デジタル大辞泉
「否」の意味・読み・例文・類語
いな【否】
[名]
1 同意しないこと。不承知。「否も応もない」
2 (「…かいなか」の形で)…でないこと。「学生か否かは問わない」
[感]
1 申し出や依頼を拒否するときに用いる語。いやだ。「再度の懇請に否と答える」
2 自分の発言を途中で否定したり、ためらったりするときに用いる語。いいえ。そうではない。「国家のため、否全世界のために」
いや【▽否】
[感]《「嫌」と同語源》
1 相手の言ったことを否定し、自分の考えを述べようとするときに用いる語。いいえ。いえ。「否、そんなことはない」
2 自分が言ったこと、考えていたことを取り消すときに用いる語。「五時、否もう六時になったかな」
3 否定も肯定もしないで、話の合間に何となく発する語。「その、否、君、ちょっと来てくれ」
ひ【否】
賛成しないこと。承認しないこと。「否とする者多数」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いや【否・嫌・厭】
- [ 1 ] 〘 感動詞 〙
- ① 相手のことばを打ち消す気持を表わすことば。自分のいま言ったことばを打ち消して言い直すときにも用いる。いいえ。いえ。いいや。いな。
- [初出の実例]「『〈略〉件(くだんの)田は相違あるまじ』などいへば、権守とりもあへず『いや田におきては、はやくとられぬ』といひたりけるをかしさこそ」(出典:古今著聞集(1254)一六)
- ② ( 並立的な句の前または中で副詞的に用いる ) あるいは。または。やれ。
- [初出の実例]「是を人にとらせうかいやとらすまいかと出内(いだしいれて)」(出典:足利本論語抄(16C)堯曰第二十)
- [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 不快に思うさま。好ましくないさま。きらいだ。
- [初出の実例]「先帝の人をわづらはす事をいやにをぼしめしたほどにとてか」(出典:史記抄(1477)八)
- 「Iyana(イヤナ)コトヂャ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
否の派生語
いや‐が・る- 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
否の派生語
いや‐さ- 〘 名詞 〙
- [ 3 ] 〘 接頭語 〙 名詞の上に付いて、きらいな、好ましくない、の意を表わす。
- [初出の実例]「五日はいばらきやにて御存(ぞんじ)のいや男にあひ申候」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)七)
否の補助注記
否定の感動詞「いな」が中世に「いや」になったと見られる。
いな【否】
- [ 1 ] 〘 感動詞 〙
- ① 相手の言うこと、なすこと、または、質問などを拒否したり、同意しなかったりするときに発することば。いや。いいえ。いやだよ。
- [初出の実例]「見むと言はば伊奈(イナ)と言はめや梅の花散り過ぐるまで君が来まさぬ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四九七)
- ② 自分の発言を途中で否定したり、ためらったりするときに発することば。いや。いやそうではなく。
- [初出の実例]「蓬莱を見ずは敢(イナ)(〈別訓〉いなや)帰らじ」(出典:白氏文集天永四年点(1113)三)
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [ 一 ]を名詞的に用いたもの ) 同意しないこと。承知しないこと。拒否すること。いやだと答えること。
- [初出の実例]「神さぶと不欲(いな)にはあらずはたやはた斯(か)くして後にさぶしけむかも」(出典:万葉集(8C後)四・七六二)
否の語誌
会話の中で、否定の応答として用いられたのは平安末ごろまで。それ以降は、文語として使われ続けたが、否定していることを手短かに表わす語として、「否を申す」のように、名詞として単独で、また、「否と思う」といった引用の形で、口語文の中にも多く用いられた。
ひ【否】
- 〘 名詞 〙 易の六十四卦の一つ。

。上卦は乾(天)、下卦は坤(地)。天地否ともいう。天の気が昇り、地の気が降って、陰陽の二気が交わらないさま。- [初出の実例]「占ふて此卦に遇ふ、諸事不レ通。妨け有とす」(出典:古易断時言(1771)一)
や【否・嫌】
- 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「いや(否)」の変化した語 ) 不快に思うさま。好ましくないさま。きらいなさま。
- [初出の実例]「おいらを狐がはらませて、御亭(ごて)になろとは、わしゃやです」(出典:洒落本・辰巳之園(1770))
いや‐ま
し【否】
- 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「いやむ(否)」の形容詞化 ) いやに思われる。面白くない。いとわしい。
- [初出の実例]「呂后いやましく心うきことにぞおぼしける」(出典:唐物語(12C中)上)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「否」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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