(読み)いな

精選版 日本国語大辞典「否」の解説

いな【否】

[1] 〘感動〙
① 相手の言うこと、なすこと、または、質問などを拒否したり、同意しなかったりするときに発することば。いや。いいえ。いやだよ。
万葉(8C後)二〇・四四九七「見むと言はば伊奈(イナ)と言はめや梅の花散り過ぐるまでが来まさぬ」
② 自分の発言を途中で否定したり、ためらったりするときに発することば。いや。いやそうではなく。
※白氏文集天永四年点(1113)三「蓬莱を見ずは敢(イナ)(〈別訓〉いなや)帰らじ」
[2] 〘名〙 ((一)を名詞的に用いたもの) 同意しないこと。承知しないこと。拒否すること。いやだと答えること。
※万葉(8C後)四・七六二「神さぶと不欲(いな)にはあらずはたやはた斯(か)くして後にさぶしけむかも」
[語誌]会話の中で、否定の応答として用いられたのは平安末ごろまで。それ以降は、文語として使われ続けたが、否定していることを手短かに表わす語として、「否を申す」のように、名詞として単独で、また、「否と思う」といった引用の形で、口語文の中にも多く用いられた。

ひ【否】

〘名〙 易の六十四卦の一つ。。上卦は(天)、下卦は坤(地)。天地否ともいう。天の気が昇り、地の気が降って、陰陽の二気が交わらないさま。
※古易断時言(1771)一「占ふて此卦に遇ふ、諸事不通。妨け有とす」

いや‐まし【否】

〘形シク〙 (「いやむ(否)」の形容詞化) いやに思われる。面白くない。いとわしい。
※唐物語(12C中)上「呂后いやましく心うきことにぞおぼしける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「否」の解説

いや【否】

[感]《「いや」と同語源》
相手の言ったことを否定し、自分の考えを述べようとするときに用いる語。いいえ。いえ。「、そんなことはない」
自分が言ったこと、考えていたことを取り消すときに用いる語。「五時、もう六時になったかな」
否定も肯定もしないで、話の合間に何となく発する語。「その、、君、ちょっと来てくれ」

ひ【否】[漢字項目]

[音](漢) [訓]いな いや
学習漢字]6年
そうではないと打ち消す。同意しない。「否決否定否認拒否
…か…でないか。「安否可否合否採否賛否実否真否正否成否存否諾否適否当否認否能否良否
物事が通じない。運が悪い。「否運
[難読]否応いやおう運否天賦うんぷてんぷ

いな【否】

[名]
同意しないこと。不承知。「も応もない」
(「…かいなか」の形で)…でないこと。「学生かかは問わない」
[感]
申し出や依頼を拒否するときに用いる語。いやだ。「再度の懇請と答える」
自分の発言を途中で否定したり、ためらったりするときに用いる語。いいえ。そうではない。「国家のため、全世界のために」

ひ【否】

賛成しないこと。承認しないこと。「とする者多数」

ふ【否】[漢字項目]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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