デジタル大辞泉
「否」の意味・読み・例文・類語
いな【否】
[名]
1 同意しないこと。不承知。「否も応もない」
2 (「…かいなか」の形で)…でないこと。「学生か否かは問わない」
[感]
1 申し出や依頼を拒否するときに用いる語。いやだ。「再度の懇請に否と答える」
2 自分の発言を途中で否定したり、ためらったりするときに用いる語。いいえ。そうではない。「国家のため、否全世界のために」
いや【▽否】
[感]《「嫌」と同語源》
1 相手の言ったことを否定し、自分の考えを述べようとするときに用いる語。いいえ。いえ。「否、そんなことはない」
2 自分が言ったこと、考えていたことを取り消すときに用いる語。「五時、否もう六時になったかな」
3 否定も肯定もしないで、話の合間に何となく発する語。「その、否、君、ちょっと来てくれ」
ひ【否】
賛成しないこと。承認しないこと。「否とする者多数」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いな【否】
[1] 〘感動〙
① 相手の言うこと、なすこと、または、質問などを拒否したり、同意しなかったりするときに発することば。いや。いいえ。いやだよ。
※
万葉(8C後)二〇・四四九七「見むと言はば伊奈
(イナ)と言はめや梅の花散り過ぐるまで君が来まさぬ」
② 自分の発言を途中で否定したり、ためらったりするときに発することば。いや。いやそうではなく。
※白氏文集天永四年点(1113)三「
蓬莱を見ずは敢
(イナ)(〈別訓〉いなや)帰らじ」
[2] 〘名〙 ((一)を
名詞的に用いたもの) 同意しないこと。承知しないこと。拒否すること。いやだと答えること。
※万葉(8C後)四・七六二「神さぶと不欲
(いな)にはあらず
はたやはた斯
(か)くして後にさぶしけむかも」
[語誌]会話の中で、否定の
応答として用いられたのは平安末ごろまで。それ以降は、
文語として使われ続けたが、否定していることを
手短かに表わす語として、「否を申す」のように、名詞として
単独で、また、「否と思う」といった引用の形で、
口語文の中にも多く用いられた。
ひ【否】
〘名〙 易の
六十四卦の
一つ。
。上卦は乾(天)、下卦は坤(地)。天地否ともいう。天の気が昇り、地の気が降って、
陰陽の
二気が交わらないさま。
※古易断時言(1771)一「占ふて此卦に遇ふ、諸事不レ通。妨け有とす」
いや‐まし【否】
〘形シク〙 (「いやむ(否)」の
形容詞化) いやに思われる。面白くない。いとわしい。
※
唐物語(12C中)上「呂后いやましく心うきことにぞおぼしける」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報