて)も、足下の耳にははいるまいけれど」(出典:交易問答(1869)〈加藤弘之〉上)
- ③ 次第にある状態、時期などに達する。「夜にはいる」「明治時代にはいる」
- [初出の実例]「電気を消して寝る体勢に入ったが、なかなか眠れないでいる」(出典:蟹(1959)〈庄野潤三〉)
- ④ 気持や力などがこもる。「力がはいる」「勉強に身がはいる」
- ⑤ 物に傷、ひび、裂け目などができる。
- [初出の実例]「ヒビのはひった赤銅縁の眼鏡」(出典:苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉四)
- ⑥ 付けられる。施される。「罫のはいったノート」「模様のはいった封筒」
- [初出の実例]「洋燈には、今しも火が点(ハヒ)った処である」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉一二)
- ⑦ 湯を加えたりして飲物ができる。
- [初出の実例]「サア茶がはいったヨ」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)後)
- ⑧ 剣道などで、技が決まる。
- [初出の実例]「素人の自分には、剣道の試合などは分るものでない。どちらの面がは入ったのか、どちらの小手がは入ったのか」(出典:天覧試合陪観記(1934)〈菊池寛〉)
入るの語誌
( 1 )名詞形「はひいり」「はいり」は中古から例があり、動詞「はひいる」から生じたと考えられる。
( 2 )動詞「はいる」の初期の例は「這う」の意が強く、①の挙例「平家」も、覚一本では「はいり」であるが、百二十句本では「這(ハイ)入て」とあり、「這う」の意が薄れた後でも①(ロ)の「幼稚子敵討」にも「這入る」の表記が用いられている。
( 3 )自動詞「はいる」に対する他動詞形は下二段動詞「いる(いれる)」である。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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