円満寺(読み)えんまんじ

日本歴史地名大系 「円満寺」の解説

円満寺
えんまんじ

[現在地名]有田市宮原町東

霊巌山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊釈迦如来。もと興国こうこく(現和歌山県由良町)の末寺であった。心地覚心(法灯国師)の弟子覚円の開創。覚心の賛をもつ絹本著色法灯国師画像(寺蔵、県指定文化財)に「小師覚円絵予陋質就請着語 弘安八年十月廿日 紀州由良鷲峰入宋沙門覚心(印)」とある。また享保一〇年(一七二五)の書上(寺蔵文書)に「往古者密宗之地に而年数相知不申候」「其宗旨衰微之後法灯国師開基以来五百余年罷成候」とあり、それ以前に古寺院があったことを伝える。


円満寺
えんまんじ

[現在地名]春野町気田 玉田通

気田けた川右岸にある。龍田山と号し、曹洞宗、本尊は十一面観音。明治一三年(一八八〇)の円満寺明細帳(春野町役場蔵)には寛文二年(一六六二)の開創とあるが、寺はそれ以前から存在した。現もり三倉みくら蔵泉ぞうせん寺所蔵の大般若経巻三一―三五・四〇の奥書によれば、至徳元年(一三八四)五月一五日から同四年八月二二日までの間に「気多郷円満寺」で義潤により書写された。


円満寺
えんまんじ

[現在地名]近江八幡市多賀町

鶴翼かくよく山の南麓にある。万徳山と号し、臨済宗永源寺派。本尊の木造十一面観音立像は平安期の作で、国指定重要文化財永源えいげん(現滋賀県永源寺町)開山寂室の草創と伝え、現近江八幡市小船木こぶなき町の願成就がんじようじゆ寺所蔵の大般若経巻四二五奥書に、「永徳改元三月日 円満寺執筆処益」とある。しかしその後の寺歴は明らかでなく、享保七年(一七二二)近衛家の助力を得て広照が再興している(多賀共有文書)


円満寺
えんまんじ

[現在地名]福島区玉川四丁目

浄土真宗本願寺派。居原山と号し、本尊は阿弥陀如来。天文二年(一五三三)本願寺一〇世証如が当地辺で佐々木(六角)定頼らの兵に襲われたが、その際証如を守った野田のだ村の門徒中二一人が討死した。その墓地に建立された道場を当寺のはじまりとする。本願寺東西分派後、野田門徒はおもに東本願寺に属したが(→極楽寺、西本願寺派の門徒によって享保二年(一七一七)当寺が建立されたという(「円満寺由緒記」寺蔵)


円満寺
えんまんじ

[現在地名]北浦村山田

山田やまだ城跡の南西部にある。天台宗、喜見山と号し、本尊は阿弥陀如来。寺伝によれば山田城主の菩提寺で北浦山光明院と称し、盛時には山田地内に西光さいこう寺・千手せんじゆ院・福相ふくそう院・不動ふどう院・証蔵しようぞう院・明光みようこう院などの門徒寺があった。戦国末期の山田氏滅亡の折、城郭の一隅にあった当寺も運命をともにし、本堂に安置される山田城主夫妻の木像のみが由緒を物語る。


円満寺
えんまんじ

[現在地名]総和町小堤

小堤こつつみ集落東部に所在。宝林山地蔵院と号し、真言宗豊山派。本尊地蔵菩薩。寺の入口には約二〇基の石仏が並び、うち一基に「普門品供養塔 下総国葛飾郡小堤邑 文化五年十一月 導師円満寺現住行清講中法印本清」とある。寺伝によると大同四年(八〇九)空海が出羽の湯殿山参詣の帰路、当地の字寺家山てらいえやまに一宇を建立し、室町時代に諏訪三河守の保護を受けて現在地に移り、江戸時代は除地・寺領一〇石。天保一一年(一八四〇)行盛によって再建されたといい、行盛を中興の祖としている。寺宝には県指定文化財絹本著色両界曼荼羅・金銅五鈷鈴・金銅三鈷杵がある。


円満寺
えんまんじ

[現在地名]小山市上泉

上泉かみいずみの北端にあり、熊野山地蔵院と号し、真言宗豊山派。本尊は地蔵菩薩。永禄年間(一五五八―七〇)に法相宗頼尊僧都の地蔵仏を安置して開山とし、小山高朝を開基として創建され、祈願所とするとともに真言宗に改めたという。永禄八年五月一八日小山高朝より寺領を寄進された(「小山高朝書状」寺蔵)。元亀元年(一五七〇)一一月一五日賢怡は俊永に対して両部印密と伝法灌頂阿闍梨位を授与するとともに、瑜祇作法の相承血脈次第(寺蔵)が作成された。


円満寺
えんまんじ

[現在地名]武雄市武雄町武雄字下西山

下西山の南低丘陵上にある。山号は広岡山。天正五年(一五七七)武雄領主一七代後藤職明の甥田中朝門が、母の追福のため建立した。武雄市内唯一の日蓮宗寺院。

文政元年(一八一八)台風で本堂が倒壊して火災を起こし、庫裏仏像什器などが焼失した。真手野まての村の庄屋宮原忠勝が日蓮宗の信者であったので再建に努力し、翌年仮本堂を建てた。文政一〇年大村おおむら領に加藤清正の木像があることを知り、本尊として安置した。


円満寺
えんまんじ

[現在地名]佐久市岩村田 荒宿

真言宗真楽寺末、大悲山と号し、本尊大日如来。

もと真言律宗の無本寺で、康治二年(一一四三)の創立と伝えるが、文明一六年(一四八四)兵火のため荒廃、永禄年中(一五五八―七〇)現在地に再建して梅霊山と改め院坊を増築したが、再び兵火に遭う。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「円満寺」の解説

円満寺

福島県耶麻郡西会津町にある寺院。本尊は聖観世音菩薩。室町時代後期に建てられた観音堂は国の重要文化財に指定されている。

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